2014年 07月 27日
アイルランドに行くというと、テロは大丈夫だろうかと心配する人が何人かいた。 たしかに、北アイルランドといえば、1970年ごろから、2000年ごろまで、IRAの爆弾テロがたびたびニュースを賑わしていた。いろいろな歴史的経緯があって一言ではいえないのだけれども、簡単に記すと─。 アイルランド島北部のアルスター6州は、イギリスに属していて、プロテスタント系住民が多数を占めている。( 昔地理の授業で、グレート・ブリテン北アイルランド連合王国って習ったっけー) 少数派のカトリック系住民は、かつて就職や政治的権利などでいろいろな差別を受けており、1960年代以降の世界的な公民権運動の高まりも相まって、権利回復とイギリスからの独立をめざした活動を活発化させる。そしてイギリスのままをよしとするプロテスタント系との対立が先鋭化し、カトリック系の過激派のIRAと、プロテスタント系のアルスター警察隊、過激なロイヤリストなどが互いにテロや武力攻撃を繰り返し、毎年100名~200名の市民がなくなる事態に。 その後和平に向けた交渉の末、1998 年のベルファスト合意を経て、2005年にはIRAが武器の放棄を宣言。プロテスタント側はすぐにはIRAを信じなかったが、2007年に武装闘争の終了宣言を行い、2010年に国際的な監視のもと双方の武器が破壊され、ようやく平和が訪れた。 といっても、まだまだ分断の傷は癒えていないとのこと。 とくに、私たちが訪れたのは、北アイルランドで「オレンジ・マーチ」というプロテスタントの大行進が町を練り歩くイベントがある7月12日を過ぎたばかり。平和が訪れた今も、このパレードのあるころは、カトリックとプロテスタントの小競り合いが勃発し、負傷者が出たりするらしい。(アラン諸島で会った現地の人は、この時期にベルファストにいるのはdangerousだって言ってた。そういえば、ホテルでオレンジ色のベストを来た人たちが飲んだくれていたなー) 11日夜に行われたボン・ファイア(大たき火)の残り火が、雨のなか、いまだにくすぶっていた。 バスの中から、独立紛争による死者の追悼施設、Garden of Remembranceを見る。 ベルファストの町なかには、政治的な壁画が多い。1981年にハンストで死んだIRA暫定派のボビー・サンズの絵や、彼らを十二使徒になぞらえた壁画などがあちこちにある。 なかでも印象深かったのは、「ピース・ライン」 (ピース・ウォールとも)と呼ばれる、カトリックとプロテスタントの住居を分断する壁。ベルリンの壁は壊されたけど、この壁は今もあって、落書きはいっぱいあるけれど、ふたつの宗教の住居を区切ってる。北アイルランドにあるこの手の壁をつなげると全長21kmにもなるんだって。 この日の昼食は、ヨーロッパ・ホテルで。テロを取材にやってきたジャーナリストたちがよく利用したホテルで、しばしば爆弾テロの標的となり、ギネスブックに「世界一爆破されたホテル」などと登録されているとか。
by sustena
| 2014-07-27 23:23
| 旅
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