いつもココロに?マーク

sustena.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2011年 06月 17日

コクーン歌舞伎『盟三五大切』

c0155474_23273237.jpg
串田和美演出のコクーン歌舞伎は、現代的で濃厚な舞台だった。

売れっ子芸者の小万(菊之助)と夫の三五郎(勘太郎)は、仲間とひと芝居売って、小万に惚れこんでいる塩冶の浪人・源五兵衛(橋之助)から百両をだましとる。そのお金は、討ち入りに加わるために、おじの富森助右衛門からもらった大切なお金だった。五大力(=「●●さま命」みたいな証です)を腕に彫って、自分への愛を誓ったはずの小万の裏切りを知った源五兵衛は、復讐の鬼と化し、三五郎の仲間を斬殺する。

大慌てで逃れた小万と三五郎は、貸家に引っ越す。そこは、お岩の亡霊が出るというウワサの出る家だったが、なんのことはない大家が店子を追い出して店賃をせしめていたのだ。しかし、安らぎも束の間、源五兵衛に居場所をつきとめられ、小万は赤子とともに切り殺されてしまう。

小万の首を見ながら、食事をとっている源五兵衛のもとに、三五郎の父(笹野高史)が百両を持ってやってくる。実は源五兵衛は不破数右衛門といい、三五郎の父の旧主だったのだ。不破数右衛門に渡すために、源五兵衛を騙してしまったことを知った三五郎は、源五兵衛の罪をかぶり自害する・・・。

とまぁ、忠臣蔵の世界を背景に、鶴屋南北らしい、実にクラーイ、陰惨な話なのであります。

運命を感じさせる場面では、生演奏のチェロが奏でられる。歌舞伎にチェロなんて、と思う向きもあるかもしれないけれど、小万と三五郎夫婦の騙した後ろめたさ、復讐の影におびえる不安、源五兵衛のくらい決意が、ずずーんと伝わってくる。

回り舞台もよかった。5人斬りの場面の迫力、また復讐を果たし、三五郎夫妻が大家の弥助(彌十郎)を殺めて手に入れた高家の絵図面を携え、放心状態で討ち入りへと向かう最後の場面で、それまでの惨劇が夢か幻であったかのようにくるくるとまわるのが実に印象的。

橋之助の源五兵衛は、小万を殺したあとで飯を食べる場面がよかったなぁ。急須を掲げ、お茶を口に向け流し込む場面、以前の花形歌舞伎でこの芝居をやったときは、はてどんな演出だったかしら。

勘太郎の声と表情が、勘三郎にそっくりだったのにはちょっとびっくり。(そういえば、勘三郎は、最後、大星の声で出演してたよ)。菊之助は香るような美しい小万で、源五兵衛を騙すことに怯えている感じがすてき。たぶん半分は源五兵衛に惚れていたんだろうなぁ、五大力に三と七を書き加えて「三五大切」とする場面のつらそうな表情、そして殺される場面の美しさときたら。

橋之助の長男の国生はちょっぴり学芸会みたいだったけど、これは仕方がないか。彌十郎のいつもながらの存在感、笹野の味も、いかにもコクーン歌舞伎といったところ。

そしてコクーン歌舞伎といえば、いつも平場の最前列は水をかぶるけれど、今回はなんと通路の両脇も平場野客にはずーっとビニールが配られる。あれ、今回は川も、樽もないのに・・と思っていたらなんともハデな源五兵衛の心象風景を強調する仕掛け。これはまぁ、お楽しみであります。

演出・美術 串田和美

薩摩源五兵衛実ハ不破数右衛門  中村 橋之助
芸者妲妃の小万実ハ神谷召使お六  尾上 菊之助
船頭笹野屋三五郎実ハ徳右衛門倅千太郎  中村 勘太郎
芸者菊野  坂東 新悟
若党六七八右衛門  中村 国生
徳右衛門同心了心  笹野 高史
船頭お先の伊之助  片岡 亀蔵
富森助右衛門/家主くり廻しの弥助実ハ神谷下部土手平  坂東 彌十郎
c0155474_2326795.jpg


by sustena | 2011-06-17 00:23 | Theatre/Cinema | Comments(4)
Commented by esiko1837 at 2011-06-17 05:48
サステナさんの書いたのを読んでいると、いつも歌舞伎が見たくなります。
今までは忙しい生活で、たまに上京しても観劇にさく時間はとれなかったけど、今はとれるんだよね~・・。
串田和美さんって、「おひさま」のお義父さん役をしてる俳優さんですよね。
串田孫一さんの息子さんだってのは知ってましたが、歌舞伎の演出もしてるなんて知りませんでした。
って・・・殆どがそもそも歌舞伎について知らないのでした。
Commented by higphotos at 2011-06-17 13:02
ズバっと待ち撮りのショーウィンドウスナップ。
気持ちイイですね。
こういう写真が好きで、撮りたいですが、なかなか。。。小僧ばかりです。
Commented by sustena at 2011-06-17 23:14
先日、串田さんが「おひさま」に出ているのを初めて知りました。けっこう好きな顔です。で、歌舞伎ですけど、ワタシもここ2年ぐらい見始めたシロートなので、なーにもワカッテいないのですが、いい席で見ているのでけっこう楽しいです。
Commented by sustena at 2011-06-17 23:34
higphotosさん、最近あまりいいショーウィンドウの出物がない・・というよりあまりあちこち歩き回ってないので、ちょっぴりサビシイです。


<< 早歩き      東京都写真美術館「プラハ196... >>