2017年 01月 03日

中島京子『彼女に関する十二章』

c0155474_17203690.jpgお正月、ぐーたらしながら、中島京子の『彼女に関する十二章』という小説を読む。

書き出しは「どうやらあがったようだわ」。
雨の話じゃない。月のモノのことである。

主人公は結婚25年の50歳をすぎた宇藤聖子。夫の守は編集プロダクションを経営していて、企業のPR誌に伊藤整の『女性に関する十二章』を今ふうにアレンジした女性論を自分の名前で書くことになったことから、聖子もその1954年のベストセラーを読むことにする。

この伊藤整のエッセイと、ビミョーにシンクロしながら話が展開していくのだ。

一人息子で大学院で哲学を学ぶ勉が女っ気がないと心配したり、聖子が初恋の相手だったという男性の息子(久世穣/アメリカ女性とのハーフである)とひょんなことから交流が始まったり、NPO法人「サポートステーションゆらゆら」に出入りする元ホームレスの調整ボランティアの片瀬さんが気になってしまったり、かと思うと、突然息子が家に連れてきたトヨトミチカコにガッカリしたり。夫の弟でゲイの小次郎くんがスパイスのように登場したりする12話で構成されている。

ちなみに伊藤整の『女性に関する十二章』の目次は次の通り。

第一章 結婚と幸福
 第二章 女性の姿形
 第三章 哀れなる男性
 第四章 妻は世間の代表者
 第五章 五十歩と百歩
 第六章 愛とは何か
 第七章 正義と愛情
 第八章 苦悩について
 第九章 情緒について
 第十章 生命の意識
 第十一章 家庭とは何か
 第十二章 この世は生きるに値するか

第2章のタイトルが「男性の姿形」であるほかは、ぜーんぶ同じである。

たとえば第3章では、伊藤整の次の文章が引用される。

「ある女性を愛して結婚したから、即ち性の独占を女性に誓ったから、妻のみで満ち足りているというのは、男性の本来の姿でありません」「即ち、普通のノーマルな男性は、妻を愛しているに拘らず、機会があれば、数多くの女性に接したいという衝動を元来与えられているものなのです。もし男性一般がそのような、可能な限り到る所に子孫を残そうという健康な本能を与えられていなかったならば、人類は大分前に滅びている筈であります。この傾向は女性にもあることは事実ですが遙かに弱いもののようです」
(ゲッ、伊藤整のこの本は読んだことがなかったけど、こんなことが書いてあったのか!)

PR誌のタイトルを「種をまく人」にしたいとクライアントが言い出したとぼやく夫との軽妙なやりとりがあり、アメリカからやってきた久世穣クンの異母兄弟を見て、彼の父・久世佑太=「種をまく人」だという思いにとらわれちゃったりするのであります。

共感したり笑い転げるうち、最後にはなんとなくホンワカして、イッキ読み。たくらみに満ちた楽しい小説です。

写真はけさ公園で見たカワセミ。弁天島といつものボート乗り場と、別々のコだった。
c0155474_1718513.jpg
c0155474_17181436.jpg
c0155474_1718238.jpg
c0155474_17183321.jpg


by sustena | 2017-01-03 17:18 | 読んだ本のこと | Comments(6)
Commented by Cakeater at 2017-01-03 22:08 x
カワセミの写真って何時ごろに撮ってるんでしょう。やっぱり、6時前後ですか。
今日は、阿佐ヶ谷に月と火星の接近を撮りにいきました。一番接近してたのは日没前の4時11分ごろだったそうで、日没後一時間なんて天文観測サイトの情報を信じて、4時50分ごろに試し撮りして、じっくりと見ないで、ガストでうまくもない甘いだけの夕飯を食べてから撮影予定地点までいったら、もう結構離れてる。ま、それでも、撮れましたけど、部屋に戻って、PCで見たら4時50分の試し撮りのものに、月のすぐそばに火星が写ってる!しまったあ、腹ペコに負けるんじゃあなかった。後の祭り。
P900はバルブがなくて、シャッターも最長15秒だから、月以外は星空は無理ですね。惑星が月の近くに来たら撮れるみたいだけど。
月と火星の会は大したことなかったですけど、電線のヒヨドリでいいのが撮れたからよしとします。
Commented by sustena at 2017-01-04 08:38
最近カワセミに出会ってる時間は元日の7時半を除けば、8時〜9時半です。P900はあまりにも大きいのでめげて、鳥さんの名前もろくすっぽ知らないので代わりに双眼鏡にとうしすることにし、でも双眼鏡で見ている時にどこかを押すと撮れるといいのに、って思ったりしてます。twitterでは月と火星の写真がいっぱい載ってたなぁ。
Commented by Cakeater at 2017-01-04 09:42 x
まあ、900g(ニコンの公式発表は899g)ですから、確かに重いですねえ。最近、慣れてきました。ほとんどジョギング用鉄アレイの重さです。(ペットボトルに水入れて二本もってるのを片手持ち、しかも斜め上向け続けてるわけですから)
8時から9時半ですね。よし、この次は7時に家を出れば、十分川沿いを歩き上って間に合うかな。今の季節、カモ類は川のほうが多いですから、そっちで時間をくっったりするかも。haha
Commented by iwamoto at 2017-01-04 12:34 x
咳払い、ひとつ。
Commented by sustena at 2017-01-04 22:00
Cakeaterさん、いまどき朝7時はまだ夜が明けたばかりでくらーいですよね。でも、8時すぎて、西荻から善福寺川沿いにのぼっていくと、井荻小学校あたりでカワセミに会えるかも。
Commented by sustena at 2017-01-04 22:02
iwamoto さん、ンー???そのココロは? きっとモテ男なので、こころあたりがあるのかなー


<< 2016に出かけたところ      1月2日は写真美術館 >>