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2013年 04月 10日

谷川俊太郎『写真』

谷川俊太郎『写真』_c0155474_2221344.jpgA6判横位置(11X15cm)の小さな本。左ページに谷川さんの撮った写真、右が写真とセットの文章。それが52並んでる。

最初の写真は家(小屋?)にうつった植物の影。こんな文章がついている。
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どんな情景もどんなドラマも光と影に還元してしまうのが、写真の魅力なのかと思う。太陽がもたらした今朝の光が、人知のよおよばない長旅をしてきていることを私たちは忘れがちだ。
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52枚目は、家の中から撮った窓辺の風景。すりガラスごしにぼんやり緑が透けて見え、飴色のガラス(?)に描かれたラクダ(?)のオブジェが窓辺にさがってる。それに添えられたコピーは・・・。
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フェルメールは画の中で時を静止させた。フリーズした時間は現在ではなく、限りなく重層した過去と未来だ。<いまここ>を静謐な魂の深みで感じられれば、現実は動かすことのできぬ真実をあらわにする。
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写真や思索をめぐるエピグラムが考え抜かれたページネーションで展開する。飯沢耕太郎さんの解説つき。そうそう、写真の多くはオリンパスのOM-Dらしい。

晶文社 2013年2月刊
谷川俊太郎『写真』_c0155474_2215593.jpg


by sustena | 2013-04-10 21:25 | 読んだ本のこと | Comments(6)
Commented by iwamoto at 2013-04-10 23:14 x
面白しろそうな本ですね。
紹介も素敵。
Commented by esiko1837 at 2013-04-11 22:10
とっても深い言葉が綴られているのですね。
バタバタと考えなしに動いている日常を振り返るのにいいかも。
この本、私も探してみます。

そうそう、前に友人に譲ったOM-Dを返してもらう事になりました。
私、やっぱりオリンパスが好きです。
Commented by sustena at 2013-04-11 23:39
iwamotoさん、谷川さんが自分で写真を撮り始めるのは、二眼レフのリコーフレックスを買ってもらってからなんだそうです。いっときは自分で現像もしていたそうです。写真のセレクトとあわせて、不思議なリズム感がありました。
Commented by sustena at 2013-04-11 23:42
esikoさん、「三十数年前にも新宿のマンションのワンルームで、こうして独りで写真を撮っていた。人生のほとんどは繰り返しで成り立っているのだと気づく。撮ろうとする対象も、その切り取り方も、ともするとリフレインしそう。」なんてページもありました。
Commented by Lucian at 2013-04-12 21:51 x
さすがは詩人ですね。
52番目の文章で、時間の本質を語られていると思います。
Commented by sustena at 2013-04-13 23:36
含蓄のある文章を単につるつるって読み流していてはイケナイんですけど・・・・。


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