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2011年 01月 04日

足澤るり子『展覧会をつくる』

足澤るり子『展覧会をつくる』_c0155474_1646161.jpg足澤るり子さんの『展覧会をつくる 一枚の絵がここにくるまで』(柏書房 2010年11月刊)を読んだ。

著者の足澤さんは、1950年東京生まれ。1975年からパリに暮らし、東京都パリ事務所勤務を経て、フリーランスで展覧会やコンサートのコーディネーターとして活躍している人。

この本はかつてダリの絵に感動して、ホンモノに触れることの大切さを両親から教えられた足澤さんが、やがてフランスで結婚したあと、離婚を経て、友人とのつながりから、やがて展覧会の仕事にかかわるようになり、母の死を乗り越えて、日仏の文化交流に奔走するに至る日々を綴ったもの。

読者は、美術展の成功には、卓抜なコンセプトと(単に名作を並べればいいってものではない)、何よりも人と人の出会いや想い、情熱が重要であること、そしていろいろな人の想いをつないでいくコーディネーターの存在の大きさに想いをいたすことになる。

私たちがふだん知ることのない美術展の舞台裏で活躍するコーディネーターの役割は実に広範囲だ。
展覧会のコンセプトの翻訳、展示に必要な作品の借用願いの作成、企画関係者が出張する際のアポイントの調整、美術作品の借用交渉の通訳、ときには、学芸員の代行として、直接作品の借用交渉を行うこともある。そして、美術館などから作品の貸し出しが承認されると、日本側と相手側の美術館のつなぎ役兼調整役として、連絡事項を次々にさばいていく。事務仕事も山のようにある。契約書の作成や翻訳、展覧会のカタログに使う展示作品の画像の版権所有者から画像を入手して日本に送る。作品の輸送にあたっては、作品を貸し出す側との連絡調整もある。税関を通る際に必要な書類がそろっていない、なんてトラブルは日常茶飯事だ。さぞかし戦争状態だろうなぁと想像する。人と人のかかわる現場だけに、人脈は広ければ広いほど武器になる。

そんな日々を通じて著者が学んだ仕事のルールや人生観、さまざまな出会いがイヤ味なくサラッと語られていて、とても好ましかった。

あーあ、ン十年も生きていて、ロクな仕事をしていないなぁ・・・・・、とわが身を反省したことでありました。
足澤るり子『展覧会をつくる』_c0155474_22561253.jpg


by sustena | 2011-01-04 22:56 | 読んだ本のこと | Comments(6)
Commented by higphotos at 2011-01-05 12:57
あけましておめでとうございます。
今年もキラキラの都会のスナップを楽しみにしています。

顔写真は。。。最近はレベルが高すぎてついて行けません。

今年もよろしくお願いします。
Commented by Cakeater at 2011-01-05 16:14 x
新年おめでとうございます。
写真は、とても日本にはみえない。。。すぐ近くにキタムラがあるような感じは皆無ですねえ。(笑い)
今年もよろしうおねがいいたします。
Commented by iwamoto at 2011-01-05 16:53 x
わたしも50年生まれ。 たいした仕事はしておりません。
Commented by sustena at 2011-01-06 22:03
higphotosさん、今年は初心にかえって銀座周辺をせっせと歩くつもりです。最近だんだん発見がなくなってヤバッと思ってるんです。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
Commented by sustena at 2011-01-06 22:05
Cakeaterさん、何の変哲もない公園ですけど、歩くたびに愛着がわきます。自分の庭だと思っている人が多くて、けっこうウルサがたも多いので、管理事務所のひとはたいへんだろうなぁ。
今年はCakeaterさんの紹介してくださっているおいしそうなお店に遠征してみようとひそかに考えています。
Commented by sustena at 2011-01-06 22:06
iwamotoさんはちょびっとお兄サマなのねー。今後ともご指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。


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