2015年 03月 02日
ひと月ほど前に、久しぶりにル・カレの『繊細な真実』(原題 A Delicate Truth (2013) 加賀山 卓朗・訳 早川書房 2014年11月刊)を読む。 最近、ジェフリー・ディーバーのジェットコースターみたいなミステリばかり読んでいたので全然違うタイプの本を読みたくなったのだ。 こちらは、重厚でグジグジしてて、じっくりつきあわないとわかりにくいけれども、少しずつほぐれた糸を解きほぐすようにして暗い中を進んでいくと、じわじわと隠された真実が見えてきて、不思議な解放感とともに、その一方でクラーイ真実と向き合わざるをえないような、いかにもイギリスって感じの小説。ああル・カレ、イギリスの天気みたいだねぇと思ったのだった。 英国領ジブラルタルでテロリスト捕獲のための“ワイルドライフ作戦”が展開される。その作戦は成功裏に終わったとして、閣外大臣クインの代理として参加した外務省職員キット(作戦名ポール・アンダースン)は爵位を与えられて故郷でのんびり暮らしている。そんなキットのもとにこの作戦の現地指揮官が訪ねてくる。なんと、この作戦で罪のない母親と赤ん坊が殺された事実が闇に葬られているというのだ。しかもキットが爵位を与えられたのと裏腹に、彼は極貧にあえいでいる。 一方、クインの秘書官トビー・ベルは、ジブラルタルでの作戦の影に、うさんくさい民間防衛企業がちらついていることに気づく。真実を探ろうとキットに会い、証拠を手に入れるが、官僚や上層部らは隠蔽を図る・・・ ストーリーをざっくり紹介したけど、最初からこんなにすとんと頭に入るわけじゃないのよー。 ル・カレを読むときは、迷路を進む感じを楽しむことがカンジンなのであります。 秘密保護法のもとでは、こうした事件はいかにも起こりそうな・・・とか、最近のちょっぴりキナ臭い日本のことがしきりに連想されたなぁ。 写真は銀座エルメスのビルの壁のミニギャラリー。
by sustena
| 2015-03-02 23:59
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