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2014年 07月 29日

アラン島のセーター────愛蘭土がぶ飲み紀行#9

アラン島はン十年前からの憧れだった。

ファッション誌で荒涼とした海とともにたたずむアランセーターを着たイケメンの写真に溜息をついたし、富岡多恵子がスウィフトの生涯を辿りながらアラン島を旅した写真に、どんな土地だろうと思いめぐらした。

ゴールウェイの港からフェリーで45分ほど。アラン諸島の一番大きな島という意味のイニシュモア島につく。
5分ほど歩くと島の中心地(といってもスーパーと土産物屋、レンタルバイク店、B&Bがちょこっとあるぐらい)で、目の前にセーターを売っているお店がある。
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アラン島のセーターといえば、妻たちが荒れ狂う海に出かける夫たちの安全を祈り、命綱をイメージさせる縄編みをベースに、万が一海に落ちて溺死しても、セータの模様でわが夫とわかるよう、各家庭で独自の模様を組み合わせて心をこめて編んだという。脱脂されていないごわごわの羊毛でできているため、重たいけれど、吹きすさぶ風と寒さから着る人を守ってくれるのだと。

でも、ものの本によると、それは美しい「伝説」であって、産業もないこの島の妻たちの「内職」として20世紀前半になって織られるようになったのだとか・・・。しかも普段編むのは紺色で(だって、白だったらめちゃくちゃ汚れるしー)、白は教会での儀式用なんだとか。えー、そうなのー???

伝説の真偽のほどはともかく、今は機械編のセーターが大半で、手編みのものはHandmadeのタグがついていてかなーり高い(アタリマエだ)。セーターも軽く、おしゃれなデザインのものが多かったよ。

近くにはロバート・フラハティ監督「Man of Aran」の看板もあった。アラン島というと、厳しい自然と戦うアラン島民の過酷な暮らしを描いたこの記録映画(というか、今でいうところの再現映像も多いとされるが)を思い浮かべる人も多いんじゃないかなぁ。
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どれほど過酷だったかというと、岩だらけのこの島には、かつては土らしい土がなかった。
たとえば司馬遼太郎が『街道をゆく』で紹介していた尾島庄太郎さんの次の文章では———
「岩盤の上に『土地』を作るのだ。岩路の砂ほこりや、道の両わきへ踏み弾かれて集まる砂利をあつめ、それに海藻を混えて畑を作る」(『アイルランド文学研究』1956)

掘っても掘っても岩ばかり。そこにワカメなどをまぜてかろうじて土をのっけるのがが、それも風によってさらわれてしまう。そこで石を積み上げて風よけとする。
今は多少は緑が広がり、花が咲いているが、よく見るとほんの数センチ下は岩盤である。
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とはいえ、そんな過酷な自然とアランセーターの魅力に引かれて、人口は約900人のこの島に、年間十数万人を超える観光客がやってくる。現在スーパー1軒、郵便局が1つ、週に2日だけオープンする銀行が1つ。でもパブは5軒!
ケルト十字の墓地を眺め、昼はロブスター料理。いい天気だった。
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by sustena | 2014-07-29 23:44 | | Comments(2)
Commented by iwamoto at 2014-07-30 19:08 x
スウェッタのことは、もう書いたのでやめときます(笑)
海に落ちても、しばらくは、身を護ってくれそうな衣装ではありますよね。

写真、バスからの(?)の前景流れ写真が挿入され、途端に動きが出ますね。 流石です。
しかし、信頼しているライターが、的確に書いてくれて、見事にスッと入って来るお話ばかりでした。
世には、稀に、撮って書ける人がいるんですよね〜。
Commented by sustena at 2014-07-31 00:09
撮って書けるといゔきはiwamotoさんの話でしょ。話題豊富だしー。
私の場合は、下手な鉄砲でも数撃ちゃ・・・路線であります。


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