いつもココロに?マーク

sustena.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2016年 02月 16日

今月の「籠釣瓶」は見逃せないッ!─歌舞伎座二月公演夜の部

日曜日に歌舞伎座の二月公演・夜の部を見た。
夜の部は「ひらかな盛衰記」より「源太勘當」、「籠釣瓶花街酔醒」、舞踊の「浜松風恋歌」の3つ。なかでも、これはここ数年の舞台の中でもぴかいちではなかろうかと思えたのが、吉右衛門が佐野次郎左衛門、菊之助が八ッ橋を演じた「籠釣瓶花街酔醒」だ。

あばた面で、田舎者の商人・佐野次郎左衛門が吉原見物に出かけて吉原一の花魁の八ッ橋に一目ぼれしてしまう。八橋のいる立花屋に通いつめ、いよいよ見受けをというときに、父親がわりに育ててきたことを口実に八ッ橋や立花屋にたかってる根性悪の釣鐘権八が、八ッ橋と起請をかわした仲の栄之丞に、あんたを差し置いて・・と注進に及ぶ。最初は信じなかった栄之丞だが、立花屋に出向き、八ッ橋に佐野次郎左衛門との縁切りを迫る。かくて、八ッ橋は、田舎からの仲間の商人もきているなか、佐野次郎左衛門に愛想尽かしをするのだ。満座で恥をかかされ、恨みを抱いた佐野次郎左衛門が、後日立花屋を訪れ、妖刀籠釣瓶で、八ッ橋を殺すという悲劇であります。

菊之助の八ッ橋は、2012年に新橋演舞場で初演して以来。このときは見初めの場面でどう微笑むか、研究を重ねている様子がニュースでも報じられ、口の端をかすかに持ち上げてみせたのではなかったか。あのときも見に出かけてきれいでうっとりしたけれど、今回の菊之助はさらに、この八ッ橋を見たらどんな人だって吸い寄せられてしまうなぁ。夢みるように、誘うように、ゆったりと笑むそのほほえみが、あの大きな歌舞伎座いっぱいに広がっていくようだった。

今回ナルホドと思ったのが、菊五郎演じる繁山栄之丞のカッコよさである。トシでちょっと腹が出て、歩き方も二枚目にしちゃややおぼつかないところがないではないのだけれど、いやぁ、すばらしい男前で、ああこの男は単にヒモで貢いでくれる相手がいなくなるからと八ッ橋を責めてるんじゃないのね。昔から相思相愛だったではないか、というプライドからなのだということが、よく分かるのだ。

栄之丞はいい男だけど、八ッ橋は、佐野次郎左衛門にも、その真摯で、飾らない人柄、一緒にいて安心できるところなどに魅かれていたに違いない。どっちか選べって言われてもね・・・。でも栄之丞と別れることは考えられない。そこで、心ならずもの愛想尽かしをするわけだけど、そんな女心の悲しさは、必死の佐野次郎左衛門には悲しいかな伝わりっこない。

佐野次郎左衛門の「花魁、そりゃあ袖なかろうぜ」という叫びのイタかったこと。

今月は、まわりの役者もすべてがピタっとはまった抜群のアンサンブル。梅枝は、八ッ橋の姉御の花魁という役どころはやや無理があるけれど、情感あふれていていい九重だったし、歌六と魁春の立花屋夫婦の存在感も、彌十郎の権八のにくにくしさも、 又五郎の下男ぶりもよかったー。

この舞台だけでも見に行く価値があるよ。

公園では、カンザクラも咲き始めた。
c0155474_239219.jpg

c0155474_2393447.jpg

一、ひらかな盛衰記(ひらかなせいすいき)
源太勘當
梶原源太景季・・・・梅玉
腰元千鳥・・・・・・・・孝太郎
横須賀軍内・・・・・・・・市蔵
茶道珍斎・・・・・・・・橘太郎
梶原平次景高・・・・・・・・錦之助
母延寿・・・・・・・・秀太郎


三世河竹新七 作
二、籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)

序 幕 吉原仲之町見染の場
二幕目 立花屋見世先の場
大音寺前浪宅の場
三幕目 兵庫屋二階遣手部屋の場
同  廻し部屋の場
同  八ツ橋部屋縁切りの場
大 詰 立花屋二階の場 

佐野次郎左衛門・・・・・・・・吉右衛門
兵庫屋八ツ橋・・・・・・・・菊之助
下男治六・・・・・・・・又五郎
兵庫屋九重・・・・・・・・梅枝
同  七越・・・・・・・・新悟
同  初菊・・・・・・・・米吉
遣手お辰・・・・・・・・歌女之丞
絹商人丹兵衛・・・・・・・・橘三郎
釣鐘権八・・・・・・・・彌十郎
立花屋長兵衛・・・・・・・・歌六
立花屋女房おきつ・・・・・・・・魁春
繁山栄之丞・・・・・・・・菊五郎

三、小ふじ此兵衛 浜松風恋歌(はままつかぜこいのよみびと)

海女小ふじ・・・・・・・・時蔵
船頭此兵衛・・・・・・・・松緑

by sustena | 2016-02-16 23:10 | Theatre/Cinema | Comments(0)


<< NODA MAP 第20回公演...      ランチで失敗した話 >>