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2015年 06月 08日
紀伊国屋サザンシアターで、井上ひさしの『戯作者銘々伝』と『京伝店の烟草入れ』をもとに、劇団桟敷童子の東憲司が書き下ろし、演出をした「戯作者銘々伝」を観た。東憲司さんは、第47回紀伊國屋演劇賞個人賞、第20回読売演劇大賞優秀演出家賞、第16回鶴屋南北戯曲賞など、演劇の名だたる賞を次々に受賞した劇作家であり、演出家で、私は今回観たのは初めてなんだけど、なかなか緻密で濃密な舞台をつくる人。 途中休憩15分を挟んで3時間あまりのお芝居。前半は、『戯作者銘々伝』から。江戸の黄表紙のプロデューサーである蔦屋重三郎と、山東京伝、式亭三馬、恋川春町らの幽霊が集い、それぞれの戯作者のエピソードを寸劇形式で綴っていくアンソロジー。後半は、『京伝店の烟草入れ』を下敷きにしたもの。寛政の改革によって手鎖50日の処罰を受け、筆を折って烟草店を開いた京伝が、蔦屋重三郎や太田蜀山人らと花火大会に興じているとき、花火師の幸吉に会い、若き日の自分を思い出して三尺玉をつくる幸吉をサポートするが・・ 江戸時代後半、町人の力が大きくなり、幕府への批判をおそれた政府が、黄表紙や洒落本が風俗を乱すと戯作者を弾圧した。そんな寛政の改革の吹きすさぶなか、時代に抗して、「笑い」と「コトバ」を通じて、世の中を批評することに賭けた戯作者たちの生きざまを描いた作品だ。 作・演出の東憲司さんは、井上ひさしの原作をもとに格闘するなかで、「井上ひさしらしさ」を残すことに苦心したという。見終わって、井上ひさしの声が聞こえてくるようだった。 「世間の動きにチクリと滑稽の針を突き立てて撓みがあればそれを正す、 歪みがあればそれを笑いのうちに直す、これが黄表紙(戯作)の生命ではないか」 新妻聖子の甲高い早口がちょっと聞きづらい箇所がところどころあったけど、山東京伝を演じた北村有起哉さんの幽霊の動き、花火師幸吉を演じた玉置玲央の純な感じ、西岡徳間の海千山千の蔦屋などすてきなアンサンブルだったなー。 黄表紙の表紙がふすまのように並び、隅田川に浮かぶ舟がついーっついーっと動く場面、最後、いのちを賭けて三尺玉をあげた場面・・印象的な場面がいっぱいあった。 原案=井上ひさし 作・演出=東憲司 音楽=宮川彬良 キャスト=北村有起哉 新妻聖子 玉置玲央 相島一之 阿南健治 山路和弘 西岡徳馬 西荻窪では先週、商店街のあちこちのお店でお茶を楽しむ「茶さんぽー」というイベントがかった。鉄の作家のいるギャラリーでは、自作の茶散歩マークを掲出してました。 ![]()
by sustena
| 2015-06-08 22:20
| Theatre/Cinema
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