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2015年 12月 17日

山田洋次「母と暮せば」

先日、封切りしたばかりの「母と暮せば」 (2015年 松竹 130分)をみてきた。

井上ひさしの戯曲「父と暮せば」と対になる作品で、タイトルしか決まっていなかったのを、井上ひさしの娘の麻矢さんの依頼を受け、山田洋次が戦後70年を機に、映画化したもの。

長崎で助産婦をして暮らす主人公の福原伸子役に吉永小百合、その息子・浩二役に二宮和也、浩二の恋人・町子が黒木華(うまい!)、町子に思いを寄せる黒田先生に浅野忠信、伸子のもとを訪れる闇屋の上海のおじさんが加藤健一、その他、原爆が落ちた日に長崎医科大学で教鞭をとっていた酒好きな川上教授に橋爪功という顔ぶれ(隣人の広岡由里子や、復員局の職員の小林稔侍、ちょこっと出てきた辻萬長も存在感がたっぷりー )。

主人公の伸子が住む、坂道を上がり対岸に長崎の風景をのぞむ家の雰囲気がすばらしい。(セットでCG合成したんだそうだ)

ストーリー自体は、原爆で死んでしまった息子の亡霊が出てきて、母と話をするというお話。

運命だったという浩二に、「地震や津波などの天災は運命かもしれないけど、人間が起こした戦争は運命なんかじゃない」と母が怒るシーン、「恋人の幸せを願うのは、自分一人の願いじゃなくて、一緒に原爆で死んだ何万人もの願い」と、浩二が寂しい思いにとらわれながらも、恋人の幸せを祈る思いを吐露する場面、スパイの濡れ衣を着せられた息子を憲兵から取り戻した帰りに、二人でちゃんぽんを食べたシーンを思い出す場面、上海のおじさんから闇のものを買っちゃいけないという息子に、あの人は心根がまっすぐだ(うろ覚えモード)という意味のことを話す場面などが、いかにも山田洋次節なのだった。

そうそ、坂本龍一の音楽もよかった。

とはいえ、エンディングや指揮をしたりする回想シーンや幻想的な場面など、いささかチープな感じがしたのも事実で、ちょっとね・・・。
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by sustena | 2015-12-17 23:43 | Theatre/Cinema | Comments(0)


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