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2012年 09月 30日

池井戸潤『ロスジェネの逆襲』

池井戸潤『ロスジェネの逆襲』_c0155474_23271254.jpg『下町ロケット』で直木賞を受賞した池井戸潤さんの『ロスジェネの逆襲』(ダイヤモンド社 2012年6月刊)を読む。

東京セントラル証券はIT企業で急成長を続けてきた電脳雑伎集団から、ライバル企業の東京スパイラル買収の相談を受けていた。成功すれば、アドバイザー契約で巨額の手数料が入るだけでなく、M&Aの分野で知名度が上がる。しかし、親会社である東京中央銀行がにアドバイザー契約を奪われてしまう。理不尽な横槍が入る転がしけていた。したいと相談を受ける。
主人公の半沢直樹(オレバブシリーズの人気キャラ)は、部下のロスジェネ世代の森山雅弘とともに、東京スパイラルの側に立ち、買収阻止に繰り出す。果たして・・?

敵対的買収とか時間外取引とか、ホワイトナイトとか、ライブドア問題のときに世間を賑わした単語がイロイロ出てきて、魑魅魍魎が跋扈する企業買収と金融業界の世界を、超特急ェットコースターのエンタテイメント企業小説に仕立て上げてる。

「人事が怖くてサラリーマンが勤まるか」

水戸黄門みたいというか、ちょっと勧善懲悪すぎて、読んでて恥ずかしくなるようなクサイセリフがてんこ盛りで、おいおい・・・・というところがいっぱいあるけど、スピード感はマル。
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# by sustena | 2012-09-30 23:23 | 読んだ本のこと | Comments(4)
2012年 09月 30日

南伸坊『本人伝説』

南伸坊『本人伝説』_c0155474_234715.jpg南伸坊の『本人伝説』(文藝春秋 2012年9月刊)を電車の中で読んで、思わず吹き出しそうになってアセッた。

これはイラストレーターの南さんが「 顔をキャンバスに」似顔絵を描き、本人になりきって文章も書いてるもので、最近世間の注目を集めた73人の有名人に変身してる。
写真は奥さんの南文子さん。ライティングは卓上スタンド1本。なので、陰影がほしいところは「物理的に影を描」いちゃう。あのおにぎりフェースで、とんがった顔の人にどう似せるの?って、それがまぁ超絶テクであります。

有名人なりきりアートとしては森村泰昌さんが有名だけど、あっちがアートとすれば、南伸坊さんのほうは落書きアート。肩が凝らず、ゆるい感じがたまらない。

最初美形はやっはりムリがあるな・・と思ったけど、二度目に見たらこれはこれで味わいが。
文句なく楽しいです。

松田聖子/荒木経惟/篠山紀信/ヨーコ・オノ/草間彌生/山下清/スティーブ・ジョブズ/ワンチュク国王/猫ひろし/ウッディ・アレン/糸井重里/吉本隆明/鶴見俊輔/福岡伸一/田中直紀/内田裕也/由紀さおり/橋下徹/菅直人/鉢呂吉雄/枝野幸男/野田佳彦/前原誠司/仙谷由人/斑目春樹/孫正義/伊集院静/長友佑都/澤穂希/島田神助/斎藤祐樹/仁科亜季子/マツコ・デラックス/池上彰/水嶋ヒロ/金正恩/渡部陽一/白川方明/宮里藍/菅伸子/鳩山由紀夫/鳩山幸/鳩山邦夫/琴光喜/玉置浩二/舛添要一/坂本龍馬/浅田真央/キム・ヨナ/スーザン・ボイル/タイガー・ウッズ/蓮舫/ダルビッシュ有/姜尚中/金正男/勝間和代/ヒラリー・クリントン/茂木健一郎/櫻井よしこ/石川遼/白露山/バラク・オバマ/麻生太郎/星野仙一/朝青龍/ペ・ヨンジュン/パンダ/ダライ・ラマ14世/藤原正彦/リリー・フランキー/石原慎太郎/浅野史郎/黒川紀章/吉田万三
南伸坊『本人伝説』_c0155474_2224123.jpg


# by sustena | 2012-09-30 23:04 | 読んだ本のこと | Comments(5)
2012年 09月 30日

経過

退院して明日で2週間である。なんだか月日が経つのはメチャ早いなぁ。
先週木曜日に病院へ行ってきた。主治医は退院翌日から出社してることに呆れてたけど、「これまで手術した中で5本指に入る順調さ」だと太鼓判を押してくれた。
レントゲンも問題なく、リンパへの転移も見られなかったとのことで、これでとりあえずは一安心であります。

ところで、入院前にあれこれ調べてもいまひとつわからなかったのが、左肺を半分取ったらどーなるのか、ということだった。
肋骨はそのままなので、取ったあとの外観がペチャンコになってしまうことはないにしても、カラッポのままではないだろうし。肺は酸素を取り入れて膨らんだりしぼんだりするから網みたいなものかというと、そうでもなくて、あるていど体積を占めているよjねぇ・・・・。

今回レントゲンを見たら、なくなった場所に左肺の下半分が移動してた。でも左肺の下葉部分がペシャンコになったわけでもない。いろんな細胞がちょっとずつ移動しちゃうのであうか。うーむ。

まだ信号の色が変わるからと走ったりできないけど、歩くペースも「ゆっくりめ」ぐらいになった。
ムダに咳は出るけれど、咳止めを飲むと落ち着いてるし、痛み止めも飲まなくても平気。

昨日は仲間との打ち上げでビールと日本酒とワインをひさしぶりにたんと飮んだよー。
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今年のヒガンバナは夏がいつまでも暑かったのでいつもより1週間ぐらい遅い。ようやく一斉に咲き始めた。

# by sustena | 2012-09-30 22:40 | つれづれ | Comments(8)
2012年 09月 24日

羽海野チカ『3月のライオン』1~7巻

羽海野チカ『3月のライオン』1~7巻_c0155474_22571551.gif息子が友人から借りたという羽海野チカさんの『3月のライオン』(白泉社 1巻2008年2月 7巻2012年3月)を奪い取って読む。

東京の川っペりの六月町に住む桐山零は17歳のプロ棋士。幼い頃に事故で家族をなくし、父の友人のプロ棋士に引きとられるが、その家を出て独り暮らしをはじめる。心に深い傷を追い、孤独を友としてきた零だったが、川向こうの三月町に住む川本あかり・ひなた・モモの三姉妹と知り合い、また高校の教師や棋士仲間の二階堂らとの交流を通して、少しずつ自分の居場所を見つけていく。

羽海野チカさんは、『ハチミツとクローバー』を描いたひと。『ヒカルの碁』の将棋の話かなーと思ったら、そーではなくて、ひなたのいじめ問題を機に、頼り頼られる存在の大切さなど、ほわ~んと読ませる。

息子は、このタッチに慣れるまで苦労したようで、いったいどこから読めばいいんだーなんて騒いでいたが、少女マンガとしてはフツーだぞ。

モモちゃんがカワイイです。暑苦しいキャラの二階堂が、巻を追うごとに愛すべきキャラになっていくよ。
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# by sustena | 2012-09-24 22:55 | 読んだ本のこと | Comments(6)
2012年 09月 22日

東 浩紀『一般意志2.0―ルソー、フロイト、グーグル』

東 浩紀『一般意志2.0―ルソー、フロイト、グーグル』_c0155474_22123095.jpg現代思想家・批評家の東 浩紀さんの『一般意志2.0―ルソー、フロイト、グーグル』
(講談社 2011年11月刊)を読む。

東浩紀さんは、なんとなく顔がキライというまったく身も蓋もない理由でこれまで読んだことがなかったのだけれど、新日本憲法ゲンロン草案が話題になってるし、なんとなく気になったので手にとったのである。

ひとことでいうと、J・J・ルソーが18世紀半ばに『社会契約論』の中で唱えた「一般意志」を、グーグルやツイッターなど、人々の無意識を可視化する情報技術が急速に進歩した21世紀の視点で「一般意志2.0」としてアップデートし、熟議がもはや機能不全となっている現代社会において、新しいアーキテクチュアが実現するデータベース民主主義を合意形成のヒントとした民主主義2.0を構想した本。

仮に人口の99%がネットに参加し、ツイッターやWEBLOGやソーシャルメディアで膨大なテキストを吐き出す時代に入ったとして、その「ビッグデータ」をどう可視化するかについて、ニコニコ動画などを例に出されると、いささかノーテンキすぎるし、一般意志2.0をその時々で小さな個別イシューにしているような気がするし、また可視化された無意識は、未来や外部経済のことが含まれにくいんじゃないかとか、気になるところがいっぱいあったけど、ネットをどう考えるかのひとつの考え方としては興味深かったよー。

講談社のPR誌の『本』で2009年冬から2011年春まで1年半にわたって連載された論考を一冊にまとめたもので、通常の社会思想関係の本よりもかなりわかりやすく書かれている。3.11があって、「日本の社会と文化をめぐる言質や多くの前提が変わってしまった」ことから、東さんはこの本をどのような形で出版するか迷ったという。しかし、震災後の視点で加筆しようとすると日本の未来についての新しいイメージとヴィジョンを世に問うまったく別の本になってしまう。そこで、震災前に掲げた「夢」のままに出版することを選んだのだそうだ。
東 浩紀『一般意志2.0―ルソー、フロイト、グーグル』_c0155474_22233066.jpg
ジェインオースティン写真は近くの画廊。チリ・サンチアゴで生まれたCatalina Tucaさんの「SUGINAMI SKY」ゴミ収集所で集めたモノと、チリ出よく使われるラテックのペイントが出会ったインスタレーション

# by sustena | 2012-09-22 22:12 | 読んだ本のこと | Comments(2)