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2014年 09月 01日

布施 英利『子どもに伝える美術解剖学―目と脳をみがく絵画教室』

c0155474_17442455.jpg布施英利さんの『子どもに伝える美術解剖学―目と脳をみがく絵画教室』(ちくま文庫 2014年8月刊 親本は紀伊國屋書店より『絵筆のいらない絵画教室』として2000年11月刊)を読む。

この本は、東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業、博士課程で美術解剖学を専攻し、博士号取得後、東大医学部の養老孟司教授のもとで、人体解剖学の研究生活を送った布施さんが、NHKの「課外授業 ようこそ先輩」で、母校の群馬県藤岡市立神流小学校の6年生を相手に行った「絵筆のいらない絵画教室」の授業をもとに、いい絵とはどういうものか、ひとはなぜ絵を描くのかについて解きあかした本。

「ようこそ先輩」の番組では、布施さんはまず子どもたちに何の情報も与えずに魚の絵を描かせる。するとどれも、頭は左、平面的で生気がない絵ばかりだった。ウロコが描かれていても、大半は単純な直線。

その子どもたちの絵が2日間で大きく変化したのである。いったいどんな授業だったかというと──。

布施さんは子どもたちを連れて、釣り堀にヘラブナ釣りに行く。そして釣った魚を解剖し、弔ったあとに再び水槽で泳ぐ魚を見せ、魚が「生きている」ことを実感させる。そのあとに、再度魚の絵を描いてもらったのだ。すると平面的だった魚が、ある子どもの場合は立体的になり、見ているひとと目があう絵になったり、水の動きがダイナミックに泳いでいることを感じさせる絵になったり、ヘラブナの形が見事な絵や、環境問題を考えた絵など、いろいろな絵が出てきたのだ。

そう、絵がうまくなるために必要なのは、自然をよく見、自然のいのちにふれ、そして感動することだった。

レオナルド・ダ・ヴィンチは、「ダメな画家は、画家に学ぶ。優れた画家は、自然に学ぶ」といったという。天才のダ・ヴィンチも、自然に学んだのだ。

でもでは、ピカソはどうだろう? ピカソはなぜ天才なのか、それは子どもの心と目を持って、その視点からみたイメージを自在に描き出した。このほか、脳で描くセザンヌと目で描くモネの表現の違い、ゴッホが影のないひまわりを書いたのはなぜか、そして布施さんの持論の、こころは内臓にあるという話や、息子のエピソードを例に、子どもに抽象思考がきざす瞬間についてなどが語られてゆく。
最後の実践編はちょっと蛇足かな。

目次
絵筆のいらない絵画教室
(子どもの絵が二日間で変わった)

なぜ絵筆がいらないのか
(なぜ、絵筆のいらない絵画教室か/子どもはみんな天才/ 赤ちゃんが絵を描くとき 天才画家もかつては子どもだった/ 美術の極意は「自然」に学べ)

実践1 絵筆のいらない絵画教室に挑戦―「魚」の絵を描く
実践2 絵筆を使った絵画教室」にも挑戦してみよう―人物クロッキーを描く
実践3 絵をどのように評価すればいいのか―子どもの絵の、どこをチェックするか
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by sustena | 2014-09-01 22:39 | 読んだ本のこと | Comments(6)
Commented by iwamoto at 2014-09-02 06:39 x
わたしは永く美術の勉強をしましたが(笑)、授業に「芸用解剖学」というのがありました。
ここに説明されているものと同じでしょう。
しっかり自然に学んで、それを自分で感じたイメージのままに、自在に表現したいものですね。

思うのですが、「デッサン」と「ピアノ」は、
モノゴトがどのように構成されてるかを見抜く、良い訓練になりますね。
Commented by Lucian at 2014-09-02 20:54 x
「課外授業 ようこそ先輩」には、心臓外科医の先生が登場したこともあります。
小学生に心臓バイパス手術の実習をさせたのは驚きでした。
冠動脈に見立てたのは、茹でたマカロニで、縫合して水が漏れなければ合格というものでした。
Commented by sustena at 2014-09-02 22:43
iwamotoさま、私は楽譜を読んで、ゲーデルやエッシャーと比べたりできるひとを尊敬しちゃうなー。音楽のコンポジションは、到底理解できないです。
Commented by sustena at 2014-09-02 22:46
Lucianさん、先日、手術ロボのダヴィンチのシミュレーションの訓練を高校生にトライさせる場面に遭遇しましたが、ゲーム世代だけあって皆上手でした。むしろ、縫合訓練のほうがへたくそ。茹でたマカロニはすぐプチッと切れてしまいそうですが、うーむ、考えたものですね。
Commented by jmiin at 2014-09-05 23:34
解剖 学生の時に羊でやりました。
学生2匹に羊1匹で^^;

屠殺するところは結構なグロでしたが、一旦死んでしまえば後は
意外に楽しい行為でしたよ。
色々な内蔵の具体的な色、形。心臓、肺....
その中で一番面白いと思ったのは骨でした。

友達が解剖学の研究室で卒論をやりましたが、豚さんの骨格標本を
作りました。
骨を拾う行為は拷問の様に大変でしたが、拾った骨を組み立てる時
には正に設計図の無い実物大のプラモデル。
「コレってここの骨? いやいや、こっちの方が正しいんじゃないの?」
と言う感じ。

でも、僕はなぜか完全な食品化学の研究室に.....^^;
Commented by sustena at 2014-09-07 13:28
羊ですか・・・。殺す場面はみたくないかも・・・。昔、祖母の家で、お祭りなどがあると庭で飼っていた鶏を殺していましたが、肉はおいしかったけど、見ることはできなかったです。小学校のときにやったのは、カエルの解剖で、今でも足がヒクヒクいってたのを思い出しちゃいます。
でも開腹したあとはきれいでした。


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