2009年 10月 08日
写真美術館でやってる「旅する写真」展に行きたいなぁと思っていたのに、うっかりしてる間に、いつのまにか第2部が終わって、いまやってるのは第3部。第3部だけでも観に行こうって、この『旅する写真』(東京都写真美術館/編 旅行読売出版社 2009年5月刊 167ページ)を観て思った。 東京都写真美術館では、所蔵品を中心に、1年ごとのテーマを決めていろいろな角度からの企画展を実施しているのだけれど、平成21年のキーワードが「旅」で、この本はその公式ガイドブックなのである。旅がテーマなので、旅行読売出版社が協賛したんだろうけれど、旅の写真ばかり集めた展覧会なのかというとさにあらず。 第1部 東方へ―19世紀写真術の旅(異境へのまなざし) 第2部 異郷へ―写真家たちのセンチメンタル・ジャーニー(9人の旅人の軌跡) 第3部 異邦へ―日本の写真家たちが見つめた異国世界 という構成になっていて、1部は19世紀に写真が発明されて、移動手段としての交通網の発達と軌を一にして写真術も次第に東方へと普及していくまで。ダゲレオタイプやカロタイプを携えて、イタリアへ。そして、エジプト、中国、日本へと進むうち、写真は次第にイメージハンターとして欲望を肥大させていく。日本では、手彩色の横浜写真など、オリエンタリズムに魅せられてやってくる観光客相手のフジヤマゲイシャのイメージを増幅させる写真も登場する。写真によって異境を現実として認識することができ、新しい世界観をうみだす原動力になったということを跡づける。 第2部では、内藤正敏、秋山亮二、土田ヒロミ、牛腸茂雄、荒木経惟、森山大道、柳沢信、須田一政、北井一夫の9名の写真家の代表作にことよせながら、彼らが、写真を撮ることによって、日本を見つめてきたこと。旅の写真だけでなく、撮ることによって、社会と自分との関係を問い直すこと、それ自体が旅であるというようなメッセージでまとめられていた。柳沢信の写真が好きだなぁ。 第3部は写真家たちが、海外で何を見つめたのか、海外の事物との出会いが、自分の内に潜む感性や意識に気づき、触発され、代表作をうみだしていったことを伝える。登場する写真家は、福原信三、安本江陽、木村伊兵衛、渡辺義雄、名取洋之助、奈良原一高、港千尋ら。渡辺義男の建築写真の切り取り方のカッコイイこと!しかも、絶妙な人物の配置。おお!とうなってしまった。 しかーし、本のサイズが小さいのがなんとも物足りないのである。これは、大きいのでぜひ観なくっちゃ。 OLYMPUS C3040Z
by sustena
| 2009-10-08 01:13
| 読んだ本のこと
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Comments(4)
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ken_kisaragi
at 2009-10-08 08:02
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一枚一枚の写真をじっくり見るのも良いですけど、
大量の写真を、流れとか群で見ると、また違ったものが発見出来ますよね。 テーマも時系列毎に組まれ、見易そうです。 大阪でも見たいものです。
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higphotos at 2009-10-08 11:26
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sustena at 2009-10-09 22:38
ken_kisaragiさん、やっぱりちゃんと焼いたプリントは、モニタでみているのと大違いです。でも旅というテーマってむずかしそう。単に海外で撮った写真を並べてもバカみたいだから。全3部は企画者の力量を問われる企画展ですね。
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sustena at 2009-10-09 22:40
higphotosさん、ケニアは子どもが小学生のときに気に入って二度行きました。専門の代理店で行きたい国立公園を組み合わせてもらうと、一般的なツアーより安上がりで、じっくり見られますよ~。
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