いつもココロに?マーク

sustena.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2015年 09月 26日

蔡國強展:帰去来

c0155474_15352648.jpg横浜美術館で開催中の「蔡國強展:帰去来」がすばらしかった。
蔡國強(ツァイ・グオチャン/さい・こっきょう)は1957年、中国福建省泉州市生まれ。マッチ箱に絵を描く父親のもと、これが絵画であり世界だと思ったという。

蔡といってもぴんとこないひとでも、火薬と導火線を使った《万里の長城を1万メートル延長するプロジェクト》(1993)や、2008年の北京オリンピック開会式で視覚特効芸術監督を務め、打ち上げ花火で《歴史の足跡》を演出したアーティストだと聞けば、ははんと思いあたるのではないだろうか。

戦争や爆破に用いられる火薬を爆発させてカンヴァスや和紙に画像を定着させたり、大空を背景にした花火などによって、壮大なアートを生み出す独自の手法を開発した。

日本とも関係が深い。上海戯劇学院で舞台美術を学んだのち1986年末に来日。筑波大学に在籍し、東京や取手やいわきに滞在しながら創作活動を開始するが、絵画の発表場所を求めて画廊をまわるも反応は鈍く、日本滞在中に火薬絵画を編み出し注目を浴びる。95年以降はニューヨークに拠点を移し、いまや世界的に活動を続けている。

今回の横浜美術館では、グランドギャラリーで、火薬絵画の《夜桜》と《人生四季、春夏秋冬》、そして展示室の中央から床につるに絡まりながら咲くテラコッタによるインスタレーション《朝顔》を横浜美術大学の学生らとの協働で制作。(そのメイキング映像も興味深い)

これが1階のエントランス奥の半円部部分に展示された《夜桜》なんだけど、8×24mもの大きさなので、半分ぶつしか写せなかった。
c0155474_15353355.jpg
c0155474_15354392.jpg

このほか、春夏秋冬それぞれの季節をいろどる草花や小さな生きものが浮き彫りになった白い磁器のパネル240枚に火薬をまいて爆発させた《春夏秋冬》h、土と火が一体となり生命のはかなさとつながりを感じさせてくれる作品だった。小屋を爆発させる様子を写したビデオ・インスタレーション《イリュージョンII》は、火を近くでみるときの、からだの芯が燃えていくような思いにとらわれる。

圧巻は、2006年にドイツで発表された《壁撞き》という作品。99匹の狼が群れをなしてガラスの壁に向かって空を飛ぶが、壁を超えることができず落ちてしまう。しかしひるむことなく立ち上がり、また挑もうと群れの後についていく・・・・。(99は道教で永遠の循環を象徴する数字なんだって)

狼たちがぶちあたるガラスの壁はベルリンの壁と同じ高さだという。壁が崩壊したあとも、別の壁が残っていることをあらわしているとのことで、狼は人間の自由なこころの象徴だろうか。鉄芯、藁、石膏、着色された羊の毛皮、合成素材でつくられた実物大のオオカミで、一瞬剥製かしらん、と思ったほど。
どの作品も大きいのだけれど、この《壁撞き》 は展示室いっぱいの大迫力!

蔡のこれまでのアート活動や、現在からさかのぼって見せながら、彼のアートに対する思いが語られる《蔡國強:巻戻》と題したビデオをみているうちに泣けてきてしまう。

展覧会は10月18日まで。おすすめです。

特設サイトhttp://yokohama.art.museum/special/2015/caiguoqiang/
蔡のオフィシャルサイトもすてき。http://www.caiguoqiang.com/

新潟県十日町市のキナーレ1階回廊では、かつて仙人が住んだという蓬莱山をイメージした蔡國強のインスタレーション《蓬莱山》が展示中。東の海はいま日中の間で摩擦がおこりかねないのだが、蓬莱山はあくまでゆったり浮かんでいる(逆をみるとハリボテの山であることがわかる。ハリボテというのはヘンだけど)。回廊に吊るされた藁細工約1000体は、越後妻有のお年寄りに学び、地域のこどもたちとともに作り上げたものという。龍のようでもあり、空を飛ぶ鳥のようでもあるのだが、なかには軍艦もある。こちらの展示は9月27日まで。
c0155474_15355162.jpg
c0155474_15355988.jpg
c0155474_1536881.jpg
c0155474_15361689.jpg


by sustena | 2015-09-26 16:49 | Art/Museum | Comments(2)
Commented by iwamoto at 2015-09-26 17:45 x
ああ、あのTVでお馴染みの彼ですね。 実物は見たことがありません。
テクスチャもいい感じ?
Commented by sustena at 2015-09-27 20:59
iwamotoさん、テレビでおなじみかどうかはよくわかりませんが・・・。火薬ドローイングのほうは、できあがった作品もさることながら、制作プロセスが興味深いです。もうノウハウは詰まっているけれども、やはり完全にはコントロールできないところが火薬のおもしろさだとか。


<< 「赤倉の学童」      王子散歩 >>