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2008年 02月 16日

梅田望夫『ウェブ進化論』

梅田望夫『ウェブ進化論─本当の大変化はこれから始まる』(ちくま新書 2006年2月)を読んだ。2年前の新書。ふつうこの手のネットの話となると、2年も経つとすっかり古くなるものだけれど、この本は、いま読んでもわくわくする。

著者の梅田さんは1960年生まれ。慶應義塾大学工学部卒業後、東京大学大学院情報科学科修士課程を修了。1994年からシリコンバレーに在住。インターネットで世界が変わるという熱気を肌で感じてきた人だ。2005年からは(株)はてなの取締役として、IT分野の創造的な進化をリードしてきた。

インターネットが登場して10年。インターネットの真の意味は、「不特定多数無限大の人々とのつながりを持つためのコストがほぼゼロになった」ことだと筆者はいう。「インターネット」「チープ革命」「オープンソース」。この3つのインパクトによって、ネット世界が大きく発展しはじめた。

たとえば、今や「総表現社会」である。フツーの人が文章を書き、写真を撮り、音楽をつくり、映像を作る、そしてそれをインターネット上で発信する。これまでは、フツーの人の作品など、鑑賞に値するものはたいしてないし、玉石混淆の厖大なコンテンツからどう「玉」を選びだせるというのだ、と冷笑半分だった。それがGoogleがネット上に「情報発電所」ともいうべき巨大コンピューターシステムを構築し、ウェブサイト相互に張り巡らされるリンクの関係を分析することによって、知の世界の秩序に地殻変動をもたらした。何かを発信すれば、だれかが検索エンジンで見つけて読んでくれる。読むに値する内容ならば、ソーシャルブックマークなどで、その発見を共有できる時代なのだ。(著者の知的生産ツールとしてのブログ活用法の話など、とても興味深い)

マイクロソフトが、ネットの「こちら側」で、一人ひとりのコンピュータにソフトウェアを配布するビジネスを展開し巨大になったのが、1995年。ウィンドウズ95が登場し、ナローバンドのインターネットで、ホームページを開設して何を発信するか?にしのぎを削っていた時代だった。

10年後、いまやわくわくするような変化はネットの「あちら側」で起きている。たとえばアマゾンは、自社が取り扱っている厖大な商品データベースを活用して、誰もがネットビジネスをスタートできるよう、プログラムを提供することにした。アマゾンはそれによって15%の手数料を得るのである。こうしてアマゾンはネット小売り業者から、eコマースのプラットフォーム企業へと変貌をとげた。

これはほんの一例。今起きている地殻変動の多くは「ネット上の不特定多数の人々を受動的なサービス享受者ではなく能動的な表現者と認めて積極的に巻き込んでいくための技術やサービス開発姿勢」によるもの。それがweb2.0の本質である。

ネット上で、誰もが執筆・編集に参加できる百科事典「ウィキペディア」もその一例。web2.0では、「個」がボランティアとして参加することで「全体」としての価値が創出される。「ウィキペディア」には間違いが多いとけなす人もいる。しかし、ネットの負の部分にばかり注目して、閉鎖的になっても、もはやこの流れには抗しえない。

ネット世界の可能性を過小評価し、悲観的にシニカルになるよりも、「不特定多数無限大」への信頼をベースに、いかにweb2.0時代のビジネスを生み出していくかが重要ではないかと筆者はいう。日本に必要なのは、創造性や行動を刺激する「オプティミズムに支えられたビジョン」なのだ。筆者自らの実践が、読む者に勇気を与えてくれる。

梅田望夫『ウェブ進化論』_c0155474_25425.jpg


by sustena | 2008-02-16 03:00 | 読んだ本のこと | Comments(2)
Commented by Cakeater at 2008-02-16 21:34 x
うわあ、それは大変。
膝痛めるとローアングルの広角写真は苦しくなります。
お大事になさってくださいな。
ぼくも先日カメラかかえたまま高さ2mほどのフェンスから一回転しておちました。なにが起きたか最初はわけがわからず、数分そのまま。起き上がろうとしても腹がじゃまでおきあがれないと気づくのにさらに2分。
ポケットロボット1は、しっかり差し上げたまま一回転しました。
肉襦袢のせいで1週間たってもどこも後遺症はでておりません。(笑い)
Commented by sustena at 2008-02-16 22:19
本日、だいぶよくなったかと思って鎮痛剤を飲むのをサボったら、とたんしんしんと痛いこと!朝の散歩にはなんとか出かけたけど、そのあとは足がすっかり冷えたこともあってか、ズキズキ。なので、光を探しに出かけるのはヤメにして、家でくすぶってました。


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