2014年 07月 24日
アイルランドの主食はジャガイモなんじゃないだろうか、と思うくらい、どんな料理にもことごとくにジャガイモがついてきた。しかしそのバリエーションは意外に少ない。 マッシュポテトか、丸のまま揚げるか茹でるかしたか、あるいは、粉ふき芋みたいなもの。朝食にはハッシュドポテト、そしてフィッシュアンドチップス用に、フライドポテト。 一皿の付け合わせがジャガイモ2種なんてしばしばだ。最初の2枚はマッシュと揚げたの。 これはわかりにくいけど、魚の下にマッシュポテトが敷いてある。 これだけでオシマイかと思ったら、茹ですぎたカリフラワーやブロッコリーとともにでーんとジャガイモが追加で出てきたりする。 このジャガイモ、もともとアイルランドでとれたわけじゃない。たしかコロンブスが新大陸から持ち帰ってきたのが広まったのではなかったか? やせた土地でも栽培でき、泥炭で煮ればそれなりにおいしいと、全土に普及したのは16-17世紀というが、 ではそれまではいったい何を食べていたのかしらん。 とにかく、このジャガイモ栽培が簡単で手塩にかけなくても育ったからアイルランド人がなまけものになったという話があるくらい(えー、これは司馬遼太郎センセイから仕入れた話)で、ジャガイモ栽培の広がりとともに人口もずんずん増えていったときに起きたのが、19世紀半ばの大飢饉である。ジャガイモが片っ端から腐っていったのだ。 当時の人口はおよそ800 万人。このうち100万人が飢え死にし、150 万人がアメリカなどに渡ったという。(その後も人口は流出し、ほん の30年ほどで半分になっちゃう) 一方、アイリッシュ系の移民は新天地で一大勢力となり、ついには大統領まで輩出するようになる。現在アイルランドの人口が約460万人なのに対して、アメリカ合衆国のアイリッシュ系の子孫は3600 万人とか。 思いつくままに挙げてみると、JFKやレーガンやクリントン、最近ではオバマも母方がアイルランド出身だ。それ以外の有名どころではジョン・ウェインにマーガレット・ミッチェル、 スコット・フィッツジェラルド、ジョージア・オキーフ、私の好きなパティ・スミスやトム・ウェイツやクリント・イーストウッドもアイリッシュだなぁ。 こうして見ると、レストランでジャガイモがたんと出てくるにも、なかなか一筋縄ではいかない歴史がひそんでいるのであります。
by sustena
| 2014-07-24 22:49
| 旅
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Comments(4)
ジャガイモなかりせば、ケネディ家の栄光もなし。
ジョージア・オキーフ、パティ・スミス、トム・ウェイツ。 まぁ、なんて趣味がおヨロシイんでしょう。 わたしと一緒や(笑)
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sustena at 2014-07-25 12:11
鉄塔が好きなのも一緒。あんなにすてきな写真はとうてい撮れないけれど。
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kabu360 at 2014-07-25 19:14
ジャガイモが育む人種の歴史?ですかね(^_^;)
難しい話は分かりませんが 美味しさは分かる気がします
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sustena at 2014-07-28 00:00
kabuさん、19世紀と20世紀の人口を比べて20世紀のほうが少ないんですから、いかにアイルランドのジャガイモ飢饉がすさまじかったかと思います。
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