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2015年 03月 22日

仁左衛門の菅丞相に滂沱

c0155474_013386.jpg歌舞伎座の三月公演・昼の部を観る。今月は「菅原伝授手習鑑」の通しで、昼の部は「加茂堤」「筆法伝授」「道明寺」。歌舞伎では「筆法伝授」と「道明寺」はこれまで観たことがなくて、しかも菅丞相を仁左衛門が演じるので、これはどうあっても観なくては、とチケットを求めて、なんとか2列目の花道から中央より4番目の席をゲットできた。少々端だったかもと心配だったんだけど、最後の道明寺で、花道を去る菅丞相の表情を間近に観られて大満足。

菅丞相(道真)は動きが少ないなかに、気品と道真の思いを込めなくてはならず、めちゃ難しい役で、いまこの役を演じられるのは、仁左衛門しかいないのではなかろうか。(吉右衛門でもちょっと違う。上方役者じゃないとダメだっていわれるのは単なるお約束? まとってる雰囲気が違うから?)

菅原伝授・・では、「車引き」や「寺子屋」が単独でかかることが多いんだけど、通しで見ると、源蔵夫婦の心情や劇の構造がよくわかって、一度はちゃんと観ておくべきだなーとつくづく思った。

序幕の加茂堤では、菅丞相の養女苅屋姫と親王の逢引を桜丸と八重が手引きをするんだけど、政敵の藤原時平方の三善清行にとがめられて、姫と親王が逃げていく。道真が娘を使って親王をたらしこんで謀叛をたくらんでるという言いがかりをつけら太宰府流罪となる発端の事件。萬太郎と壱太郎では学芸会のようでまったく逢引の雰囲気がないのはちょっとな・・。菊之助の桜丸はきれいすぎー。

次の「筆法伝授」は、染五郎の源蔵と梅枝の戸浪。これが予想以上によかった。とくに源蔵が勘当されていた身だが、菅丞相に呼び出されて廻り舞台を進む場面の緊張感と、屋敷の奥の学問所で、菅丞相に書を欠かさず寺子屋で教えていたことを述べるところがグッときましたー。

でもなんといっても、昼の見どころは「道明寺」。流罪と決まった道真が、判官代輝国のはからいで、船が出るまで伯母の覚寿の館に預けられる(ここには苅屋姫が匿れている)。輝国が迎えに来る前に道真を殺してしまえという時平の命を受けた土師兵衛、太郎親子が、一番鳥を鳴かせて偽の迎えの車に道真を乗せていく。でも連れられていったのはなんと木像(このときの仁左衛門の動きがホント人形!)で、そのあとホンモノの輝国が迎えに来て、菅丞相が姫と涙の別れをする。
この場面、大向こうから「たっぷり!」と声がかかり、大きい歌舞伎座の全体が、仁左衛門の台詞回しや表情のひとつひとつ、そのかすかな変化も見逃すまいと、気持ちがひとつになって集中してるのー。

花道を去る仁左衛門の目に涙が。見送るこちとらも滂沱で、菅丞相が去ったのあと、幕が閉じ、輝国か続いて花道を行くんだけど、圧倒的な存在感の余韻が残っているところを行くわけで、ちょっぴり菊之助の分が悪くてかわいそうな気も。
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序 幕 加茂堤
  
桜丸 菊之助
八重 梅枝
斎世親王 萬太郎
苅屋姫 壱太郎
三善清行 亀寿

二幕目 筆法伝授
  
菅丞相仁左衛門
武部源蔵 染五郎
梅王丸 愛之助
戸浪 梅枝
左中弁希世 橘太郎
腰元勝野 宗之助
三善清行 亀寿
荒島主税 亀三郎
局水無瀬 家橘
園生の前 魁春

三幕目 道明寺
  
菅丞相 仁左衛門
立田の前 芝雀
判官代輝国 菊之助
奴宅内 愛之助
苅屋姫 壱太郎
贋迎い弥藤次 松之助
宿禰太郎 彌十郎
土師兵衛 歌六
覚寿 秀太郎

by sustena | 2015-03-22 00:13 | Theatre/Cinema | Comments(0)


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