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2008年 02月 29日

『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』

ベッドに横たわる黒いセーターにジーンズのオノ・ヨーコに、全裸のジョン・レノンがすがりつくように接吻している写真、あるいは、『ヴァニティ・フェア』誌の表紙を飾り、国論を二分するほどの反響を巻き起こした、妊娠中の大きなおなかを抱えたデミ・ムーアのヌード。アニー・リーボヴィッツの名前を知らなくとも、彼女の撮った写真を見たことがある人は多いのではないか。

シネカノン有楽町2丁目で『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』をやっていると聞き、学生時代、「Rolling Stone」誌の表紙で、その名を知って以来、アニーの写真が捉えたミュージシャンのポートレートの大ファンだったので、いったいどんな撮影っぷりなのか、興味津々で出かけた。

アニーは1949年コネチカット州生まれ。1970年に「Rolling Stone」誌で仕事をはじめ、75年、ストーンズのツアーに密着して撮影、一躍その名が広まる。
オノ・ヨーコは言う。「彼女はたましいを撮ろうとしていた。それが伝わったの」。
ミック・ジャガーも「彼女は特別さ。いても気にならないう空気のような存在になる」
何千本もの生のバラのベッドの上で横たわる、ベット・ミドラーの写真の鮮烈さときたら!

83年にヴァニティ・フェア誌に移籍。撮影対象がミュージシャンからセレブに変わる。その人ならではのインパクトのある写真を撮るために、大がかりなセットで大仰なシチュエーションをものともせずに、バシバシ撮るアニー。「この光! いましかない」って感じで。よし、最高のものが撮れたと確信できたら、ハイ、おしまい。

「人物を捉えるなんて所詮無理よ。撮影はたったの数分。人生を通りすぎる」

とはいえ、単に、著名人たちをうまく撮るだけのひとではない。いつも真剣で、まっすぐに、飛び込んでいく。レンズを通して、相手の本質を鷲掴みにしちゃうのだ。

この映画では、セレブたちや、編集者がアニーのすごさを次々と証言してくれる。でも、私には、家族の肖像とともに、『写真論』をきっかけにパートナーとなったソンタグの写真が忘れられない。そして、ソンタグと行って撮ったサラエボの写真も。

小さいとき、ずっと自動車の窓から外を見てアメリカじゅうを旅したの。ずっと昔からフレーミングの術を知っていた。誰だってそんな生活をしていたら、カメラマンになるわ、とアニー。

監督はバーバラ・リーボヴィッツ。アニーの実妹である。

(追伸)
以下のサイトにアニーへのインタビューが載っていた。
http://fototapeta.art.pl/fti-ale.html
(このモノクロの写真がいいよね)

80年代に入ってからのあなたの写真はシチュエーションによりかかっているといった質問に対して、自分自身でいるより、何かを演じるほうが気楽なの、なんて答えてるところ(たぶん)など、興味深いのだった。

by sustena | 2008-02-29 00:28 | Theatre/Cinema | Comments(0)


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