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2009年 10月 08日

シアターコクーン『コースト・オブ・ユートピア-ユートピアの岸へ』

今月は体力戦の観劇に臨んだ。
Bunkamura20周年記念特別企画の『コースト・オブ・ユートピア-ユートピアの岸へ』であります。
『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』で有名な、チェコ出身のイギリスの劇作家・トム・ストッパードの、3部作を一挙上演したもの。休憩を含めて10時間20分、これを正午から見た。

舞台は農奴解放前の19世紀のロシア。勃興するフランスの共和主義の波を受けて、哲学論議に明け暮れるロシアの知識人たちが、革命を夢見て、フランスに渡り、挫折する。その後イギリスに亡命し、理想の社会を求めて出版活動を続けるが、現実の生活を前に、それぞれの道へと歩む・・・。

第一部:VOYAGE「船出」
第二部:SHIPWRECK「難破」
第三部:SALVAGE「漂着」

なんといっても、ロシアが舞台なので、名前がスッとは頭に入らない。最初、各部の配役表が渡されるのだが、通しで同じ役なのは、アレクサンドル・ゲルツェン役の阿部寛、ミハイル・バクーニンの勝村政信、ニコライ・オガリョーフの石丸幹二、ツルゲーネフの別所哲也だけ。

バクーニン家の4姉妹(リュボーフィ、ヴァレンカ、タチヤーナ、アレクサンドラは名前もワヤになっちゃうし、
紺野まひる、京野ことみ、美波、高橋真唯の4人が最初区別がななかつかなくて、配役とその関係、性格が飲み込めるまで、1分の半分ぐらいを擁したものだ。

でも、知識人タチガ哲学談義を繰り広げるから退屈な舞台化というとさにあらず。実にヒューマンでユーモアがあって、バクーニンがあんなにタカリのムシだなんてねぇ。あんなに恋心を抱いた男が舞台でバッタバッタと倒れて見せるなんてと、とても彼らが人間くさくて、共感してしまう。

なにしろ、正味役9時間だから、みている方も、演じる方も、なんだかみんなで大仕事をなし遂げているようなものなのだ。
舞台上では30年間もの時間が経つわけだから、3部に登場するバクーニンは大デブ。最初登場したときは、これが勝村サン?と観客はみなびっくり。それで脚が組めなくてこけたり、上着がすんなり脱げなくて、苦心惨憺してるときなど、ほかの役者がいいセリフを謳ってるのに、バクーニンに目が釘付け。

阿部寛は、あんなに厖大なセリフをよくおぼえたものだなぁ。しかも聞き取りやすい声。1部の瑳川哲朗と瑳川哲朗と長谷川博己、3部の毬谷友子がよかったな。

作/トム・ストッパード
演 出/蜷川幸雄
出 演/阿部寛、勝村政信、石丸幹二、池内博之、別所哲也、長谷川博己 紺野まひる、京野ことみ、美波、高橋真唯、佐藤江梨子 水野美紀、栗山千明、とよた真帆 大森博史、松尾敏伸、大石継太、横田栄司 銀粉蝶、毬谷友子、瑳川哲朗、麻実れい     他
シアターコクーン『コースト・オブ・ユートピア-ユートピアの岸へ』_c0155474_2512656.jpg

GRDIII

by sustena | 2009-10-08 02:51 | Theatre/Cinema | Comments(0)


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