2015年 03月 07日
精神科医で批評家の斎藤環さんの『ヤンキー化する日本』(角川oneテーマ21 2014年3月刊)を読む。図書館の順番待ちで発行から1年近く経っちゃったんだなぁ。 この本は、現代日本において「ヤンキー文化」がかつてないほど広がっていることを分析してみせた『世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析』という本に引き続き、ヤンキーセンスとは何であるか、そのルーツは何か、どんな実例があるかなどを、いろんな視点から深堀りしようと、村上隆や隈研吾など、さまざまなジャンルの著名人と語り合った対談録。 目次は── なぜ今、ヤンキーを語るのか(斎藤環) 気合い主義はアートを変えるか―ヤンキーと芸術(村上隆) 勤勉なワルがヤンキーを指嗾する―ヤンキーと半グレ(溝口敦) アマチュア好きの日本―ヤンキーと芸能界(デーブ・スペクター) 補助輪付きだった戦後民主主義―ヤンキーと国家(與那覇潤) ヤンキーリアリズムは「心」を重視する―元ホストと男子校(海猫沢めろん) 「和風建築」というつくれられた伝統―ヤンキーと新歌舞伎座(隈研吾) という錚々たる顔ぶれである。 ところで「ヤンキー」とは、斎藤さんによれば 不良や非行のみを意味するのではなく、彼らが体現しているバッドセンスな装いや美学と、「気合い」や「絆」といった理念のもと、家族や仲間を大切にするという一種の倫理観とがアマルガム的に融合したひとつの"文化"を指すんだってー。 キーワードは ●バッドセンス ダッシュボードをぬいぐるみでいっぱいにしたり、デコトラなどに代表される和洋折衷の傾(かぶ)いたキッチュさ ●キャラとコミュニケーション お笑い芸人をロールモデルとするような、キャラの立ったコミュ力の高さ。といっても理論で迫るというより、毛づくろい的コミュニケーションが大半 ●アゲアゲのノリと気合い 家族のため、仲間のため、お国のためにガンバる、精神の力で肉体の限界はやすやすと乗り越えられるといった気合を尊ぶ ●ポエム好き 知識や論理とは無関係に、内容空疎な名調子の「ポエム」で思考停止&共感を産み出そうとする そのほか、実利指向で現場主義、ホンネ主義。実現可能な範囲の夢しか掲げないリアリスト。歴史的な文脈で分析することのできない「いまここ」主義、反知性主義、母性志向・・・・・。 要は、インテリが罵倒したくなるものをめいっぱい並べて見せてくれたのであります。 そして、ヤンキーが蔓延している代表例として斎藤さんが例に出すのが、橋下であり、安倍。 それぞれの対談は、実はビミョーに何をヤンキーと考えるのかが話し手によって違っていて、めちゃ大雑把な放談(息子が「何をいいたいのかサッパリわからない」と言ってたのは、半ばムリないのだった) 個人的には梅猫沢めろんの話が一番スナオだと感じたな。隈研吾は話は「建築というメディアの持っているヤンキー性」についてペラペラ話していて、「できたあとにオラオラいえば、相手はつい勢いにのまれて「いい家ですね」となってしまう」とか、「おたくとヤンキーはノンヒエラルキーな20世紀型工業社会が崩れてきた中で人間(=l建築家ね)が生きていく二つの道だ」とか好き勝手言ってておもしろいけどそれだけで、総じてどの対談も「言えてる~」と笑えても、で、それがどーしたの? って話になっちゃう・・・・・・。 酒を飲みながら、そうそうと気炎をあげて、あれもこれもヤンキーって毒づくのは楽しいけど、それって今に限った話じゃなくて、日本って昔からヤンキー万歳だったんじゃないの? って話になっちゃったような気がしたなぁ。(それはお前の読みが表層的なからだっていわれるかもしれないけれど) ブラジル大使館の近くの刀削麺の店で食べた坦々刀削麺
by sustena
| 2015-03-07 01:08
| 読んだ本のこと
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