2008年 02月 22日
ハスチョロー(哈斯朝魯)監督の『胡同の理髪師』を観る。この映画のことを知ったのは1年半ぐらい前。オリンピックを控え、北京が大きく変貌を遂げようとしているなか、映画に共感が集まっている、といった海外ニュースだった。そのとき、主人公である93歳の老理髪師、チンお爺さんの中国3000年の風格だよなぁと思われる存在感にシビれたのである。 岩波ホールで公開が始まったということで、いそいそと出かけた。 ストーリーは単純。近代化の波が押し寄せる北京の胡同の片隅で理髪店を営むチンお爺さんの日常を、たんたんと描いたもの。毎日、朝6時に起き、毎日きっかり5分遅れるゼンマイ時計を直し、銀髪にクシを入れることからスタートする。人間、いつだって、しゃんとしていなくちゃならないのだ。午前中は三輪自転車で、古くからの馴染み客の家をまわって散髪。午後は近所の人たちとマージャンを楽しみながら世間話をする。 北京は急速に変化しているが、この胡同の暮らしは昔のまま。とはいえ、そんな暮らしにも、「再開発」がヒタヒタと押し寄せ、避けられない「死」もまた忍び寄ってくる。仲間の老人の死をきっかけに、チンお爺さんも、準備をはじめるのだ……。 チンお爺さんがすばらしい。現役の理髪師である。他の出演者も素人が多く、チャオ老人は実際にモツ屋を経験しているし、チャオ爺の隣のおばさんは、解雇されたトロリーバスの女性運転手。ミー爺を演じているのは読み書きのできない83歳の独居老人。ネコも演技派だったぞ。ヒゲソリクリームは気持ちよさそうだったし、食べ物もおいしそうだったなぁ。 写真は上海。やはり高層ビルをバックに、古い時代に取り残されそうなお店が並ぶ。あのギャップがすごい。車窓からなので、ボケボケです。 (IXY Digital55)
by sustena
| 2008-02-22 23:31
| Theatre/Cinema
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