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2016年 01月 02日

百歳までの読書術

c0155474_16212890.jpg津野海太郎の『百歳までの読書術』(2015年7月刊 本の雑誌社)についてもう少し。

これは「本の雑誌」に2012年2月から2015年2月号までに連載された同名のエッセイに加筆・再構成したもの。内容的には70歳からの読書術、という方が正解だけど、百歳の方がインパクトがあるよね。

津野さんは言う。60代はほんの過渡期に過ぎない。70代に入って体力・気力・記憶力がすさまじい速度でおとろえはじめ、本物の、それこそハンパじゃない老年が向こうからバンバンあきれるほどの迫力で押し寄せてくるのだと。本だけ読んでのんびり暮らそうなんざ、幻想なんだと。そう脅しておいて、老人読書の現実をいろんな作家の例を引きながら楽しそうに教えてくれる。

津野さんの読書スタイルも変わった。
60代までは歩きながら読むのが普通だったが、意外にも、自分の部屋できちんと椅子に座って読むようになった。OSR(オン・ザ・ストリート・リーディング)からDTR(デスクトップ・リーディング)というわけである。(私も最近はあまりOSRをしない。これはもっぱら視力がおとろえたためである)。

本を処分するのも疲れるので、なるべく図書館を利用するようになる。 何しろ図書館のデジタルネットワーク化(専門的にはOPAC Online Public Access Contributionと呼ぶ)が進んで、近くの図書館でも400万点もの蔵書を持っているようなものなんだから。そして、新刊本、旧刊本を自在に読みふけるわけ。

例えば昔古本屋などで買って未読のままになっていた本を、フト魔が差して読んでしまう。あるいは青春時代に感動した本をもう一度読んでみる。すると思いがけない発見があったり、その後に新事実が発見されたり(岩田宏というか、小笠原豊樹の『マヤコフスキー事件』の例など興味深い)、あるいは読み手のこちとらの年齢・経験によって読み方が変わる。そして芋づる式にいろいろ手を出し、読書の領域を八方に広げているうち、あるときパッと凍って、そうか!となったりね。そんな自在さが楽しいと、るんるんしてるんですね、津野サン。

森於菟が71歳のときに書いた『耄碌寸前』の結びの文句(肩ひじはったタンカだよねぇ)に共感しつつも、それって、柔軟性が欠けてるんじゃないの。昔が良かったとブーたれるのは、単に自分が若かったってだけじゃないのかしらん、とつぶやくのだ
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若者たちよ、諸君がみているものは人生ではない。それは諸君の生理であり、血であり、増殖する細胞なのだ。諸君は増殖する細胞を失った老人にとって死は夢の続きであり、望みうる唯一の生かもしれないと、一度でも思ったことがあるだろうか。若者よ、諸君は私に関係がなく、私は諸君に関係がない。私と諸君の間には言葉すら不要なのだ。
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高速度で老いおとろえてゆくじぶんへの抑えがたい好奇心に満ち満ちてるんだって。
かくありたし。

【目次】

 老人読書もけっこう過激なのだ

<壱>
 本を捨てない人たち
 減らすのだって楽じゃない
 路上読書の終わり
 新しいクセ
 遅読がよくて速読はダメなのか
 月光読書という夢
 「正しい読書」なんてあるの?
 本を増やさない法
 近所の図書館を使いこなす
 退職老人、図書館に行く
 渡部型と中野型

<弐>
 背丈がちぢまった
 ニベもない話
 私の時代が遠ざかる
 もの忘れ日記
 漢字が書けない
 老人演技がへたになった
 八方にでてパッと凍る
 〈死者の国〉から
 本から本へ渡り歩く
 老人にしかできない読書
 ロマンチック・トライアングル

<参>
 映画はカプセルの中で
 いまは興味がない
 病院にも「本の道」があった
 幻覚に見放されて
 友達は大切にしなければ
 書くより読むほうがいい
 むかしの本を読みかえす
 怖くもなんともない
 古いタイプライター
 もうろくのレッスン

あとがき

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by sustena | 2016-01-02 11:02 | 読んだ本のこと | Comments(6)
Commented by iwamoto at 2016-01-02 18:51 x
選ばれた人だけの老後の姿のような。

ロウバイの葉に触ったことがありますか。 こっちも蝋細工を連想するのですが、先入観かしら。
Commented by Cakeater at 2016-01-02 20:22 x
工場の前庭の池の小魚を狙って夜釣りにくる青サギに比べると、善福寺池で嘴を垂れているコサギのほうが野生味がある写真になりますねえ。ま、鳥たちにすれば、水たまりに魚がいるという点では全く同じなんだろうけど。haha
結局どこにもでかけないうちに正月休みは終わりそうです。ネット関係のフェイルセイフ環境を構築して、部屋を掃除しただけですねえ。まだあと三日残ってるけど。
Commented by sustena at 2016-01-02 22:05
iwamotoさん、このところロウバイと水仙の香りをかぐのが散歩の楽しみになっています。今年はまだロウバイの葉はフサフサなので明日触ってみようと思います。
Commented by sustena at 2016-01-02 22:08
Cakeaterさん、このところアオサギが10羽ぐらい1本の木にいて、まわりを獰猛な顔つきで睥睨してるんです。コサギだってよく見るとコワイ顔をしてるけど、アオサギにはかないません。
Commented by esiko1837 at 2016-01-05 09:55
サステナさん、遅ればせながら明けましておめでとうございます。
もうお仕事が始まっているのですね、ご苦労様です。
この記事は、見につまされます。
本は買わなくなって図書館を利用、私がまさにこうなりました。
そしてまだ70代にはなってませんが、急激な全ての衰え・・・・。
就寝時に本を読むのは、物心ついてからの習慣なのですが、最近は集中力が極端に衰えて
すぐに眠くなってしまいます。
そして全てにおけるモノグサ病、なにをするのもメンドクサさが加速度的に押し寄せてきます。
衰えてゆく自分への好奇心は、残念ながらございません。
何歳まで読書できるのか・・・間もなく終わりのような気もします。
Commented by sustena at 2016-01-07 22:16
esikoさん、最近急激に基礎代謝が落ちているのを実感しているので(早い話が、日増しにデブになっているので)、危機感イッパイなんですー。
仕事面では(ひとさまの名前以外は)ちゃんと覚えていられるけれども、あれ、ここに置いたはずなのに・・としょっちゅうモノを探しているし。こういう話題や病気の話になると、老人予備軍は盛り上がり、ガゼン話に夢中になってしまうのは、好奇心とはちょっと違う?


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