2010年 06月 04日
このところ、歌舞伎関係の(わかりやすい)本が目につくと読んでいる。 『吉原手引草』で第137回直木賞を受賞した松井今朝子さんによる『歌舞伎の中の日本』(2010年3月 日本放送出版協会・刊)は、小さいころから歌舞伎が大好きで、小学校時代にひとりで新幹線に乗って歌舞伎座に通い、大学で歌舞伎を研究し、松竹に入社して歌舞伎の企画・制作に携わり、フリーとなって歌舞伎の脚色・演出・評論などを手がけるとともに、『仲蔵狂乱』などで、歌舞伎をテーマにした小説で、歌舞伎と役者の魅力や業をを描き出した、骨の隋まで歌舞伎が好きなひとによる歌舞伎案内。 歌舞伎の代表的なレパートリー10篇を選び、歌舞伎の歴史にそって、その作品の成立した時代背景や見どころ、また当時の観客がどのようにその作品を受け止めていたのか、いまに通じる日本人のメンタリティはどこにあるのかを論じ、歌舞伎を単なる古典芸能としてだけでなく、いろいろな角度からその魅力を浮かび上がらせるものとなっている。ちょうど1カ月くらい前に、NHKでこの本と同じ構成・視点で、松井さんがゲストとなって歌舞伎を解説したテレビ番組を見たあとだったから、またとない復習ともなった(もちろん、テレビを見ていない人にとってもよくわかる)。 何よりも、この章立てが、この本の特徴を語っている。 第1章 お約束のヒーロー登場―『暫』 第2章 光源氏の末裔―『廓文章』 第3章 身替わり劇のメカニズム―『菅原伝授手習鑑(寺子屋)』 第4章 人間を省みる動物ファンタジー―『義経千本桜(四ノ切)』 第5章 あなたは本当の「忠臣蔵」をご存知ですか?―『仮名手本忠臣蔵』 第6章 任侠の原点―『夏祭浪花鑑』 第7章 道具によるモンタージュ―『楼門五三桐(山門)』 第8章 メルヘン舞踊の粋―『積恋雪関扉』 第9章 和製ホラーの女王―『東海道四谷怪談』 第10章 幕末版「俺たちに明日はない」―『三人吉三廓初買』 西洋では、歌舞伎のようにこんなに芝居に動物が登場することがないだなんて、松井さんに指摘されるまで気づかなかったぞ。
by sustena
| 2010-06-04 23:09
| 読んだ本のこと
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