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2008年 03月 30日

隈 研吾・清野 由美『新・都市論TOKYO』

隈 研吾・清野 由美『新・都市論TOKYO』_c0155474_0325685.jpg慶応大学理工学部教授で建築家の隈研吾さんと、ジャーナリストの清野由美さんの対談『新・都市論TOKYO』(集英社新書 2008年1月22日)を読む。

汐留、丸の内、六本木ヒルズ…次々と東京に誕生する超高層ビル群。「なぜ景気が悪い時代に、東京ではバブル期以上の大規模開発が出現するのか?」そんな清野の疑問から、隈研吾と清野の二人が、都市再開発の現場を歩きながら、その風景が意味するところを読み解いていく。

目次をひこう。

   都市開発の手法を概観する
   第1回 汐留―悲しい「白鳥の歌」が響き渡る二一世紀の大再開発
   第2回 丸の内―東京の超一等地に三菱の「余裕」がどこまで肉薄するか
   第3回 六本木ヒルズ―森稔の執念が結実した東京の蜃気楼
   第4回 代官山―凶暴な熊に荒らされる運命のユートピア
   第5回 町田―「郊外」かと思っていたら「都市」だったという逆説
   対話篇 そして北京

それぞれの「現場」の冒頭では隈研吾による解説がある。たとえば、旧国鉄貨物駅跡地であった汐留。工業化社会から脱工業化社会への転換によって出現した大きな空き地を、巨大なオフィスと大規模商業施設の集積したビル群にすることがそもそも成熟の時代に必要とされるのか? しかも、汐留の場合、悲惨だったのは、31ヘクタール全体をひとまとめに開発するだけのリスクを負えるディベロッパーが見当たらず、11街区に分割され、分譲されちまい、「郊外の建て売り住宅を巨大化したよう」な風景になってしまったのだ。

そう、この本でしばしば語られるのが、現代の都市開発のプロジェクトの成り立ちである。まず重要になってくるのが、ビッグプロジェクトを遂行するに必要な資金をいかに手当するかだ。1980年代以降、プロジェクトを小口の証券に分割して投資家を募るなど、資金調達のテクノロジーが飛躍的に発達した。巨大な開発コストを回収するために、最優先されるのは、徹底したリスク管理である。このため、創造性のある芸術家ではなく、ブランドとして「顔」になる建築家が必要とされる。洗練され、きれいで華やかで安全だが、ファッションとして消費される「どこかでみたような」風景ばかり……。

現場を歩きながら、二人は、日本に「歴史軸を意識して都市をプランニングできる人材」の不在を嘆く。「日本の都市は金融テクノロジーのような抽象的な手法によって解かれるべきではなくて、その土地に根ざしたリアルで泥臭い手法で解かれるべきなんです」と隈。

彼が注目するのは北京だ。「北京はグローバリズム時代の都市のリアルな実験場です。あの光景を見ると、いかに日本人が繊細でひ弱かが実感できますね」。創造性というのは、発展途上で爆発するのだ。

歴史の継続性とクリエイティビティの2つを備えた魅力ある都市景観が今後かたちづくられていくだろうか?私たちがかつて持っていた街並みや景観に対する感受性を、もういちど鍛えていくことができるだろうか?
隈 研吾・清野 由美『新・都市論TOKYO』_c0155474_0323564.jpg

六本木ヒルズか新丸ビルの写真を入れようとして、これまでGRDIIで撮った4か月ぶんの写真のファイルを外付けハードディスクにコピーし損ねて、まるまるなくしてしまったことが判明し、しばしボーゼン。キャビネに焼くためにセレクトする時間がなくて、でもパソコンの空き容量を圧迫していたので、とりあえず移動させたはずだったが……。なんだか、これまでのワクワクを全部なくしちゃった感じ。

追伸 隈研吾さんは以前インタビューしたことがある。そのときの記事はここ→

by sustena | 2008-03-30 00:33 | 読んだ本のこと | Comments(2)
Commented by Cakeater at 2008-03-30 22:17 x
それは大変。かなりのショックですよね。
というか、ぼくも昔似たようなことを経験して(3週間分でしたが)からは、オリジナルはSDの方で、ハードディスクはその1次加工用とバックアップ用にして、時々ソフトが、そろそろたまりましたから、CDを焼きましょうと言ってくれて、またバックアップ。3つとも、こわれることはないだろうと思っております。
そんなわけで、SDカードは2Gじゃ大容量すぎて、1Gがちょうどいいか、
できれば512MBでいいのじゃないかと最近おもっておりますが、最近売ってないので、1Gをまるでフィルムみたいに使っております。
Commented by sustena at 2008-03-31 21:40
伸ばして入れるはずだった、カラッポのフォトアルバムを見て「バカバカ」と言ってます。これからは忙しいときに、写真のフォルダを移そうだなんて考えないようにしよう(キッパリ)。


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