2014年 04月 24日
青山円形劇場で上演中の、ナイロン100℃「パン屋文六の思案~続・岸田國士一幕劇コレクション~」を観た。 おもしろいッ!! 7年前の『犬は鎖につなぐべからず』は残念なことに見逃してしまったのだけど、岸田國士の戯曲のおもしろさは、2か月ほど前にリーディング公演を見てオドロイタので、ケラならさらに戯曲の現代性をあぶりだすような演出に違いないと出かけたのだ。 会場は、来年3月で閉館になるという青山円形劇場(いま反対運動が続いている)。丸い舞台をぐるりと6ブロック各5列の座席が取り囲む。 舞台上には、XXとXY、中央に46の数字がデザインされた大きなモビール、あちこちに月と星のモビールが揺れている。舞台正面(?)には最後の時間を象徴する時計様のオブジェと、演説台や2階の部屋になる出入り口。 今回の舞台は、表題作の『パン屋文六の思案』とその続編の『遂に「知らん」文六』、『ママ先生とその夫』『かんしゃく玉』『世帯休業』『恋愛恐怖病』『長閑なる反目』の7編の短編をコラージュしている。(なお、大部分の作品は、青空文庫で読める) どの作品もおもしろかったのだが、『世帯休業』はリーディング公演との違いがおもしろかったし、『ママ先生とその夫』で、聖風学園を経営する奥居町子とその夫の朔郎、亡くなった息子の母である金持ちマダム花巻篠子と若い有田先生の恋愛模様と力学がなんともおもしろかった。 とにかく、どの作品も、これがまぁ大正~昭和初期の会話かしらん!と思ってしまう。 『世帯休業』で倦怠期の夫婦が交わす契約の条項はこうだ。 我々夫婦は左の規約に基き、一週間の間、夫婦関係より生ずる一切の精神的物質的負担を排除す。 一、夫婦は互に相手の存在を無視し、行動の自由を保ち得べきこと 一、夫婦は何れも、現在の住所に起居する場合、談話応対等、全く従来の習慣を破毀し、総て別人としての待遇をうくべきこと 一、夫婦は、双方の自由意志又は家政一般に関する問題につき、如何なる場合といへども、助力、干渉、命令、相談、注文等をなさゞること 一、夫婦の一方が、一家共同の名誉利益に反する行為をなし、又は故(ことさ)ら相手に苦痛を与へんとする言動を犯したる時は、将来永久に夫又は妻としての権利を放擲したるものと認む 一、夫婦の一方が、疾病に罹りたるときは、隣人として看護の労をとること、たゞし、体温三十八度以下の風邪、又は単に頭痛腰痛み等にありては、必要に応じ、薬を調達するのみをもつて足れりとす 一、休業中と雖も、金銭の支出は、毎月の予算を超過せざること、但し、炊事停止による丼物の勘定は、この限りにあらず ね、笑えるでしょ。 ところで、今回大いに感嘆したのが、モダン着物の豆千代の衣装! すごいポップでキッチュでおしゃれ~。場面転換などで出演者が踊る、イテビアン・クルーの井出茂太のダンスもバッチリ。 ニオイカードを配布して、ところどころでこすったのはサービスのしすぎ? 昼食のカレーライスのにおいには笑った。 [作]岸田國士 [構成・潤色・演出]ケラリーノ・サンドロヴィッチ [出演]みのすけ / 松永玲子 / 村岡希美 / 長田奈麻 / 新谷真弓 / 安澤千草 / 廣川三憲 / 藤田秀世 / 吉増裕士 / 眼鏡太郎 / 猪俣三四郎 / 水野小論 / 伊与勢我無 / 菊池明明 / 森田甘路 / 木乃江祐希 / 萩原聖人 / 緒川たまき / 植本潤 / 小野ゆり子 / 志賀廣太郎 これがニオイカードだ!
by sustena
| 2014-04-24 14:17
| Theatre/Cinema
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