いつもココロに?マーク

sustena.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

<   2014年 05月 ( 26 )   > この月の画像一覧


2014年 05月 31日

世界の果ての通学路

c0155474_23182514.jpg先日、シネスイッチ銀座で『世界の果ての通学路』という映画を見た。

片道十数km~何十km[にも及ぶ遠い道のりを通学する4組の通学風景を撮ったドキュメンタリーである。

ケニアのサムブル族の11歳の少年ジャクソンは、毎日、6歳の 妹のサロメを連れて、象に襲われる危険のあるサバンナの片道15km、2時間の道のりを五感を働かせながら進む。(象の襲撃で亡くなる子が、毎年数人いるという)

モロッコのアトラス山脈の辺境にすむベルベル人の12歳のザヒラは、片道22kmの距離を4時間かけていく。さすがにこの距離では毎日というわけにはいかない。彼女が通うのは、全寮制の学校で、友達のジネブやノウラと一緒に毎週月曜に出かけ、金曜日に戻ってくる。友達が足をくじいて歩けなくなり、車に乗せてもらおうとするが、親切な運転手はなかなかあらわれない・・・。

アルゼンチン、アンデス山脈の牧草地に暮らす11歳のカルロス少年は、馬に乗って片道18kmの道のりを行く。妹のミカイラは自分も馬の手綱をとってみたくて仕方がない。親に禁止されてはいるけれど、危なくなさそうなところを、ちょっとだけと乗せてやるお兄さん。馬もかしこそう。

インド南部のベンガル湾沿いの漁村クルサマンカドゥに住む13歳のサミュエルが通う学校は4km先にある。このなかではずいぶん近そうだが、サミュエルは足に障害があって車椅子なのだ。なので、パンク寸前のオンボロ車椅子を二人の弟が押してゆく。道は決して平坦ではない。近道しようとして、川を渡らなければならなくなったり、とうとう、スポークがはずれてしまう! 兄弟ゲンカしながらも、1時間15分をかけて進む。

この子たちにとっては、毎日毎日が学校に無事たどりつくための試練だろうが、学校にちゃんと通えるだけでも、幸せなのかもかもしれない。
どの子たちもみな、キラキラした表情で、勉強してさらに上の学校を卒業して、パイロットや医者になりたい・・などと大きな夢を持っている。教育は希望なのだ。

毎日、学ぶために真剣な思いのこどもたちがいるんだ。満員電車に揺られながら、ふといくつかのシーンを思い出す。

監督はパスカル・プリッソン。ナショナル・ジェオグラフィック誌やBBC放送向けに自然を舞台にしたTVドキュメンタリー映像を制作してきた人だとか。原題は、UR LE CHEMIN DE L'ECOLE/ON THE WAY TO SCHOOL 2012年 フランス 77分。
c0155474_9395074.jpg

c0155474_940983.jpg

c0155474_9402298.jpg


by sustena | 2014-05-31 23:27 | Theatre/Cinema | Comments(7)
2014年 05月 30日

隈 研吾『僕の場所』

c0155474_21584074.jpg隈研吾の書き下ろしの自伝的な建築エッセイ『僕の場所』(大和書房 2014年4月刊)を読む。

この本は、ロラン・バルトの『彼自身によるロラン・バルト』に着想を得て、隈研吾という建築家が、これまでの来し方を振り返りながら、その発想の原点となる育った場所や読んで影響を受けた本など、隈という樹木の幹を創り上げてきた土壌について説き起こした本。

生まれ育った大倉山、農家のジュンコさんちについて---まわりは全部死んだような郊外住宅地だったのに、そこは、大地とふれあい、野菜を育て、生命のニオイに満ちあふれた場所だったこと、そんな里山と地続きだったような場所に、父が少しずつ工夫して増築を重ねてきた家に住んでいたこと、幼いときに遊んだ竹ヤブやへ土間、,父が「だましだまし」住まいを作りあげてきた精神が、自分の建築の発想にも息づいていること。

幼稚園時代、7駅離れた田園調布幼稚園に通ったことで、「都市計画」と、教会という「建築」に出会ったこと、デザインが好きじゃない電車に乗りたくないとダタをこねたことが、現状を否定する「拒否権」強い真の第一歩であったこと。それが後年の『10宅論』にもつながっていること。

そんなひねくれたこどもが、丹下健三の代々木体育館に衝撃を受け、国を背負う垂直の意思に触れ、建築家を志すようになり、中高校と通った栄光学園で、共同会志向で身体を重視するイエズス会の精神にふれ、そこでの黙想体験のときに読んだ吉田健一の『ヨオロッパの世紀末』によって、進歩や工業化などはもはや時代の徒花で、真の近代とは、反ユートピア的で、優雅で諦念に満ちた成熟した文化こそがその特徴であって、小さい建築、弱い建築へと目を向けていかなければならないと感じるようになる。

そして、大学に進み、鈴木博之や構造家の内田祥哉、原広司に会い、そこで学ぶことで、建築家としてどうあるべきか何をめざすべきかを血肉のものとしていく。

いささか牽強付会の部分がないではないけれども、建築はいまいちおもしろくなくても、素材の発掘やコンセプトのまとめあげた方、地元やクライアントの巻き込み力は天下一品の隈研吾だなぁと、自身のこれまでの作品を上手に自分史の上に実に上手にまとめていることかと、ほおお・・・と思ったことでした。


第1章 大倉山1
(境界人/マックス・ウェーバー/ゴシック/本経寺/農家/エンゲルス/湯河原カントリークラブ/孔、橋/里山/シングルスキン/床/土間/黄色い長靴/竹ヤブ/崩れかけた家/積み木/千鳥/隙間)

第2章 大倉山2
(フレキシブルボード/正方形/設計会議/後藤勇吉/現前性/増築的/中央郵便局/ブルーノ・タウト/関係/歌舞伎座/ブリコラージュ/安さ/紹興酒/光天井/ワイシャツ/ファブリック)

第3章 田園調布
(アーツ・アンド・クラフツ/田園調布幼稚園/拒否/10宅論/セパ孔/レイトカマー/代々木体育館/獣医/垂直)

第4章 大船
(イエズス会/身体/中間体操/黙想/ヨオロッパの世紀末/反ユートピア/1970年/大阪万博/メタボリズム/反建築/トレー/細胞/CIDORI/シカゴ万博)

第5章 サハラ
(オイルショック/モダン/虚の透明性/アメリカの時代/鈴木博之/ジョサイア・コンドル/内田祥哉/スクラッチタイル/フラット/木造精神/オープンシステム/バックミンスター・フラー/テンシグリティー/原広司/サバンナの記録/鏡/湿った集落/コンバウンド/植物/小さなもの)
c0155474_2211332.jpg

c0155474_2212923.jpg


by sustena | 2014-05-30 22:01 | 読んだ本のこと | Comments(0)
2014年 05月 28日

仙台出張

1泊2日で仙台に行ってきた。
仕事が終わっての新幹線での楽しみというと、地ビールを飲むことであります。この支倉常長麦酒は、ピルスナー。伊達政宗麦酒で出している4種類のうちの一つで、貝柱の揚げかまをつまみにぐいっと飲むと、疲れがじわーんと心地よくからだ全体に広がっていく気がする。

今回の出張で一番驚いたのは、帰りのバスの中で見た、仙台ヒルサイドアウトレット。小高い丘の上に、突然、ここはどこ? とアゼンとするようなレンガのシルエットが浮かんでいた。ブキミ・・・・
この一帯の「ハートヒルズ錦ケ丘」という住宅街も、そらおそろしい雰囲気。いまだにこんな新興住宅地を開発してるなんて・・・とボーゼンとしたのであります。

土産は萩の月と、白謙蒲鉾の笹かまぼこと、秋保のめちゃ大きな油揚。
c0155474_2250254.jpg


by sustena | 2014-05-28 22:50 | | Comments(2)
2014年 05月 25日

第39回 2014 JPS展

先日、東京都写真美術館で開催中の第39回「2014 JPS日本写真家協会展」に出かけた。 JPS展は、1976年に写真文化の振興を目的としてスタートした公募展で今年が39回目。今回の応募総数は2165名、7298枚だったそうだ。入賞・入選者数は、291名499枚。

会場に年齢別の応募者数が出ていて、なんと幼児も1人。小学生では男5、女5人。やはり多いのは中高年で、50代 男226 女60人、60代 男437、女140人、70代以上 男437(=メモ間違いかもしれない) 女117。

入賞作の文部科学大臣賞は、ポスターにもなっているもの。「本番前(95才)」という作品、東京都知事賞、金賞、銀賞、・銅賞ね奨励賞、優秀賞とあって、続いて入選作が、自然、都市、動物、ペット、こども、海外・・・と、テーマ別にズラーッと並ぶ。

楽しい。だけど、これだけいろいろなものがあっても、うまいな、と思いはしても、アッ、新鮮、すごーい!と思うのは意外に少ない。

やりすぎ、ねらいすぎ、わざとらしさが気になるものもあるし、ここは余分だろうとか、もっと寄ったらーとか、自分ではむろん撮れないんだけど、評論家的に見る分には、いろいろ、イチャモンをつけたくなるものも。
で、一番感じたのは、組写真のセレクトがむずかしいこと。タイトルもけっこう悩ましい。

会場では「プロの眼」として、会員の作品部門もあった。(もっとも会員だから傑作揃いかというと、そんなこともない)

自分がどんな写真が好きなのかということが、よーくわかる展覧会でした。
追伸 kenさんのプリントが一番きれいだった。
c0155474_2263774.jpg

c0155474_2265880.jpg


by sustena | 2014-05-25 23:34 | Art/Museum | Comments(4)
2014年 05月 25日

シャネル・ピグマリオン・デイズ伊藤 悠貴さん

昨日は、銀座のシャネル・ネクサス・ホールで、才能ある若手を支援する「シャネル・ピグマリオン・デイズ」のコンサートがあった。今回はチェロの伊藤悠貴さん。息子と同い年のイケメンである。(ピアノは丹 千尋さん)

今回のプログラムは、シュトラウス生誕150周年を記念し、彼が18さいのときに作曲したソナタと、同時代のマーラー、シュトラウスとマーラーが私淑していたワーグナーの作品。マーラーとワグナーは、それぞれ歌曲とオペラをチェロにふん曲したもので、この編曲の演奏は日本初演とのこと。

s r.i k このピグマリオン・シリーズに登場する演奏家は、若いけれど実力は揃いで、伊藤さんも、デビューCDが「ストラド」特薦盤に選ばれたほか、英国を拠点に演奏活動を行っているという。

シュトラウスとの第2楽章の低音部がすてき。マーラーの「さすらう若者の歌」も好きな曲。

会場は200人弱。すぐ近くから生のチェロが響くと、からだの細胞が生き返っていくみたい。このコンサートは抽選なんだけど、2回に1回ぐらい当選するので、けっこう確率がいいのー。

<R.シュトラウス>
チェロ・ソナタ ヘ長調 作品6 TrV 115

<ワグナー>
楽劇《トリスタンとイゾルデ》から 第1幕 前奏曲 (チェロ・ピアノ編)

<マーラー (ゲリンガス編曲)>
4つの歌(チェロ・ピアノ編)
「少年の魔法の角笛」より 12. 原光
「少年の魔法の角笛」より 6. 魚に説教するパドヴァの聖アントニウス
「最後の7つの歌」より 5. 私はこの世に捨てられて
「さすらう若者の歌」より 2. 朝の野を歩けば
c0155474_2265649.jpg


by sustena | 2014-05-25 22:31 | Art/Museum | Comments(2)
2014年 05月 23日

2013年度ヤング・ポートフォリオ

c0155474_2282262.jpg先週、山梨県北杜市にある清里フォトアートミュージアム(K*MoPA)で開催中の「2013年度ヤング・ポートフォリオ」展に出かけた。

前からこの美術館には行ってみたかったのだが、クルマがないとちょっと行けそうにないところにあって断念していたのだが、知人が誘ってくれたのである。ラッキー♪

同美術館はプラチナ・プリント技法による国内外の写真を未来世代に残すと同時に、「写真表現に情熱を燃やす青年たちの、創造性に富んだユニークな作品を収蔵」するというミッションを持っていて、1995年から毎年35歳以下の若い作家の作品を公募、選考のうえ、パーマネント・コレクションとして購入して展示する活動を続けてきた。今回が19回目となる。完成度は高くなくても、表現意欲の高い作品を購入することによって、「若い作家に勇気を与えたい」というのがねらいだ。

今年度は、応募者数が243、点数にして5411点で、28人,189点を購入することになったという。日本国内だけでなく、韓国、バングラデシュ、ロシア、チェコ、インド、オランダ、台湾、フランスの作家のものもあり、このほか、今年35歳のため2013年度でこの展覧会を「卒業」する二人のアーティスト( 日本とポーランド)のこれまでの作品と、2年前に卒業したネパールの作家の作品も展示されていた。

表現意欲にあふれている若い人の作品だけに、作品から伝わってくるエネルギーに圧倒されてしまう。

日本より外国の作家の作品が、表現の意思がびんびん伝わってきてパワーある作品が多いように思った。バングラデシュの3人の強さったらない(プラシャンタ・クマール・サハの色の鮮烈さ!)。日本の作家では、田口昇さんがテレビの画面を撮った作品の切り取り方や問題意識が興味深かった。

韓国のパク・グリーンのDynamic Korea, Colorful Daeguの集合写真のシリーズも、おお、韓国って感じがしたよ。ロシアのマリア・コジャノヴァのコスプレするポートレートを撮ったシリーズや、チェコのヤン・ヴァラの被写体の美しさ、台湾の楊哲一の採石のためにくずされた山の「山水」の物言わぬ迫力。

それと、決して好きな写真ではないけれど、根本真一郎さんの「東京人形」のこんな顔で撮られたらゼッタイいやだっていう表情、被写体との近さにはうなったなぁ。牧野智晃さんの、中年女性を家のあちこちでポーズを取らせたTokyo soapoperaなど、よくもまぁみんなリクエストに応えてくれるもんだと(たとえば、ダイニングの食卓の上で、ちょっと腰をうかせて座っていたり)半分あきれて感心したっけ。
c0155474_2281021.jpg

c0155474_2284593.jpg

c0155474_2284895.jpg

c0155474_22921.jpg

昼食は、八ヶ岳倶楽部で。
c0155474_2291670.jpg

K*MoPAを出たあとに入った増田珈琲館のコーヒーがすこぶるおいしかった!
c0155474_2294814.jpg

c0155474_2210010.jpg


by sustena | 2014-05-23 22:11 | Art/Museum | Comments(0)
2014年 05月 21日

苦しかったよ、俺の肉そば

2011年9月に新橋に登場した「俺のイタリアン」が話題を呼んで、銀座にも俺のフレンチ、俺のイタリアンと次々に誕生して夕方近くなると長蛇の列ができ、長蛇が多少落ち着いたと思ったら、気づいたら、俺の割烹、俺のやきとり、俺のだし、俺の焼肉・・・・と次々と「俺の」シリーズが増殖してたけど、これまで俺の株式会社のお店には入ったことはなかった。

それが、丸ノ内線の地下鉄を出てすぐの銀座ファイブの地下に「俺のそば」がこの4月にオープンし、ちょうど昼過ぎに近くを通りかかったので、フラッと入ってみた。

立ち食いそば屋である。通常の4軒分のスペースはあろうか。立ち席が82で、その大半が埋まっていた。

メニューは肉そば(冷)、鶏そば(温)、もり、海苔もり、胡麻もり、海苔胡麻もりの6種類。それに、小鉢が何種類かあった。
何を頼んでいいかわからなかったので、とりあえず肉そばを頼む。

すると海苔がてんこもり、金胡麻がドバドバ、ネギと肉もいっぱいのっかって、持ち重りのする皿がでーんと出てきた。そばはかろうじて、海苔のかげに見えるぐらい。これに辛めのめんつゆがつき、テーブルには、生卵と天かすがいくらでも自由におとりくださいとある。

つゆはかなーり濃い。そばはコシがあるといおうか、これまたかなーりかため。そして、おそろしいことに、食べても食べても減らない・・・・。400グラムぐらいありそう。2.5人前ぐらいある~。

がんばって食べたのだが、食べきれず残してしまった。麺少なめと注文してたのを聞いて、しまった・・・と悔やんだよ。そしてもっと悔やんだのは・・・・あとでもうノドが乾いて乾いて、たまらなくなったこと。
向かいの人は天かすをいっぱいかけたせいで、天かすがつゆをすってしまい、まだ半分もそばがあるのに、めんつゆがなくなったと騒いでいたなぁ。私は半分以上つゆを残しても、ノドがカラカラだったから、あとでたいへんな思いをしたのではなかろうか。

お値段は税込み500円。コスパは悪くないと思うけど、話のタネに1回lだけでいいや・・・。
c0155474_2154187.jpg


by sustena | 2014-05-21 21:55 | 食べ物 | Comments(0)
2014年 05月 20日

特別展「キトラ古墳壁画」

c0155474_2324941.jpgもう終わっちゃったけど、先日、東京国立博物館にキトラ古墳壁画展を見に行った。
朝日新聞デジタル会員プレゼントの、内覧会が抽選であたったのだ。ラッキー♪

めちゃ混みの壁画が、決められた時間帯にいけば、並ばずに見られるのだ! 実際、館内にいたのはほんの数人で、ゆったり観ることができてマル。

今回展示されたのは、7世紀末~8世紀初めとされるキトラ古墳の極彩色壁画のうちの、白虎・玄武・朱雀と、「十二支」の子と丑。ホンモノにたどりつく前に、復元壁画がでーんとある。それと、壁画の修理のようすなどが簡単に紹介されている。お勉強してから見てねということなのかもしれないけれども、順序通りに復元壁画を先に見てしまうと、ホンモノに接したときの感動がちょっと薄れてしまったなー。
(なにしろ、間近で観ることができるといっても、光線の加減もあるし、復元したものほど鮮明ではないので、ふん、保存が不手際だったからカビカビになって修復がタイヘンだったのかしらーとか、別のところに関心が向かってしまうのだった。)
c0155474_195237.jpg

c0155474_23141148.jpg


by sustena | 2014-05-20 23:02 | Art/Museum | Comments(0)
2014年 05月 19日

住大夫引退 5月文楽公演

c0155474_22181145.jpg国立劇場小劇場で、七世竹本住大夫の引退公演の第一部を観る。

満89歳。68年間もの間、太夫を勤めたという。

大阪の文楽の助成の件でもめた一昨年の7月に脳梗塞で倒れ、リハビリを続け8カ月で復帰。ああよかったとホッとしてたんだけど、自分の声をきき“さしすせそ”がダメだと忸怩たるものがあったのだという。

復帰後の昨年春のインタビューで言っている。

「引き際というのは難しいでんな。私は、『まだやってんのか!』と思われないようにとは考えてます。そやから今年が勝負かいな、と思います。まずは野崎やってその結果いかんによっては考えんならんなと思ってます。言葉がはっきり言えなあきまへんわな。どの程度やれるか、不安は不安でんね。そやから毎日本読みして、テープに吹き込んで、聞いてみたりしてます。リハビリの先生も、『そういえば“さしすせそ”が弱いですね』、と言われました。今まで苦にせんとやれてたところがやれんとなると考えまっせ。うちの親父が野崎をラジオで録音したもんを聞いて、『お光やお染がえらい婆になったなぁ』言うて、『もうこれはあかん、やめよう』、と引退の決心をしたんですわ。文楽で引退披露ができたら幸せです」。
「引き際は大切ですね。引き際は自分で!と思います」。(文楽ポータルサイト 技芸員インタビューより)

たしかに、沓掛村の段の切、かつてのような声のノビもハリも乏しかったけれども、情感がこもっていて、これが最後なのか・・・と、惜しいような悔しいような思いで聞いた。
このところ、人形遣いに比べて太夫はまだまだ・・と思ったのだが、この日は咲甫大夫も(実はファン)、津駒大夫も、文字久大夫も千歳大夫もすばらしかった。

人形はもう勘十郎の馬方八蔵の動きのひとつひとつに眼が吸いよせられてしまう。とても人形とは思えない。文雀、簑助も出演し、会場は満員。大きな拍手が続いた。

増補忠臣蔵
    本蔵下屋敷の段
    
 恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)
   引退狂言
    沓掛村の段
    坂の下の段

 卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)
    平太郎住家より木遣り音頭の段
c0155474_22175280.jpg


by sustena | 2014-05-19 23:21 | Theatre/Cinema | Comments(0)
2014年 05月 19日

葉山アマリ『29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた』

c0155474_2394323.jpg息子がたまたま図書館で手にとって、文章はへたくそだけど、ちょっとヘンな本だから読んでみる?と貸してくれたのが、葉山アマリの『29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた』(泰文堂 2011年6月刊)。2010年度の第1回「日本感動大賞」なるものを受賞したストーリーを出版したものだそうだから、キホンはホントの話らしい。

仕事がいまいちおもしろくなくて正社員をやめて契約社員になった主人公。恋人にフラれ、父親が要介護状態になって、ぐだぐだ食べて体重が70キロに達しちゃう。そんなこんなで、契約を切られて派遣社員としてケータイの電話料金などにも事欠くようなギリギリの生活を送っていた。そんな彼女の29歳の誕生日。一人で祝う誕生日のショートケーキの苺を床に落としてしまい、それを食べようと水道で洗っているときに、いったい私、何をやってるんだろう・・・・とゼツボーし、自殺しようと思うけれども死ぬ勇気もなく、ふと目にしたラスベガスのキラキラぶりに目を奪われる。そして、決意するのだ。1年間で150万円ためてラスベガスのカジノでブラックジャックの大勝負をして、そして死のうと。

しかし、貯金はない。そこで、派遣の仕事をしながら、銀座のホステスとなり、週末は絵のヌードモデルをつとめて、必死に働き始める。ハードワークの結果、少しずつやせ、聞き上手の才能も発見し、同僚のホステスや六本木の金持ちおばをちゃんなど、いろいろな人との出会いを通じて成長していく。そしてついに、計画通りラスベガスで勝負する。勝ったのはたった5ドルだけど、死ななくてもいいかな、と思う話。

はい。文章はへたくそだし、こんなにうまく行くかよーと思うし、考え方もちょっとついていけないよーとツブヤキながらも、結局オシマイまで読んでしまったよ。ものすごーく集中力のあるひとなんだなぁ。あっけにとられたというか、毒気にあてられたといいましょうか。
c0155474_2392371.jpg


by sustena | 2014-05-19 23:10 | 読んだ本のこと | Comments(3)