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2015年 03月 18日

新井 紀子『ロボットは東大に入れるか』

c0155474_23413632.jpg国立情報学研究所教授で、2011年から「ロボットは東大に入れるか」のプロジェクトディレクターを務める新井紀子さんの『ロボットは東大に入れるか』(イースト・プレス 2014年8月刊)がおもしろい!
(ついでに言うと、本もおもしろいけど、新井さんの経歴もおもしろい。一橋大学法学部に入学して、高校時代には苦手だった数学にめざめ、4年のときにイリノイ大学に留学し、同大学数学科博士課程を修了、その後一橋の法学部を卒業してるのだ)

このプロジェクトについては、新聞などでも盛んに取り上げられて、現在は日東駒専なら合格できるレベルだなんて紹介されていたりするので、「ハハーンあれだな」、とピンとくる人も多いだろう。

新井さんがこの研究テーマを思いついたのは2010年12月。人工知能が私たちの生活の中に深く入り込んでいて、人間の仕事のかなりの部分が置き換わろうとしているのに、私たちは、人工知能の技術で何ができ、どこに向かっているのかよくわかっていない。そこで、「ロボットは東大に入れるか」というキャッチーで衆人の耳目をひくテーマを掲げて、人工知能にできること、できないことは何なのかをちゃんと考えてみようというのだ。

この本は3章から成り立っている。第一章は人工知能が現在どこまで進んでいて、このプロジェクトが何を目指しているかについて、新井先生が全国各地で中高生などを対象に行った講演をもとにまとめたもの。第2章は、“東ロボくん”と名づけられた人工知能が2013年にチャレンジしたセンター試験や模試の結果をもとに、代ゼミの講師陣が傾向と対策を、開発にかかわったプロジェクトチームが、どんな戦略でテストを攻略しようとしたかの報告と今後の展望、そして3章が、講演などでの議論をもとに、人工知能と私たちの未来を考えたもの。

たとえば、コンピュータなら数学の問題を解くなんて得意に違いないと私たちは考えがちだ。でも「ふたつの偶数を足すと偶数になることを示しなさい」なんて問題がある。いったいどう証明させるか。また「y=x+ax+1のグラフがx軸と交点を持つとき、aの範囲を求めよ」なんて問題や、図形の問題は・・・?

コンピュータに回答させようというとき、「問うている意味がなんとなくわかる」ではダメで、ちゃんと質問尾意味を理解させることからして、現段階ではかなりむずかしい。

私は岡田と広島に行った
私は岡山と広島に行った
この2つの違いをどう理解させるか? 

それだったら、国語なんてとうてい無理じゃん?と思うけど、本質的な国語力を身につけさせるのではなく、とりあえず60点取るためにはどうするかという工学的アプローチで行く。なので、漢字の読みではパーフェクトをねらい、傍線部の気持ちや理由を述べさせる問題は、たとえば本文の先頭から傍線部を含む段落までを抽出し、解答の選択肢と共通する文字数を数え、多い方を正解とする、なんてテクを使うのであります!

会話してロボットだと見分けられないようにするにはどうするかとか、計算機に解くことがむずかしい「AI完全」はどんな問題なのかとか、アマゾンの職場で人が担当する仕事の話とか、興味深い話題がイロイロ詰まってる。そして、新井さんの文章は実に明晰で読みやすい。

ところで、コンピュータは顔写真を見つけるのは得意だろうか? こんな単純なのなら、楽勝かもしれない。
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目次

第1章 “東ロボくんと人工知能の現在
センター入試は楽勝か?
コンピュータの「知性」とは?
消える職業、変わる学校

第2章 「東大」への大いなる一歩
―東ロボくん、「全国センター模試」&「東大入試プレ」に挑戦!!
代々木ゼミナールによる結果報告と概評
「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトチームによる講評と展望

第3章 “東ロボくん”の将来/私たちの未来

東ロボくんの「かたち」
ロボットの人権
機械の深化と人間の進化
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by sustena | 2015-03-18 12:32 | 読んだ本のこと | Comments(8)
Commented by iwamoto at 2015-03-19 18:50 x
顔を見出すのは、みっつの点があれば良いでしょうが、
なんとなくですが、情緒感というのかな、笑いそうな顔とか、ちょっと困った顔とか、
そういうところが見つけられないように思われますね。
でも、そんなことも教えてゆけるのでしょう。
見つけた本人(ロボ)に嬉しさがないであろうことが、こちらから見ると物足りないです。
Commented by sustena at 2015-03-19 22:31
たぶん典型的な顔のほかに、lwamoto さんのサンプルをたんと見せて学習させて、人間が手助けをしてやってビミョーな部分を統計学的に処理できるようになれば、精度は上がるでしょうけど、おっしゃる通り、新たなタイプを見いだしたときのようなヤッタぜ感とか、キュートな顔を見つけたときのニンマリ感は、絶対に無理だよね。
Commented by ken_kisaragi at 2015-03-21 00:06
「チミ、何を言ってるんだい?」と言うロボ君はある意味誠実かもね。
スパコンに全世界のGoogle ストリートビュー映像を認識させて「ドラエモン風を発見せよ」
なんておもしろいかも(笑)

ところで銀座四丁目のakionagasawaで開催している猪瀬光、
見に行きましたか? 写真集見ましたが、ちょっとついていけませんでした、
マジこわかったどぉー。
Commented by Cakeater at 2015-03-21 07:31 x
最近、フランス語がほんの少し1mmくらいレベルが上がったみたいなんで、こういうロボットに「家の隣にケーキ屋ができた」「家のすぐ近くのケーキ屋がつぶれた」「隣/すぐ近く」を訳しわける作文はできるのかやらせてみたいです。ウガイ三軒超怒鳴りなんて地口絵解き問題とか、My funny Valentine のモデルの男の魅力が魅力となる理由を述べよというような問題は処理できるのか、とかlol.
先週見つけたJoni Mitchell のトリビュートコンサートのURLを入れておきました。お好きでしたら暇なときにでもどうぞ。
Commented by sustena at 2015-03-21 22:50
kenさん、猪瀬光の展覧会には行ってませんが、いまwebを見たら、プリントの迫力と密度に負けそうです。濃密すぎてこわい・・・。
Commented by sustena at 2015-03-21 23:15
きゃー、Cakeaterさん!スーザン・サランドンやエルトン・ジョンや、まぁなんていっぱい・・・! すごい。70なのにすてきな歌声で雰囲気は全然変わりませんねぇ。最後のみんなで歌ってたThe Circle Gameは、中学生のときに一生懸命歌詞を覚えようとした歌でした。じーん・・・。
Commented by Lucian at 2015-03-27 20:56 x
人工知能が人間に近づけるかどうかの鍵は、アルゴリズムの中に自律的な学習機能を組み込めるかどうかにかかっていると思います。
「ターミネーター」のマイクロチップがそうでしたね。
 
最近、デジカメで集合写真を撮ったら、全員の顔を個別に認識して、1人でも目を瞑ったりすると、「目つぶりを検出しました」というメッセージが表示されてちょっと驚きました。
確かにこれで失敗は防げるのですが。
Commented by sustena at 2015-03-29 15:25
そうそう、人が写っているのをサーチしてくれたり、笑顔のシャッターチャンスを逃がさないとか。
どれくらい賢いのか知人が去年1 のお花見のときに試してましたが、 結局、よくわかりませんでした。


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