いつもココロに?マーク

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2015年 02月 04日

マーク・ピーターセン『日本人の英語はなぜ間違うのか?』

c0155474_0192991.jpgン十年前の中学時代の英語の教科書で一番最初に出合ったのは、a pen / a desk / This is a pen. / This is a desk.だった。いったい、こんなフレーズをどこでだれが使うんだって思ったのはだいぶあとのことで、そのときは何もわからずひたすら教科書の英文を暗記していた。

その後、息子の英語の教科書を読んで、留学生に剣道の話をしたり、地球温暖化について議論したりと、ずいぶん中身が「進歩」したものだと思っていたのだが、マーク・ピーターセンの『日本人の英語はなぜ間違うのか?』(集英社インターナショナル 知のトレッキング叢書 2014年11月刊)を読んで仰天した(Cakeaterさんがコメントで紹介していたのを目にして手にとったのね)。英語の教科書が、ネイティブから見て、ヘンテコリンな用例に満ち満ちているとは!

マーク・ピーターセンは、アメリカ・ウィスコンシン州生まれ。現在、明治大学政治経済学部教授で、学生の英作文を教えていて、彼らに共通の不自然な英語に出くわす。最初は学生の不勉強、怠慢だと思って説教していたのだが、教科書が元凶だったと気づいたのだという。

学生たちが総じて陥る、そして教科書も同罪の「ヘンな特徴」とは

(1)代名詞を使わず、同じ名詞を繰り返して使う
(2)複数の短い文書に切って書く
(3)時制がめちゃくちゃ
   過去の話なのに未来形が突然登場したり、
   過去完了を使うべきとこや
(4)使うべきでないところにまで「the」をつける
(5)したがって、という意味で文頭に置く接続詞Soのあとにコンマを打つ
   また、因果関係がハッキリしていないところにまでsoを使ったり
   veryのかわりにやたらにsoを使う
(6)論理が飛躍してしまう
(7)最後の文がやたら壮大
えー、ほかにもいろいろありますが、あとは略。
   
たとえば、(3)など、英語には現在形、現在進行形、現在完了形、現在完了進行形、過去形、過去進行形、過去完了形、過去完了進行形、未来形、未来進行形、未来完了形、未来完了進行形と12の時制が使われるのに、中学の3年間ではその半分しか紹介されないため、意味不明な文章になってしまう。

もちろん、限られた語彙の中で、また、何年生はこの文法までと定められた中で、工夫が求められる苦労は認めつつも、ピーターセンさんは、なぜ物語の基本の過去完了を中学校で教えないのか、と疑問に思う。
時制がアイマイな日本語の観点から、まだ教えなくてもよさそうだ、と考えているか、はたまた、中学生には難しすぎるという先入観があるためではないか・・・?
また、非論理的で、やたら感動を売り物にするような幼稚な英文を強いられることにタメイキをつく。
「おそらく筆者はそう書けば(=海外旅行が夢だった父親の代わりにぬいぐるみが多くの国に行ったことで、「父親の夢はかなったのだ」と文章を終えることで)ふつうの中学生は感動するかもしれないと思ったのでしょう。
 いずれにしても、中学の数学や理科では高度な内容を教えるのに、なぜ英語の教科書の内容はこんなにも『幼稚』でないといけないのでしょうか?」

彼がたびたび引用する「かわいそうなゾウ」の英文など、たしかにあきれてしまう英文だ。いくらなんでも、ネイティブにチェックしてもらってるはずだけどな・・・・・。

そんなふうに驚き、あきれ、おお、私もSoのあとにコンマを打っちゃうなぁ、と赤面しながら(おそらくこれは、日本語の「それで、」という気分になっちゃうからだよね、ちょっと響きも似てるし・・・)イッキに読んだ。

ところどころ、じゃあ正しい使い方をちゃんと教えてよ!と机をドンドンしたくなるところもあるけれども、それぞれの指摘はいずれも興味深く、学生の例文や教科書の用例に大笑い。英語の教科書の編集者は、どう思ってるのかなぁ。ぜひ聞いてみたいところだ。

目次
第1章 英語教科書が抱える問題
第2章 時制が足りない日本人の英語
第3章 冠詞theと数への無関心
第4章 基本動詞・助動詞を使いこなす
第5章 仮定法の基本を理解する
第6章 人気者“so”の用法に関する誤解
第7章 itとthatを使い分ける
第8章 単語の無意味な「繰り返し」を防ぐには?
第9章 「論理の飛躍」が多すぎる
第10章 自然な英語を書くために
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by sustena | 2015-02-04 00:33 | 読んだ本のこと | Comments(8)
Commented by iwamoto at 2015-02-04 08:00 x
わたしも、Cakeaterさんからご紹介頂きました。
時制は難しいですね。 なんでそこまで言いたがるのかと思いますが(笑)
This is a pen.一度使ったことがあるかな。 それは一見してペンに見えないものだったから。
教科書で対応できるものは早めに手を打ってもらいたいですね。

こりゃまた、渋いポストだこと。 こいつぁ、coolってんでしょうか。
Commented by sustena at 2015-02-04 10:11
iwamotoさんの干大根へのコメントで、あっ読まなくちゃと思ったの~。ポストは外苑前のキラーストリートで。顔に見えないこともないかな・・と思ったけど、分類するほどではないので断念。
Commented by esiko1837 at 2015-02-04 19:50
このポスト、顎がフガフガになった老人に見えないこともないような・・。
渋い色です!
Commented by sustena at 2015-02-04 21:59
そうなんです!esiko さんのおっしゃる通り、このフガフガがなかったら、撮ってませんでした。色も私好みだったしね。
Commented by Lucian at 2015-02-04 22:43 x
使えない英語教育は、GHQの愚民化政策だったからかもしれません。
多くの日本人に英語で情報収集や分析をされると困るのでしょう。
郵便受けで連想したのですが、アメリカの郵便ポストは青いそうです。
どうしても赤くしたくなかった事情があるようです。
Commented by Cakeater at 2015-02-05 05:10 x
1972年の指導要領改悪以前の中学英語教科書は、時制が全部そろってましたので、国弘式只管朗読は日本での英語自習最高のものでした。今只管朗読するなら、DUOですかね。ちょっと古いけど、東後さんのSS英会話も錆落しとしては強力です。
今の二十代四十代の世代はちょっと気の毒な時代に生まれたとしか思えません。1940年50年代生まれは教科書を言い訳に使えません。lol
他の外国語は、フランス語がようやく只管朗読に耐える本が出始めましたけど、それ以外は自分で朗読文典を作るしかないようです。でも、最低1000以上の基本文を集め、その一例毎に20回以上手書き朗読するというしか王道はない。
こういうポスト風のものは老朽化している線路内にはいっぱい残ってます。鳥や飛行機と違って、休憩時間中に撮り溜めたのがけっこうあるんですが、なぜかアップするときになると、他の写真になってしまう。lolol
Commented by sustena at 2015-02-08 23:55
Lucianさん、以前中国の英語のテキストについて紹介した本を読んだことがあるのですが、なかなか合理的かつ実用的だったような気がします。
郵便ポストは赤いところのほうがなんとなく少ないような気がします。単なる印象で、エビデンスを調べたわけではないんですけど。
Commented by sustena at 2015-02-09 00:05
Cakeaterさん、指導要領改悪は1972年ですか。私は大学受験のときに、浪人したら新課程での入試になるとずっと脅されてたんだけど、指導要領とはまた別の話だったのかな・・・。
関係ないですが、先日数研出版の「もういちど読む数研の高校生物」を見ていてRNA干渉などの難しー話が出ていて驚愕。もっとも、いろんなレベルの教科書があるし、受験で生物を選択する/しないで大きく違うんでしょうけど。習得すべき知識レベルを,国としてどれくらいに設定するかは悩ましい問題だろうなぁと思ったことでした。


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