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2016年 06月 28日

Retrace Our Steps ある日人々が消えた街

銀座のシャネルネクサスホールで、「Retrace Our Steps ある日人々が消えた街」という写真展をやっている。
タイトルでははーんと思うだろう。東日本大震災直後に発生した福島第一原発の事故によって、"no man’s land - 無人地帯"となってしまった地域をテーマにした写真展である。
なにをいまさら、さんざん写真があふれ返ったではないか、なにゆえシャネルでわざわざ?と思ったのだが、カルロス アイエスタとギョーム ブレッションの二人は、オリジナルな視点で、あの時間が封じ込められたような場所をおさえていた。
二人は何度もあの地域を訪れ、途中で資金が枯渇し、このドキュメンタリーとアートを融合させたプロジェクトが頓挫しそうになっていたとき、シャネルの支援を得ることができたんだって。
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5つのセクションに分かれる。
「不穏な自然」・・・取り残された家を自然が飲み込んでいく。「夜ノ森」というなんだか意味深に思える鉄道の駅、植物に覆われてほとんど隠れそうな車、緑のインベーダーである。

「光影」・・時が止まったゴーストタウンを暗闇のなかで人工光で照らして撮影。がらーんとした寒々した光。
「悪夢」では、無味無臭で目にも見えない放射線という脅威を示すために、住民に、汚染されたものとそうでないものに境界線を描いてもらい、薄いセロハンのシートで境界を可視化してみせたもの。

「パックショット」は、しょうが焼きや卵、魚など、スーパーに取り残された品々や靴 血圧測定器や床屋さんのクシとハサミなどを、まるで商品写真の物撮りでもするように撮ったシリーズ。といってもスタジオで撮ったのではない。コンクリートの上。3・10製造で消費期限が3.13付のアサリ、干からびて変色したブロッコリーや葉物、カビが生えて、元はなにだったかわからないような肉・・・。現代のポンペイ。

「回顧」は、5年経っても帰れないわが家や工場、カラオケ店、ファッション、パチンコ店etcに地域住民に訪れてもらい、まるでなんでもなかったように、かつての日常の様子を再現してもらい、撮影したもの。
しかし、かつての牛舎は牛の骨が地面に転がっていて、プラネタリウムはがらーんとしている・・・。もう戻れない、こんな撮影の機械がなければ、ここがどうなっていたかも知らなかった、とそれぞれ語る浪江町をはじめとする帰還困難区域の住民たち。ごき撮影のメイキングビデオは、淡々としていながら、喪失感がぐぐっと迫ってくる。

今回のプロジェクトの二人のユニットの写真はこちら。
http://www.fukushima-nogozone.com/#!portfolio-japanese/clfx
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by sustena | 2016-06-28 23:32 | Art/Museum | Comments(2)
Commented by esiko1837 at 2016-06-30 21:29
こういう活動は本当に大事ですよね。
原発をなくすために。
出るあてがなく仮設に留まっている方が大勢いるのですから
絶対に被害を風化させてはいけません。
シャネルはこういうことにお金を出すんだあと驚きました。
Commented by sustena at 2016-07-02 16:37
esikoさん、本当にその通りだと思います。すっかり忘れたように、原発を再稼働させるなんてとんでもない!と思います。
フランスの作家ということもあるんでしょうが、私も、シャネルでこのテーマか!とちょっと意外でした。


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