2013年 12月 07日
国立能楽堂30周記念の12月特別講演を見にでかけた。 演目は「釣り狐と太鼓負」である。 春に演目が発表になってからずっと楽しみにしていたもの。なぜって、釣り狐をこれまで実際の舞台で見たことがかったから。 (もっとも、そもそも能・狂言は滅多に見ていない。大学時代にやったアルバイトの一つが能の受付があった。毎月、能や狂言の舞台のある日は、美容室で髪をブローしてもらってから、開演1時間前から受付をするんである。で、開演後30分も経ったら、もう遅れて来る人もいないので、中に入って見てよかった。 でも、能は何をいっているかよくわからなくて、必死に見ていても、そのうち夢現になるのがほとんどだった。その後、狂言は世田谷パブリックシアターで何回か見ているけれど、なんだか分かりよくアレンジしたものだろうなぁというイメージが抜けないでいた。 というわけで、演じるのがタイヘンという釣り狐を一度は見てみたいとズーッと思っていたのである。 今回は、しかも人間国宝の山本東次郎さんである。 一族の狐が次々と猟師のワナにかかってやられてしまったのを恨みに思う老狐は、漁師の伯父の僧侶・白蔵主に化けて猟師のところにおもむく。そして、殺生への戒めを語り、キツネを釣るワナを仕掛けるのをやめさせようとする。説得が聞き入れられ、老狐は喜んで家に帰ろうとするが、途中、捨て罠の鼠の油揚を見つけて、危険とは知りつつ、食べたさに煩悶する。 前半の白蔵主に化けていたときの緊張感、犬に驚くさま、後半のネズミの油揚を食べたさに本能と理性のはざまでワナワナするところは無類のおもしろさ。 素囃子をはさんで次のプログラムの「太鼓負」は今にも通じる夫婦の機微が楽しい。祇園祭で例年と同じように警護の仕事を言いつかってきた夫にわ妻が「そんなにつまらない役だなんて!あなりはもういい古株なんだから、別のもっと映える役に変更してもらいなさい。さもないと、家には入れないから」と無理強いする。 そこで夫は太鼓を持つ役となり、妻はその様子を遠くからうかがうのだが、大汗を書いて奮闘する夫の姿を見て、仲直りして家に帰るというお話。 こちらは大好きな万作さんが出ること、そして、参詣人のほか、祭頭や紙子、稚児など多数の役者が必要で、こんなに大勢が登場するノョ右舷もあるんだということにまずびっくり。 稚児をつとめた野村萬斎の長男の野村裕基くんがすっかり大きくなっていたので、これまたびっくり。 国立能楽堂はとても見やすくて、また心ひかれる演目があったら、能は苦手といわず、出かけてみようと思った。それにしても、観客の高齢度は高かったな・・・。
by sustena
| 2013-12-07 22:37
| Theatre/Cinema
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