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2014年 10月 25日

群馬県立近代美術館「1974年─戦後日本美術の転換点」

先日、群馬県立近代美術館が開催中の「1974年─戦後日本美術の転換点」を見てきた。

これは1974年に会館した同館の40周年を記念した企画のうちの第2部で、第1部は「1974年に生まれて」として、1974年生まれの現代作家6人の歩みをフィーチャーしたもので、今回見た第2部は、1974年に国内で制作・発表された写真や版画、アート作品を横断的に集めて、「この時代の美術の特質を捉え、戦後日本美術の転換点として「1974」年を浮かび上がらせ」ようという企画。

まず、この美術館を磯崎新がどのようなコンセプトで設計したのか、スケッチや図面とともに紹介する。方形の幾何学のリズムで構成したことを、いかにも磯崎らしい難解なコトバで表現。でものちのいかにもポストモダン然とした建築よりは好感がもてる部分もあった。(あっ、でも磯崎のドローイングはめちゃきれいだった!) そして、中平卓馬が撮った、やはり中平らしい写真が並ぶ。

1974年を、日本美術の転換点とこんなふうに宣言して、美術史的にホントに正しいのかどうかはよくワカラナイんだけど、集められた作品は、たとえば上田薫の《スプーンに水あめ》に代表されるようなスーパーリアリズムの絵画だったり、Focus の表紙を飾った三尾公三のエアーブラシで写真をとけこませたような作品。また、高松次郎の《写真の写真》、郭徳俊のアメリカ大統領と自身を重ねたセルフポートレートの《フォードと郭》など、写真や複製について問い直す作品が目を引く。山中信夫《ピンホール・ルームNo.8》など、写真が現代美術の一ジャンルとして、いろんな表現を模索した時代でもあった。

このほか、木村秀樹の鉛筆を持った手を並べ方を変えて見せたシルクスクリーン、野田哲也の吸ったタバコを並べた「日記」と題されたリトグラフは、その後手法もモチーフもいろいろ変わっていくけど, ライフワークとして綴られていく、初期の作品なのだった。今は大家の作家の、20 ~30代の若いころの思いや気負いのつまった作品が、新鮮。

解説に曰く
概念芸術や「もの派」を経たこの時代、表現行為を根源から問い直し、あるいは表現を受容する私たちの知覚システムまでも題材にする作家が多く登場し、次代に向けて表現や思想を育んでいきました。

なるほどーなのでした。

構成は
序章 群馬県立近代美術館の開館まで

群馬県明治百年記念事業と「群馬の森」
群馬県立近代美術館─磯崎新の建築
中平卓馬がとらえた群馬県立近代美術館11点

第1章
1974年の彫刻・絵画・版画

彫刻─公募展・野外彫刻展・彫刻シンポジウムの活況
絵画─変容するリアリティ
版画の黄金時代(1)─版表現の広がり、深まり
版画の黄金時代(2)─写真を取り込んだ版画

第2章 1974年─転換期における諸傾向
「もの派」を超えて
「見ること」をめぐって─写真と美術
システムと身体/反復・転写のプロセス
ふたたび「絵画」「彫刻」へ

11月3日(月・祝) まで。
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by sustena | 2014-10-25 00:11 | Art/Museum | Comments(0)


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