ドラマ「Pachinko パチンコ」がすばらしい！

ガラホをiPhoneに変えたときに、AppleTV+が3カ月間無料というので登録したのだけれど、忙しくていっこうに見る時間が取れない。あと数日で無料期間が終了になるというので、その前にこれだけは見なくちゃと見始めたのが「Pachinko パチンコ」である。

ミン・ジン・リーのこの小説を読んだ時の感激は、以前このブログにも書き留めた。https://sustena.exblog.jp/32171979/

これをしたためたときには、すでにAppleTV+でドラマ化される情報が入っていたのだけれど、AppleTVか…と半分諦めてそのままになっていた。

昨年7月に内田樹が新型コロナに感染して10日間の自宅隔離になり、暇を持て余したときにこのパチンコを観たら大傑作だったという意味のツイートをしていて、再び記憶が蘇ったんだけど、わざわざ会員になるのもなぁと思って、やはりそのままにしていたのを、ついにあと数日という段になって、これだけは観なくては！と、原稿書きの合間に、3日間で全8話を観た。

いやはや、小説も傑作だったが、ドラマもすばらしい！

「パチンコ」はどんな話かというと…

1910年代、日本統治下の釜山・影島で下宿屋を営む両親の子として産まれた主人公ソンジャが、在日の仲買人コ・ハンスと恋に落ち妊娠する。しかしハンスには日本に妻がいることがわかり、行き倒れになり介抱した牧師と結婚する道を選び、大阪に移住、苦労しながら子を育て、そして孫へと続く4世代にわたる家族の壮大な話。

小説では時系列で話が進むのだが、ドラマでは、ソンジャの成長を描く一方で、1989年にアメリカから帰国したソンジャの孫のソロモンが担当する地上げと年老いたソンジャの物語が並行して描かれ、時間が行きつ戻りつしつつ進む。

ドラマのこの構成がすばらしい。

第一話では、1910年代の影島と、1989年の天皇崩御、バブル真っ盛りの日本へ向かうソロモンの話が出てきて、日本がイケイケだった2つの時代が対比される。

2つの時代がひんぱんに行き来するのだけれど、同じモチーフが使われたり、回想シーンだったり、その切り替えは自然で、混乱することはない。

たとえば、身重の身体で船の最下層で釜山から日本へと渡る1931年のシーンのあとに、義姉の遺骨を抱えて祖国に戻り、海辺にたたずむ1989年のソンジャのシーンが続くという具合だ。

小説と違う部分もところどころにある。印象的だったのは、第7話が、コ・ハンスの青年時代、アメリカ人の家庭教師をし、渡米しようとするときに、関東大震災に遭い、命からがら脱出する話にまるまる費やされること。そして第8話では、令和のいま、日本に暮らす90代（なかには100歳も）韓国人女性へのインタビューも盛り込まれ、ソンジャの人生が、一人ひとりの人生に重なることが描かれる。

「ミナリ」で主演した、ユン・ヨジョンが老年のソンジャを演じる。若き日のソンジャを演じたキム・ミンハとともに二人の存在感がすごい。（少女時代のソンジャを演じたチョン・ユナがかわいい）。そして、地主を演じたパク・ヘ・ジン（Park Hye-jin）も、よかったー！　ハンスを演じるイ・ミンホが、冷徹なやり手感イッパイなんだけど、青年時代の第7話が、めちゃ純な感じで見とれちゃったなぁ。。。

日本人役で日本語がヘンなところが散見されるのはちょっと…というところや、息子のノアがなぜ死んだのかや特高に連れ去られた夫がどうなったのか、気になるのにわからない部分もちょっとあるけど、よくぞまぁこの壮大な話を8話でまとめたものだと驚いてしまった。オススメ。1週間の無料トライアルで、この作品だけを見るのも手かも。

写真はエナガさん。虫を捕まえても、持ったまま移動しているので、近くに巣があって、ヒナに上げるんじゃないかと思う。

監督　コゴナダ+ジャスティン・チョン

脚本　Soo Hugh

チョン・ユナ……若きソンジャ

キム・ミンハ……ソンジャ

ユン・ヨジョン……老年のソンジャ

イ・ミンホ……コ・ハンス

Inji　Jeong……ソンジャの母

Steve Sanghyun　Noh……ソンジャの夫、イサク

ハ・ジン……ソロモン

アライ・ソウジ/パク・ソヒ……ソロモンの父　モーザス

南果歩……悦子

Junwoo　Han……ヨセフ

チョン・ウンチェ……義理の姉キュンヘ

Park Hye-jin……地主

アンナ・サワイ……シフリーズで働くキャリア・ウーマンのナオミ

ジミ・シンプソン……シフリーズの上司　トム・アンドリュース

山本真理……ハナ

キム・ヨンオク…ソンジャの父の遺骨を移転してくれた下宿屋で働いていた娘の一人、ボクヒ