2011年 08月 17日
これまた先日、神奈川芸術劇場(KAAT)で、「杉本文楽 木偶坊 入情(でくのぼういりなさけ)曾根崎心中付り(つけたり)観音廻り」を見てきた。 この公演、ほんとは、今年の3月23日~27日に予定されていて、チケットを買って楽しみにしていたのだが、公演がキャンセルとなってとても残念でならなかったのだが、8月にやると聞いて、チケットが値上がりしたのはうむむだったけれど、今度こそと、最前列、せりだし横の席をゲットしたのであった。 国立劇場小劇場では、曾根崎心中は、吉田玉男と簑助のコンビのを見ていたから、今回の興味は、写真家であり、現代美術作家の杉本博司が、いったいどんな文楽の舞台をつくりあげるかであった(杉本は、構成、演出、舞台美術、映像を手がけた)。 そしてもうひとつの興味が、2008年に富山県黒部で発見された初版完全本を原典として使用し、冒頭に、今では上演されることのない「観音廻り」を復活させたこと。これによって、徳兵衛と心中するお初が、実は観音信仰に深く帰依していたことが示される。この観音廻りでは勘十郎が小振りな文楽人形を一人遣いをするのも見どころ。 しかし、KAATの大劇場でいったいどんな文楽が・・・?会場が大きすぎやしないだろうか? と思いながら会場に入る。舞台は中央が突き出した凸の形。真っ暗ななか、舞台中央から奥に向かってスポットライトがさして、いかにも杉本好みの空である間。太夫と三味線は左右に配置されていた(交互に座っていた)。 プロローグでは、ちょうど私の席の隣の凸部にあるスッポンのようなせりあがり部から三味線の鶴澤清治が登場(音にぞくぞくしちゃった)。しばらくして舞台横からは鼓弓の清志郎が。そして観音廻りのシーンとなり、舞台奥から勘十郎がゆっくりと歩いていて、その両側のスクリーンに、文楽人形のアップやお寺の名前などが大写しになる。 続く生玉社の段の鳥居を見たときは、直島の杉本の手になる神社を連想したよ。 人形の遣い手たちは最後まで顔をおおったまま。黒のバックに人形が浮かびあがる。シンプルな舞台に黒バックで、いつもの文楽とはずいぶんと違った印象である。 道行の場面では、ふたたびあらわれたスクリーンに、モノトーンの木々が。心中の場面はちょうど横からみる形で、簑助の遣う徳兵衛がこときれた場面は、あ、いま死んだなということが実によくわかるのだった。 いつもながら簑助の人形は生きているみたい。玉男の徳兵衛とはまた別の艶があった。 そうそ、カーテンコールのある文楽は初めてみたよー。 ポスターの絵は山口晃。
by sustena
| 2011-08-17 09:46
| Theatre/Cinema
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Comments(2)
げにやあんらくせかいより、いまこのしゃばにじげんして、われらがためのかんぜおん、あおぐもたかしたかきやの。。。ええと中略。。。。みつづつとおとみつのかね・・・・だったっけかな、あの観世音廻りって場は上演されてなかった?テキスト丸暗記しただけで、一度も人形あやつるのを見てないんですねえLOL.
変体仮名の影印本で丸暗記してたのに、もう40年もたつとさっぱり読めなくなってますねえ。あれをすらすら読めてたブラジルからの日系の留学生の女子はまだ生きてるかなあ。。。
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Commented
by
sustena at 2011-08-21 23:50
すごい!あんなのたくったような仮名は私は全然読めませーん。
私は歌舞伎と文楽で3回ぐらいみただけなんですが、どれも生玉社の段からのスタートでした。 |
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