2011年 05月 21日
息子と新国立劇場で上演中の「鳥瞰図」(作:早船 聡/演出:松本祐子)を見てきた。初演は2008年6月。シリーズ・同世代」の連続上演の1本として初演され、評判がよかったという。 東京湾岸のある町。今回の震災で液状化の被害を受けた浦安あたりだろうか。かつてここは渡り鳥が平井する干潟が広がり、住民の多くが海から糧を得ていた。しかし、工業化により汚染が進み、今では4分の3が埋め立てられ、団地が立ち並ぶ。ここの釣り船宿「升本」が芝居の舞台である。 3代続く老舗だが、現在は女将の佐和子(渡辺美佐子)と息子の茂雄(入江雅人)が常連客相手に細々と営業を続けている。埋め立てに最後まで反対した老人、夫と離婚し、夫の住む大阪で中高一貫校に通う息子からのメールを楽しみにしている自動車のセールスをしているキャリアウーマンとその弟、病院相手のセールスをしているが、しょっちゅうさぼりに来る男、何をやりたいかが見つけられずに、当面ふ穂の免許をとることを目標にアルバイトしている男の子・・と、登場人物はみんなどこかしら欠落感を抱えているが、近所のウワサ話なダベりにやってくる。そんなある日、ミオ(野村佑香)という若い女性が船宿を訪れる。彼女は、事故でなくなった佐和子の長女の娘だった。干潟で撮った家族の写真を見せて、この場所はどこ?と尋ねる。 少しずつ、この土地の歴史と、家族の過去が明らかになっていく・・・。 早船聡は1971年生という。声高なメッセージではなく、日常の、ああいまの時代の会話だなぁというゆるーいトーンで少しずつそれぞれの人間関係が明らかになっていくところがよかった。 渡辺美佐子はさすがにうまくて、でも登場人物みんな、いかにもいそうな隣人たち。欠落を抱えながらも生きていくんだよね、とシミジミしたことだった。 他に、八十田勇一 弘中麻紀 浅野雅博 佐藤銀平 品川 徹
by sustena
| 2011-05-21 00:20
| Theatre/Cinema
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Comments(4)
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ken_kisaragi at 2011-05-22 00:50
埋めがたき欠落感・・・サルトルは鏡に映った我が顔がのっぺらぼうに見えたらしいです。
自分の顔に個の存在を示す記号が何も見つからない! ということなのでしょう。 自分などの凡人は、埋めがたきを埋め、という悪あがきが結構楽しいのですが。ヾ(*´∀`*)ノ
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sustena at 2011-05-22 16:13
ここに出てくる登場人物は、バツイチだったり、連れ子だったり、ニョーボーに口を聞いてもらえなかったりするような人ばっかりだけど、いまやそっちのほうがフツーで標準家族なんてどこにもいない。そんななかで関係性をどう築いていくのかってことはやはりオモシロイことで、虚無感をかかえてボーゼンとしている高等遊民にはなれないなぁと思ったことでした。
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jmiin at 2011-05-23 05:27
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sustena at 2011-05-23 23:20
淡路島の洲本のビーチでーす。
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