いつもココロに?マーク

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2007年 12月 29日

前出清『NIPPONIA NIPPON 1』

図書館で、前出清さんの『NIPPONIA NIPPON 1』(遊タイム出版 2002年12月発行 2,100円 A5判 上製本 128ページ)を借りてくる。聞き慣れない名前だったので検索すると、やはり同じ遊タイム出版から、自費出版で「花に棲む」という写真集を出していた。その惹句には、「ライカを片手に身近な日常を撮り続ける異端の写真家」とあった。

この本は、大阪の街角を行き来する人々の「ありふれた日常」を、あえてメリハリを消したモノクロで(しかも、いちばん濃い部分でも、スミアミ60~70%ぐらいの感じ)描いている。

電車の中での化粧や、ケータイに一心不乱に見入る人、何かを待っているこどもや老人……たしかに「今」の風景なんだけど、その半分色が消えかかったようなモノクロームの画像は、遠い過去の日常のようにも思えてくる。

好きな1枚。
バックに、「読書は散歩だ。コースはいくらでもある」という文字がうつり、手配写真や、カレー研究所、五右衛門スパゲティーなどの雑居ビルの看板がある路上で、3歳ぐらいの半分ねむねむの男の子をおぶおうとしたまま、かがんでケータイをしている若い父親の写真。

人と人のつながりや、一期一会の出会い、市井のいろんな人たちのつぶやきが画面からとけだしていくような、そんな不思議な浮遊感が漂う。

ほとんど解説らしい解説もなく(場所も、器材の情報も一切ない)、奥付部分に、20行ほど作者のメッセージがあるだけ。

「この写真集を、生活に追われ、子供を育てるだけで人生を終えてしまった”おかあちゃん”に捧げます」

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というわけで、こちらは帰り道の新宿。この時期になると、聖書の言葉がエンエンと路上に流れる。「この世は滅び去る」と書かれたプラカードを持った人がポツンと。それとは関係なく家路に急ぐ人々がどんどんどんどん。
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GRDII マニュアルモード ISO100 F2.8   1 /15秒

by sustena | 2007-12-29 21:49 | 読んだ本のこと | Comments(0)


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