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2014年 09月 29日

もりむら やすまさ『たいせつなわすれもの』

c0155474_2341321.jpgまだチャンスがなくて出かけていないんだけど、「ヨコハマトリエンナーレ2014」が開催中だ。このヨコトリも今回が5回目。アーティスティック・ディレクターは美術家の森村泰昌氏で、展覧会タイトルは「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」。カッコイイ~。

今回のヨコトリをどのような美術展としたいかについて、森村が語っている。
「私が捨てず持ち続けたい信念とは何か。それは「芸術の良心」というものである。もし芸術の神様がいるとすれば、その神様に捧げる芸術作品が、なんら恥じる事のない供物であっていてほしいという願いである。」

今回のヨコトリで、展覧会のコンセプトを再構成し、こども向けの絵本の形をとってわかりやすく伝えか「ヨコハマトリエンナーレ2014公式ひらがなカタログ」(2014年8月刊 平凡社) が刊行された。

げいじゅつのこころをひらがなでつづっているのだ!

目次をひいてみる。
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たいせつな わすれもの
これは、なんだ?
ごみばこの なかの わすれもの
だまっていると、わすれられてしまう?
ささやきに みみを かたむける
もえない ほん
としを ピカピカに みがく ひと
なにも することがない ひとのために
ひかりを つくる、 ひかりを えがく
ほんきの あと いっぽ

さくひんを もっとしりたい ひとのために
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この絵本のなかで森村は、読者にしずかにひらがなで呼びかける。

なんのやくにもたたないけど、ひきつけられる。「なんだ、これは?」とおどろく。それがげいじゅつ。たくさんの「これは、なんだ?」にであうばしょがびじゅつかん。

いきていくってたのしいことばかりじゃない。だれかのなにげないひとことが、こころをグサリとつきさすナイフになったり。そのいたみ、そのいかり、そのかなしみが きずあとに なって、いつまでも うずいたり。いきていくことは さかみちつづきのおおしごと。
わたしのなかのいきようとする エネルギーが、「おまえは いきているぞ」と さけんでいる。そのさけびごえが、わたしをねむりに つかせない。
だから・・・・・・あといっぽだけと あゆみつづける。

絵本だから、その話にふさわしい作品、たとえばジョゼフ・コーネルの《カシオペア #1》やヴィム・デルボアの《Flatbed Trailer》、ヴィヤ・セルミンスの《Hand Holding a Firing Gun》、ドラ・ガルシアの《Fahrenheit 451 (1957)》をはじめ、釜ヶ崎芸術大学の活動から生まれた作品など、すてきな作品が添えられている。

みじつりつえさんのガラスの作品と、その娘のみしまあんじゅさんの絵とが並んでいるページの美しさときたら。「なにもすることがない」とほりつづけたふくおかみちおさんの作品の力のきたら。

自分の中に眠っているしずかな力が、ゆっくりと動きだすのを感じるような、そんな絵本となった。
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by sustena | 2014-09-29 23:43 | 読んだ本のこと | Comments(4)
Commented by iwamoto at 2014-09-30 09:09 x
まさに、そういうことを言いたいのですが、わたしにはうまく言う能力がないので、
読んで、そうそうと思うのです。
Commented by higphotos at 2014-10-01 10:42
おっ、大好きな天井写真。
天井って田舎はダメですね。面白いのが少ないです。

サンマは目黒だけど、
やっぱり天井は銀座に限るなぁ
Commented by sustena at 2014-10-02 21:44
森村さんは達意の文章のひと。iwamotoさんの文章も、発見に満ち満ちていて、いつも「おお!」と思ってます。
Commented by sustena at 2014-10-02 21:48
higphotosさん、銀座ニューメルサビルの入口なんですけど、なんだってわさわざ落ちてきたらコワイような天井なのかわかりません。もっとも鏡があるからおもしろいんですけどね。ところで、天井写真撮影の極意ってあるんでしょうか?


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