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2009年 01月 21日

小林 泰三『日本の国宝、最初はこんな色だった』

c0155474_026892.jpg小林 泰三さんの『日本の国宝、最初はこんな色だった』(光文社新書 2008年10月)を読む。

神社仏閣に行ったり、昔の日本の屏風絵や襖、掛け軸などを見て、 古風なわびさびの世界だよなァと思っていたら、実は金ぴかだった、なんて話はよく聞く。
この本の著者の小林泰三さんは、90年代半ば頃よりデジタル復元に携わってきた人。
この本では、2006年に小林さんがNHKハイビジョン「東大寺―よみがえる仏の大宇宙」で見せてくれた創建当時の東大寺大仏殿の内装と仏像の色彩復元や、「狩野派の屏風・花下遊楽図屏風」「平治物語絵巻・六波羅合戦巻」「地獄草紙」「など、これまでに手がけてきたデジタル復元の実際を、そのプロセスを辿りながら紹介したもの。

大仏殿はめちゃくちゃカラフルで、地獄絵図はすごくリアル。デジタル復元なら、自在に配置したりすることも思いのまま。専門家にヒアリングし、学術的な根拠にもとづいて、制作当初の色彩に復元して、「参加する視点」で作品を鑑賞すると、作者の気持ちや時代の空気が見えてくる、と小林さんは言う。

おもしろかったフレーズ。

観察するのを黙読とするなら、復元作業は精読、あるいは音読のようだ。あらかじめどんなにつぶさに観察をしても、実際にしわを徐々にとりのぞいてはじめて気づくことが必ず出てくる。

狩野永徳の檜図屏風を復元したとき、これが屏風でなくて襖図のほうがダイナミックだ!と推察する場面、また、「花下遊楽図屏風」をの右隻右端の侍女と、左隻左端の侍女の大きさが違うことを発見し、右を手前に左を奥に置いた方がいい、と確信する場面のいきいきした筆致!

デジタル復元じたいは、地味で根気のいる作業だけれど、これを通して、当時の作り手、鑑賞者たちの心に迫る手応えを小林さんは感じているのだろう。

デジタル復元の基本
第1章 大仏殿は最新モード―東大寺大仏殿
第2章 鮮やかな闇―地獄草紙
第3章 無常観にズーム・イン―平治物語絵巻
第4章 飛び出す襖絵―檜図屏風
第5章 醍醐の花見にお邪魔します―花下遊楽図屏風
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メキシコの人類学博物館で見たこの雨の神(うろ覚えモード)も、ものすごくハデハデだったらしい。
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by sustena | 2009-01-21 00:50 | 読んだ本のこと | Comments(0)


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