2013年 12月 31日
きのうNHKのEテレ「古典芸能への招待」で京都南座顔見世興行で上演中の『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』と三代猿之助四十八撰の内『義経千本桜 川連法眼館の場』をやっていて、10月に歌舞伎座で見た、同じ「四の切」を思い出した。 歌舞伎座の10月公演は、義経千本桜の通しで、今年の第68回文化庁芸術祭賞演劇部門でも大賞を受賞した名優の揃い踏みが実に見事だった。私は仁左衛門のいがみの権田見たさに夜の部を見たのだが、仁左衛門がこの公演のあと、右肩腱板断裂の治療のために11月12月と休演することになっていたからもう仁左衛門の、一つ一つの動きやセリフをもう食い入るように見ていたのだ。(ちなみに、仁左衛門が休演のため、京都の「元禄忠臣蔵」の徳川綱豊卿は中村梅玉がやったのだが、いかにも真山青果の描く、綱豊らしい大きさと気品があってよかった) おっと、今回は仁左衛門のことではなくて、菊五郎と猿之助の狐の違いの話なのだった。 猿之助の源九郎狐の達者さは誰しもが認めるところで、のけぞったり、くるくるまわったり、早変わりしてササッと義経と静御前の前に登場したりと、サーカスみたいなスピーディな器用さとともに、狐言葉をあやつり、しかも、獣なのに親を慕う心を見せなくてはならないのだけど、以前見たときによりもさらに、派手ながら情感がこもっていて感心しちゃうのだけれど、もう71の菊五郎はとてもとても、あんな動きはできないから、どんなふうに演じるのかなと興味しんしんだったのだ。 それが、もちろんスピード感はないし、宙乗りこそしなかったが、さほど端折らずにちゃんとこなしていたので驚愕。体力おそるべし。しかも、年の功といいましょうか。けれんで驚かないぶん、観客が縁起に集中するからもあるのか、子狐の親を思う情がじんわり広がっていって、味わい深かった。 そうそう静御前、京都は秀太郎で、これも気品と貫祿はさすが。その年齢でこそ表現できるものがあるのよねぇ。 それにしても、猿之助は新歌舞伎座にいつ登場するのかなぁ。 備忘録がてら、10月歌舞伎公演の配役を記しておく。 四幕目 木の実 小金吾討死 いがみの権太仁左衛門 若葉の内侍東 蔵 主馬小金吾梅 枝 猪熊大之進市 蔵 鮓屋弥左衛門歌 六 小せん秀太郎 五幕目 すし屋 いがみの権太仁左衛門 小せん秀太郎 弥助実は三位中将維盛時 蔵 お里孝太郎 お米竹三郎 鮓屋弥左衛門歌 六 若葉の内侍 東 蔵 梶原平三景時我 當 大 詰 川連法眼館 佐藤忠信/忠信実は源九郎狐菊五郎 (京都 猿之助) 静御前時 蔵(秀太郎) 駿河次郎團 蔵(愛之助) 亀井六郎権十郎(松緑) 飛鳥 秀 調(竹三郎) 川連法眼彦三郎(寿 猿) 源義経梅 玉(藤十郎) 元禄忠臣蔵の配役は 御浜御殿綱豊卿 徳川綱豊卿 梅 玉 新井勘解由 我 當 中臈お喜世 孝太郎 小谷甚内 松之助 御祐筆江島 時 蔵 富森助右衛門 中 車
by sustena
| 2013-12-31 00:21
| Theatre/Cinema
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Comments(2)
Commented
at 2013-12-31 07:43
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
sustena at 2014-01-01 14:22
私はミステリに限らず、本は図書館になってしまいました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
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