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2015年 08月 19日

ギンザ・グラフィック・ギャラリー「ラース・ミュラー: 本 アナログリアリティー」

c0155474_21362927.pngギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)で開催中の第348回企画展「ラース・ミュラー: 本 アナログリアリティー」がすばらしい。

ラース・ミュラーはスイスを拠点として活躍する出版者であり、ブックデザイナーで、彼が送り出した本の中から100冊を展示している(実際に手にとって見ることができる) 。会場の展示デザインは藤本壮介。

いろいろなジャンルの本があるのだが、とくに多いのが環境、建築、デザイン、タイポグラフィや写真など。
どんな本のつくりにずくか、紙や表紙の色や素材、本文のフォントなど徹底的に吟味したんだろうなぁということがすごく伝わってきて、ネット全盛時代でも、本ならではの存在感、ものとして伝わってくる迫力がある。

いくつか印象的な本があった。

Thomas Flechtnerの写真集「SNOW」は、ソフトな感触の白の表紙に、雪道を通る1本の道と題字が、エンボスで表現されていて、まるで、降り積もった雪の上をそおっと歩いているかのよう。

ザハ・ハディドのローゼンタール現代美術センターと、Heydar Aliyev Center の建築スケッチや建築写真を収めた2冊の本は、それぞれの建築のコンセプトや特徴をそのまま装丁に生かしたもので、前者はその垂直で構成されたファサードからインスピレーションを得て、直線的な断面を持つ紙を重ねた立体的な表紙だし、後者はそのうねるような曲線が描かれている。

そして決して忘れることができないのが、ホロコーストの犠牲者を忘れないためにつくられた 「ホロコースト メモリアル ベルリン」。表紙がずっしり重くていったい材質は何?と中を開いて衝撃を受けた。ホロコーストの2700もの記念碑がずっと並ぶ風景を撮ったヘレネ・ベネットの静かな写真が続くのだ。その記念碑に使用されたセメントが表紙なのだという。厚さにして1cmもあったろうか。大判なので、机から持ち上げるのもやっと。そしてこれまた分厚い、フェルトで覆われていた。こんな本があるだなんて・・・。

どの本も、読者の魂をギュッとつかまえてしまう。

その存在感に負けそうで、気軽には書斎におけそうもないのだが、20年前だったらきっとすぐさま何冊も彼の本をゲットしたに違いなく、とてもキケンな展覧会なのだった。
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by sustena | 2015-08-19 22:32 | Art/Museum | Comments(4)
Commented by Cakeater at 2015-08-20 22:40 x
古本屋で時々思うんですが、電子テキスト時代にこういう紙媒体の本というのはどうなるんでしょうかねえ。20年くらいで換わりはしないという気持ちと、いや消えるときは一気じゃないかという気持ちが半々。
もともと欧米の本って、一般商品より高めですから、それが一層高くなって、電子化が一気に進むのかなあ。辞書でみると、もう紙の辞書は携帯性も内容量も電子版が勝ってますしね。
暇つぶしに寝転んでなら、紙の方がとも思ったりするんですが、スマホでニュースを読んでる人達の多さをみるとね。
こういう本のデザインを仕事にする人達もどうするんでしょうね。
Commented by Lucian at 2015-08-21 20:18 x
俳優のシェークスピアは実在しても、
劇作家ウィリアム・シェークスピアは存在しなかったように、
ホロコーストという競走馬は実在しても、
600万人虐殺のホロコーストは存在しなかったと思います。
それを匂わせる演出はあったようですが。
Commented by sustena at 2015-08-23 21:29
Cakeaterさん、ラースさんは、紙の本と電子媒体の本とは別物だからなくなりはしないという意見でしたが・・・。きのう同窓会があって、教授連中が、本が増えていくら書庫をふやしても足りない、「自炊」するよりやはり紙がいいが、退官後のことを考えたら処分に困るし・・と嘆いていました。アマゾンなんかで手軽に海外の本が買えるので、かったりクリックしてしまう・・という話題で盛り上がってましたが、あとの世代はまた別の感性でしょうからねぇ。
Commented by sustena at 2015-08-23 21:34
Lucianさんのコメントについて判断できるエビデンスとなる材料を持ち合わせてはいないのですが、人数はともかく、存在しなかったとはいえないのではないかと・・・。定義にもよるのでしょうか?


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