2016年 08月 15日
京都国立近代美術館に出かけたホントのお目当ては、「あの時みんな熱かった!アンフォルメルと日本の美術」展だった。 「アンフォルメル」というのは、美術評論家ミシェル・タピエが第二次大戦後しばらくの欧米の最新の美術作品群の中から、作者の行為(アクション)の痕跡や鮮烈な色彩、素材そのものの生々しい物質感を強調したアートなどをセレクトして名づけたもので、日本語では「未定形の芸術」、つまり、混沌とした未分化なエネルギーに満ちたアートのこと。(ジョルジュ・マチューやポール・ジェンキンス、フォンタナ、カレル・アぺル、マーク・トビー、サム・フランシス、ジャン・デュビュッフェら)。それが1956(昭和31)年に日本に入り、戦後の気分から高度成長期に突入しようというときにピタッときたんだろうなぁ、洋画や彫刻だけでなく、日本画や陶芸、生け花までもが、熱さにやられたような表現が、日本中を席巻しちゃったのだ。 (当時「アンフォルメル台風」「アンフォルメル・ショック」などとも呼ばれたんだって) 展覧会ではアンフォルメルが当時とその後の日本美術にどんな影響を与えたのか、約100点の作品を以下の5つの章立てて紹介。 第1章 ミシェル・タピエとアンフォルメル 1-2 アンフォルメルと日本 第2章 身体・アクション・線の流動 2-1 書との親和性 2-2 アクションが吸収したもの 第3章 原始・生命・生態的イメージ 第4章 反復・集合・覆われる画面 第5章 マチエール・物質 こんなひとたちの作品です。知らない名前のひとも多いなー。 天井からつり下げられたロープにぶら下がって描いたり、ソロバンや番傘、マッサージ機を使ってオートマチックに描いてみたり、ドリルを使ったり、アクションだけでも実にいろんなバリエーョンがあって、当時はなんとも切実だったのか、エイヤッて気分だったのか、芸術家の作風の変遷を想いながら見ているとなんだかせつないのだった。 コレクョン展ではこの「アンフォルメルと日本の美術」に関連した展示(堂本印象って、四条派から抽象絵画まで、作風の幅がめちゃめちゃ広いんだね)、昨年度収蔵の「ウィーン世紀末のグラフィック」コレクションから、グスタフ・クリムト、エゴン・シーレ、オスカー・ココシュカの素描と版画が並んでいてうれしい♪ このほか、大正時代の絵画、写真ではE・ユージン・スミスの「水俣」シリーズ。いろんなものを持ってるんだなぁ。 お昼は、美術館のレストランで。京湯葉と厚野菜とキムチの冷製生パスタをいただく。わりとマルです。
by sustena
| 2016-08-15 00:10
| Art/Museum
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