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2015年 08月 19日

松尾スズキ『サビシーマン 寝言サイズの断末魔IV』

松尾スズキ『サビシーマン 寝言サイズの断末魔IV』_c0155474_23311741.jpg息子が「めちゃおもしろかったから、読んでみそ」というので、図書館から松尾スズキの『サビシーマン 寝言サイズの断末魔IV』を借りてきて読了。

松尾スズキはいうまでもないけど、大人計画主宰、作家、演出家、俳優、映画監督、ナレーターと多忙を極めるひとで、その怒濤の生活ぶりを日記形式で綴ったのが本書。扶桑社の「週間SPA!」2005年9月20 号から2007年5月1日&8日合併号と、2007年8月7日号に掲載されたコラム「寝言サイズの断末魔」をまとめたもの。(連載自体は、同誌で足かけ7年にも及んだ)

連載開始にあたって松尾が掲げたのが
1 人のためになるようなことを書かない
2 知識をひけらかさない
3 弱音はできるだけ漏らす

という方針。 足かけ7年も毎週書いていると(しかも他誌にも連載コラムを抱えていたりする)身の回りのことを書くといっても限度がある。かといって、芸能ネタを取り上げるとろくなことにならない。そんななかで、芝居の公演はあるわ、映画のクランクインはあるわ(恋の門でスイスに呼ばれたり、「ユメ十夜」や「クワイエットルームへようこそ」の監督をしたりしてるし、「クワイエットルームへようこそ」が芥川賞候補になったこともあったなあ)でメチャ多忙。かくて、ロケバスのなかで書いたり、ひどいときは出演の合間に書いたり(ホントか?) なんて超絶技巧。時間がないため原稿が埋まらなくて、連載時3段組のフォーマットが、突然2段組になったり、ひどいときは1段組になったりしたそうな。

その名残を本書でも漂わせようと、通常より4 倍ぐらい大きくて、さらにゴシックのフォントの本文がまじったりする。ふーん、、、そんなの、ありですかぁー。

でも、なんだか臨場感がある。

たとえば「のっぴき」と題された回の冒頭をちょこっと写してみる。

きわめてのっぴきならない日々である。そののっぴきならなさの内容を今ここに書くわけにはいかないのもきついし、のっぴきならないのに「のっぴき」という言葉がやけにお祭り気分をかもしているのもきつい。

いやはや。

ほーんとくっだらないんだけど、オモシロイ。大人計画の芝居のヒミツがちょこっとわかった気がしたなぁ。
そしてイラストが上手。多芸なひとだなー。

目次
徘徊の章
栄光の章
慟哭の章
敗北の章
特別付録 松尾スズキが選ぶ思い出の名画ベスト16
松尾スズキ『サビシーマン 寝言サイズの断末魔IV』_c0155474_23313941.jpg

渋谷のスクランブル交差点を上から見るのがガイジンに人気があるというので、マークシティの銀座線へと渡る通路でぱちり。ほんとはホテルの窓から見下ろすのがいいらしい。

by sustena | 2015-08-19 23:31 | 読んだ本のこと | Comments(2)
Commented by esiko1837 at 2015-08-23 20:47
舞台とはおよそ縁の無い場所に住んでいますので、松尾スズキと聞いて思い浮かぶのは
テレビ「あまちゃん」の喫茶店のマスターです。
いい雰囲気でしたが、才能が多方面にわたっている人だったのですね。
市立図書館の蔵書検索をしたら、この本のⅢがあったので予約しました。
Ⅲだけというのも・・・どうしてでしょう。
Commented by sustena at 2015-08-23 21:37
esikoさん、「あまちゃん」での松尾スズキは不思議な存在感でしたよね。おすすめの本かといわれると、かなりビミョーですが・・・。図書館の蔵書がIIIだけというのは、その本だけ誰かが購入希望を出したとか?


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