2009年 07月 16日
きのう国立演芸場で、談志の落語を聴いた。6・7・8月に一晩ずつやるひとり会の7月の分のチケットがとれたのである。 ところが談志は不機嫌である。おれのチケットがプレミアついて7万円だって?冗談じゃない。落語なんて、そんなに大枚はたいて聴くもんじゃないよ。そうだ、きょうは、談志の落語会の価値を落としてやる。ああ、来て損した。つまらなかったなぁという噺をしてやる。 それにしても、最近はあきれることが多いよね。池袋演芸場で、テレビの仕事が入ったからって代役を立てるやつがいる。演芸場の噺は仕事じゃないってのか。勉強しないやつも増えたねぇ。第一、落語が通じなくなった。ご隠居さん、八つぁんの関係性がどこにあるってんだ。俺が若いときに喝破した通りだろう。落語なんていまに能みたいになるよ。イリュージョンだってね。 なんだかぶつぶつ言ってるうちに最初の「勘定板」はオシマイ。仲入りのあと、おや、平林が出てくる。師匠から、談志の落語会の価値を下げるためにお前やれと言われた。困ったなぁ・・といいながら、先日の立川流のときと同じ「浮世根問」。名古屋便でみゃあみゃあ、おもしろいけど、まったく同じとは芸がないぞー。 さて、そのあと、ああよかった。御大の再登場。「よかちょろ」から「山崎屋」へ。とくに「よかちょろ」がよかった。 決してベストの調子じゃない。そりゃもう73歳で、食道がんに続いてノドのがんも患ったし、なんだか耳も遠いんだって。そのためか、しゃがれた声がちょと聞き取りにくいし、滑舌もいまいちなところもある。でも、江戸の風景(知らないけどさ)が目に浮かぶんである。 山崎屋に移ったところで、これサゲが難しいんだよなァと精彩を欠いてしまって、最後には、もうちゃんと正坐ができないんだよ、このあと、弟子が俺をかついでいくのね・・・なんて言って四つんばいになってヨタヨタしてたけど、マジメすぎるくらいに落語って何か、考え続けて、粋がって生きてきた天才の姿、鬼気せまるところとひょうひょうとしたところがないまぜになって、独特の余韻を残したのだった。 はねたあと、神保町の嘉門で飲む。豆腐にピータンを裏ごし?してごま油をたらし、キュウリのみじん切りと松の実の揚げたのとミョーガをのっけた一品が最高だった。ピータンとはなかなか思わなくて、エビ味噌でもカニミソでもない、これは何か・・と悩んじゃった。
by sustena
| 2009-07-16 23:50
| Theatre/Cinema
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