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2013年 11月 28日

宇田智子「那覇の市場で古本屋 - ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々」

c0155474_0364435.jpg昔むかし,まだ学生だったころ、自分で出版社をやりたいと知り合いの小さな出版社の専務に言ったら、いまはそんな時代じゃない、取り次ぎに口座を開くだけでもたいへんだから、まずはつくりたい本の企画をもって、それぞれふさわしい出版社に持ち込んで本にするのがいいと教わって、あれこれ読んでみたい本のテーマをリストアップしては、誰に書いてもらうのがいいか、一人で思い描いてた。

そのうち、それほど企画力も突撃力も愛想もないことがシミジミとわかって、ひとさまの企画した本を読むのがもっぱらになり、それでも10年ぐらい前までは毎日本屋に出かけて新刊本をチェックしてたし、本屋をテーマにした本は好きで、イロイロ読んでいた。

最近は本屋にはあまり行かなくなったし、本も買わなくなった。本も前みたいには読まなくなった。うーむ、知的意欲のオトロエかしらん・・・。

そんな私であるからして、宇田智子さんの「那覇の市場で古本屋」(ボーダーインク、2013年7月刊)という本を手にとったときは、なんだか、なつかしいようなせつないような気がしたなぁ。

著者の宇田智子さんは2011年11月に、那覇の牧志公設市場の向かいにある、「日本一狭い古本屋」を引き継いで、古本屋を始めちゃったひと。その前はジュンク堂にいて、池袋本店で人文の棚を担当。2009年、那覇店開店に伴い異動し、2011年7月まで勤めた。1980年神奈川県生まれだから、33歳。古本屋を始めちゃったのは31歳ぐらい。わぁー!

この本は、沖縄担当を志願し那覇店に配属になって知った沖縄の本事情(出版や流通など)のあれこれや、古本屋を始めることになったいきさつ、試行錯誤しながら古本屋を営む日々を綴ったもの。

まず私が驚いたのが、沖縄では県産本(沖縄の出版社が出している本)が55列も並ぶということ。これはメチャ多くて、札幌店でさえ10列もないんだって。しかも、全国流通を前提にしていないので、つくりかたが自由。スリップもバーコードもISBNもないのは当たり前(どうかするとひとつのISBNに対応する本が2冊あったりする。どうやら好きな数字を振ったらしい)で、書名も装丁も発行所も違うのに内容は一緒だったり、新刊書店なのに復帰前につくられたドル表記の本が入ってきたり、絶版といわれたのに忘れたころに何冊も入ってきたりするんだってー。

こういう状態だから、新刊本屋で手に入らないものが古本屋で流通することも多くて、沖縄は古本屋が大いに元気なまちなのだそうだ。なんと、この5年で古書籍商組合の加盟店数は10~16店(著者はその16番目の新人店主)に増えたのだという。元気な理由は、(1)県産本を中心にした店づくり(2)専門店化で顧客を獲得(3)店同士のつながり(4)インターネットで全国に沖縄の本をアピール ということ。

ところでなぜ書店名が「うらら」かというと、著者の名前から、山本リンダの「ウララ~ウララ~、ウラウララ~」と昔からかわれていたのをふいに思い出したらしい。

いろいろな話題がとりあげられるのだが、「読んでいない本について」という箇所がおもしろかった。宇田さんは、当初読んでいない本があまりに多すぎて引け目を感じていたという。しかし、あるとき、「読んでいない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤール)を買って読んだところ、冒頭に出てくるムージルの「特性のない男」に、図書館司書のエピソードが紹介されていた。それは、有能な司書になる秘訣は、自分が管理する文献について書名と目次以外は決して読まないことと記されていた。「内容にまで立ち入っては、司書として失格。そういう人間は、絶対に全体を見晴らすことはできない」という言葉に感動して、せめて日本一狭い店の全体くらいは見晴らしたいと考えるようになったという。

いかにもいまのひとらしい語り口。自然体で、ひとのこころにスッと入り込んじゃうんだろうなぁ。
著者のブログを見るとよくわかるよ。→「市場の古本屋 ウララ」

写真は銀閣寺近くのバス停そばのたこ焼きや(このタコが動くのである!)と「私設図書館」。喫茶店かと思ったら、有料自習室(のようなもの)なんだそうだ。
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by sustena | 2013-11-28 00:36 | 読んだ本のこと | Comments(2)
2013年 11月 27日

藤森照信×山口晃「日本建築集中講義」

c0155474_0412463.jpgちょっと前のことだけど、建築史家の藤森照信センセイと、画家の山口晃さんが、各地の建築を訪れながら、建築の魅力や、建築を見る楽しさを語り合った「日本建築集中講義」(淡交社 2013年8月刊)を読んだ。
書名はおおげさだけど、お勉強本ではまったくなくて、雑談と珍道中をそっとのぞく趣きで、会話やテンポはとってもゆるーい、でもそれがけっこう心地よい。とくに、山口画伯の描く4コマに登場する編集者や藤森先生はネタ満載。

登場する建築は13と、あとセンセイのタンポポハウス、いまはない二笑亭。知ってるところはフムフム、へぇーと彼らのだべりを楽しみ、知らないところは行ってみたい気分がぐぐっと高まる(とくに旧閑谷学校)。

茶室となるとガゼン藤森先生のテンションがアップして目の色がキッとかわるところや、すぐごろんとなったり、せっかちでズンズン歩いていくところが目に浮かぶよう。

待庵は行きたいんだけど、1カ月前に予約なんて、ちょっと無理・・・。

法隆寺
日吉大社
旧岩崎家住宅
投入堂
聴竹居
待庵
修学院離宮
旧閑谷学校
箱木千年家
角屋
松本城
三渓園
西本願寺

二笑亭奇譚、タンポポハウス探訪

写真は京都の南禅寺近くの金地院。家康の遺嘱によって1628年に造営された京都唯一の権現造様式の東照宮の楼門と拝殿。金地院にある茶室・八窓席は、小堀遠州が改造したもので、大徳寺孤篷庵、曼殊院の茶室と並んで、京都の3名席のひとつなんだって。
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by sustena | 2013-11-27 23:45 | 読んだ本のこと | Comments(0)
2013年 11月 26日

国立劇場11月歌舞伎公演 通し狂言「伊賀越道中双六」

c0155474_23583574.jpg先日、国立劇場で上演中の、「通し狂言伊賀越道中双六」を見てきた。
10月に文楽で通しで見たので、歌舞伎でも通しで見てみたくなったのだ。

ふつう歌舞伎だと、沼津の段を単独で演じることのほうが多いのではないかと思うけど、今回は四幕七場。序幕で和田行家が屋敷で沢井股五郎に殺される場面、剣豪の政右衛門が駆け落ちして一緒になったお谷を離縁し、和田家からまだ幼い子を娶り正式に敵討ちを引き受ける場面や、桜田林左衛門との剣の試合にわざと負けるが主人の大内記が政右衛門の器量とわざと負けたことを見破り激励する場面、そして大詰めの上野の敵討の場面がついた半通しとなって、ストーリーがとてもつかみやすい。

配役も沼津の段の十兵衛が藤十郎、政右衛門が橋之助、お谷に孝太郎、平作の娘に扇雀、柴垣に萬次郎と、けっこう好きな役者が並ぶ。で、平作はいったい誰が・・・・?と配役表を見れば、翫雀である。昭和34年生まれだから、まぁいいトシとはいえ、息子を演じるのが昭和6年生まれの80を過ぎた藤十郎である。どうなるかなぁと見れば、翫雀の老けっぷりがすばらしかった!!

平作と十兵衛というと、一番最近見たのが、平成中村座での勘三郎と仁左衛門だけど、翫雀の平作の愛嬌と情愛は抜きんでてたし、それに藤十郎の十兵衛の軽みとやわらかさ、それでいて、ぐぐっと譲れないことは決してというつよさ、この二人の緊張感が絶品。扇雀も、こっけいな話はもちろんだけれど、遊女あがりの娘のいちずな雰囲気、なんだか年々きれいになっているみたい・・・と思わせるのだった。
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   序  幕  相州鎌倉和田行家屋敷の場   
   二幕目  大和郡山唐木政右衛門屋敷の場
         同 誉田家城中の場
   三幕目  駿州沼津棒鼻の場
         同 平作住居の場
         同 千本松原の場
   大 詰  伊賀上野敵討の場
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by sustena | 2013-11-26 23:59 | Theatre/Cinema | Comments(0)
2013年 11月 26日

京都出張#2──京生ゆばそばがおいしいッ!

おいしい京料理を食べたいッという野望を抱いてもなかなか実現できないんだけど──というか、そもそも低予算で、これぞという「おぞよ」(日常的なおかずの意)にはなかなか出会えない──、昼ならそばという手があって、真如堂から白河通りに出て哲学の道方面に向かおうというあたりで、「光梅」という看板を見かけて、誘われるようにして入った。
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そばのゆば巻の入った生ゆば定食にも惹かれたんだけど、単品の京生ゆばそばを頼む。これです。
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写真 dは何がなんだかわからないけど、生ゆばのあんかけで、からだがじわーんとあったまってマル。

by sustena | 2013-11-26 23:34 | Comments(0)
2013年 11月 26日

京都出張#1──真如堂の紅葉

先週の木・金と京都に取材に出かけた。いくつかの候補日の中から、紅葉シーズンに近い日を選んだのだ。
取材先に近い紅葉の名所というと、真如堂である。何年か前に一度いったことがあるけれど、駅の敢行案内書ではそろそろ見頃とあったので出向いたら、さすがにすごい人出である(もっとも土日なら、こんなもんじゃなかったろう)。

わーきれい!と紅葉に目が眩んでいっぱい撮っちゃった。同じような写真ばかりで恐縮だけど、並べちゃおうッと。
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by sustena | 2013-11-26 23:16 | | Comments(0)
2013年 11月 26日

公園でのイベント終了

公園でのアートイベントが23日で終了した。
その前の2日間は京都出張で、ちょっとヨレヨレになりながらも、仲間の芝居や他のメンバーのパフォーマンスを撮影。いい天気だったけど、モロ逆光で、へたッピーにはつらい。
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私たちの芝居の大魔術団のテントに何が隠してあるか興味津々の女の子。芝居の最中にそっと・・・。
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親御さんにむんずと捕まえられてました。
公園はいつの間にか紅葉が進んでた。
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by sustena | 2013-11-26 00:07 | つれづれ | Comments(4)
2013年 11月 20日

シダの群れ 第三弾 港の女歌手編

c0155474_011421.jpgシアターコクーンで上演中の、「シダの群れ 第三弾 港の女歌手編」を見た。
このシリーズは初回からずっと見てて、3回の中ではいちばんワタクシ的に腑に落ちたというか、わかりやすかったというか。

もっとも決して親切なホンじゃない。15分の休憩をはさんで、しゃべりっぱーの正味2時間半。登場人物の関係性も、??の中で、岩松特有のビミョーな会話に引き込まれているうちに、おぼろげにストーリーの輪郭がつかめてきて、ああ、これは1回目のあの話で、こちらは2回目だったかなー、なんて昔の記憶をひっぱりつつ、組織に違和感を感じてきた主人公・森本のその後の変化や、俳優相互のセリフの応酬から生まれる化学変化を楽しんだ。

第1回目で志波崎組組長の片腕だった水野を撃ち、行方をくらましていた森本(阿部サダヲ)が、港町に流れ着き、都築組が経営するスワンというクラブにやってくるところから話が始まる。都築組の若いもんに絡まれていたところをヨシエ(市川実和子)に助けられたのだ。
このクラブで劇中でも生バンドをバックに歌うのがジーナ(小泉今日子)で、NYで歌いたいという夢を持っている。都築組の若頭・結城(小林薫)はジーナと馴染みの関係だが、組長の息子(だったかなー)のノブ(赤堀雅秋)もジーナにぞっこんでプロポーズしたがっている。
そのジーナに、西海岸に行く話が持ち上がり、マネージャーの山室(吹越満)はジーナを説得中。しかし、どうやらその背景はいささかワケアリで、大庭組の幹部の清水(豊原功補)なども影で糸を引いているようだ。
森本は船でのブツのやりとりの見張りをするよう依頼され、組を裏切ったと思われていた子分が舞い戻ってくる。森本は、この一件が初めから仕組まれていたことに気づき、 次第に、都築組と大庭組みの抗争、都築組内部の跡目争いに巻き込まれていく・・・・。

配役はいずれも味があってよかったけど、赤堀サンだけは生理的に苦手だなー。(前回、「オセロー」でイヤーゴーを演じてきたときも、ちょっと・・と思っちゃった)

小泉今日子は、いつものキャラ。岩松は彼女を想定してホンを書いたのね。10㎝以上もあるピンヒールで階段を駆け上がるなんておそろしー(歌が予想以上に雰囲気があってよかったよ)。

もっとも、理路整然とした脚本じゃないから、結局どうなのよ?なぜそーなるの、と理詰めで考える向きには、ちょっとあわないかもしれない。
でもこのところ、イベント続きでヘロヘロで睡眠不足だったんだけど、睡魔に襲われることなく最後まで目がパッチリしてたから、おもしろかったわけではあります。

作・演出:岩松 了 
阿部サダヲ、小泉今日子、、吹越 満、小林 薫、豊原功補、市川実和子、赤堀雅秋、末吉秀太(トシキ)
佐藤銀平(アキラ)、永岡 佑(立花)、岡田 力(新太郎)、足立 理(タツ)、桜木テン(レンファ)、戸井田 稔(藤堂)

Swan House Band:エミ・エレオノーラ(pf)、佐藤正治(dr)、横山英規(bs)、平田直樹(tp)、ロベルト小山(sax)http://www.exblog.jp/myblog/entry/edit/?eid=c0155474&srl=20955792#
音楽:エミ・エレオノーラ 美術:伊藤雅子
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by sustena | 2013-11-20 01:47 | Theatre/Cinema | Comments(2)
2013年 11月 20日

公園でのパフォーマンス

17日も公園でパフォーマンス。
この日はかっぽれの公演の終了後に、チャンキー松本さんが登場し、皆で西荻案内音頭を踊りました。
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このほか詩の朗読や音楽劇、舞踏公演も。
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そして仲間とのシロート芝居は3回公演。
今回のマジックショーは、サメに食べられる美女と胴体真っ二つの2つ。
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ニセのカッパにかどわかされたマサエが、胴体真っ二つマシーンに入れられ、ジェット光線の秘密を教えろと脅迫されるのですが、拒否。真っ二つにされたところへ、黄金バットが登場します。
一目瞭然のネタだけど、わかっていても笑っちゃいます。
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この続きは動画でどうぞ。(途中からですが、ストーリーはあってないようなものなので・・・)
★ステージ近くだったために、ところどころ肝心の画面が切れちゃいますが、ご容赦のほどを・・・。


by sustena | 2013-11-20 01:29 | つれづれ | Comments(2)
2013年 11月 16日

舞踏公演を撮る

本日、西荻窪駅近くで、アートイベントの西荻窪拡大版の舞踏公演があった。
演じたのは、地元出身でルーマニアなど海外で活躍する舞踏家の大坪さん。なけなしの予算の中から、プロに撮影をお願いしたのだが、リノベした狭いカフェでの公演なので、場所を移動できない。そこでアートディレクターが客席の後ろから、私は右側の前列近くから撮ることになり、リハから参加した。
リハのときは普通に撮っていたのだが、なるべく音をたてたくないので静音モードで撮ると、どうも撮るタイミングが狂っているような感覚に襲われる。照明はそんなに凝ったものじゃないんだけど、明るさがかなり変わるし、演者の後ろは、カラオケ店などのネオンがまぶしい窓だったし、めちゃ難しい~。

ちゃんと撮れたか気になって、まったく演技に集中して鑑賞する気分ではなかったのだった(;_;)

リハのとき。
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本番。
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あとはモノでごまかしちゃおうっと。
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by sustena | 2013-11-16 00:20 | Theatre/Cinema | Comments(4)
2013年 11月 15日

ピーター・ブルック「ザ・スーツ」

c0155474_14355915.jpgピーター・ブルックというと、もう40年も前「真夏の世の夢」をひっさげ、日本のインテリや舞台人をアッといわせたことがいまだに印象深い。私も何作かロンドンで彼の演出したシェイクスピアを観たことがある。

彼の最新作(といっても、初演は1999年で、それを2012年にBouffes du NORDで『魔笛』のクリエーションチームとともにあらたに創作した「新作」)の『ザ・スーツ』を観た。
南アフリカ出身のキャン・センバによる小説『ザ・スーツ』を翻案したもの。
マチルダは夫フィロメンが外出中に浮気する。夫は情事の真っただ中に家に戻り、そこに残されていたスーツを、戒めのため、以後客としてもてなすよう妻に命じる。

舞台はきわめてシンプル、数個の椅子とテーブル、そして衣裳ハンガーだけ。男と女、社会における女性の居場所、夫婦の関係が明瞭に浮かび上がる。(やっぱりピーター・ブルックはトシをとって、才気煥発がなりをひそめて、ミニマルな部分で人間の普遍的な部分を描くほうに力点をおいてるみたい)

女性の歌声がすてき。
背広と踊るシーンなどは意外性はなかったけど、とても色っぽい。
観客の理解を助けるために設けられた字幕は短くて頭に入りやすかった。

パルコ劇場ではなく、もっと小さい舞台のほうがしっくりくると思ったな。
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by sustena | 2013-11-15 00:18 | Theatre/Cinema | Comments(0)