2014年 09月 21日
もうずいぶん時間が経っちゃったけど、最近みた芝居のなかで、アラン・ベネットの「ヒストリーボーイズ」のいくつかのシーンがいまもふっと心に浮かぶ。 イギリスのある高校の進学クラスで、オックスフォード大学やケンブリッジ大学合格をめざして学ぶ8人の個性豊かで悪ガキの男子生徒たちを相手に、老教師ヘクターは、受験勉強としては役に立ちそうもない古典や詩、演技を教え、生徒たちに慕われていた。そこにやってきたのが、オックスフォード大学卒というふれこみの臨時教師アーウィン。若くて、才気煥発で、受験テクニックをすご腕で教え込むアーウィンの授業は、ヘクターと正反対ながらも、皮肉とパンチが効いていて、生徒たちは反発しながちも次第に生徒たちを引きつけていく。 似たような答案が続くなかで、いかに試験官の心をわしづかみにするか、信じていないことだって、有効であれば使うべし。ヘクターの授業で習った詩歌や警句を、どう活用したら、読み手をうならせることができるか? 自分の教えている教養が、単に手段となってしまうことが不満なヘクター(とはいえ、まったくの朴念仁の堅物ではなく、教え子に性的な関心をもっていて、のちのちある不祥事を目撃され、職を追われることになる) 。そんな教師を、あるときは交ぜっ返し、あるときは誘惑する生徒たちのリーダー役であり、ハンサムでモテるデイキン、そんなデイキンに、ユダヤ人でゲイのポズナーは惹かれている。 こうした人間模様や、歴史を教える女教師や校長などの登場人物たちの思いが交錯し、劇は進んでいく。 最初はヘクターを演じる浅野の声が聞き取りにくくてちょっと閉口したけれど(とくに生徒の名前とフランス語・・・)、次第に舞台設定と状況がのみこめてからは、舞台に釘付けに。 なんといっても 堀尾幸男の舞台がいい。野田秀樹のThe BEEでも印象的だった紙が、今回は床に敷かれ、小論文の答案用紙などとして、生徒たちが破いていくに見立てて破いていく、 それと、以前蜷川の男優だけで演じるシェイクスピアでポーシャを演じていた中村倫也の、クールで屈折した知的な若教師ぶりが似合ってたなー。鷲尾真知子のセリフも聞きやすくて、登場人物のなかで唯一の女性教師に共感したよ。 脚本を読んでみたいなぁ。 [作] アラン・ベネット [翻訳]常田景子 [演出] 小川絵梨子 [出演]教師:ヘクター 浅野和之/ アーウィン 中村倫也 / 生徒:デイキン 松坂桃李/ ポズナー 太賀 / スクリップス 橋本淳 / アクタール 渋谷謙人 / ティムズ Spi / クラウザー 大野瑞生 / ロックウッド 林田航平 / 教師:リントット[ドロシー] 鷲尾真知子 / 校長: 安原義人/ [美術] 堀尾幸男
by sustena
| 2014-09-21 23:29
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