2013年 08月 18日
八月納涼歌舞伎は、1990年に中村勘三郎(当時勘九郎)と坂東三津五郎(当時八十助)を中心にスタートした8月の風物詩だ。 勘三郎が亡くなってちょっと寂しい今年も、いかにも納涼歌舞伎らしいプログラムでだった。最初プログラムを見たときは、文句なしに第2部と思っていたのだが、シネマ歌舞伎クラシックで、十七世中村勘三郎の新三に、十八世勘三郎の勝奴、羽左衛門の長兵衛という組み合わせを見たあとだったから、売り出し日にとっさに第3部を選んだんだけど、第2部がすばらしいと渡辺保が絶賛してて、いい席が残っていたので,第2部の切符もゲットしたのだった。 三津五郎の新三が江戸前ですてきっ! そして、彌十郎の長兵衛とのかけひきの場面もおかしみに満ちてました。 第3部は、とにかく肩のこらない、誰もが気楽にながめてめちゃ楽しめる演目。 特に感動したのは、棒縛りの三津五郎。手をしばられているのに自在で、大きな踊り。以前、世田谷パブリックシアターで見た太郎冠者が野村万作、次郎冠者が石田幸雄の棒縛りは、いわば楷書の芸、今回の三津五郎と勘九郎のそれは、のびやかな行書という感じ。 三津五郎がNHKのインタビューで、最初は勘三郎に負けてなるものかと競って踊ってたんだけど、40を過ぎてから、風が吹くようにだったかなぁ、軽やかに舞うことを心がけているという意味のことを言っていた。そして、いまはその境地で、勘三郎の息子の勘九郎と踊っているのだと。芸の継承の深さを感じさせる話だった。 「狐狸狐狸ばなし」は赤坂で勘三郎がよく演じてたが、これまで見たことはな。かった。 扇雀が色っぽくて、上方の役者あがりの亭主の雰囲気がすばらしい。絶命するシーンも楽しいし、七之助のすねっぷりもキュート。オバカ役の勘九郎がかわいいっ!橋之助の生臭スケベ坊主ぶりも、実にのびのびしていて、暑さを忘れさせてくれたのだった。 ■第二部 一、梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう) 髪結新三 髪結新三・・・・・・三津五郎 弥太五郎源七・・・・・・橋之助 下剃勝奴・・・・・・勘九郎 白子屋娘お熊・・・・・・児太郎 家主女房おかく・・・・・・亀 蔵 車力善八・・・・・・秀 調 加賀屋藤兵衛・・・・・・家 橘 白子屋後家お常・・・・・・萬次郎 家主長兵衛・・・・・・彌十郎 手代忠七・・・・・・扇 雀 二、色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ) かさね かさね・・・・・・福 助 与右衛門・・・・・・橋之助 ■第三部 江戸みやげ 一、狐狸狐狸ばなし(こりこりばなし) 伊之助・・・・・・扇 雀 おきわ・・・・・・七之助 おそめ・・・・・・亀 蔵 おうた・・・・・・歌 江 福造・・・・・・巳之助 又市・・・・・・勘九郎 重善・・・・・・橋之助 二、棒しばり(ぼうしばり) 次郎冠者・・・・・・三津五郎 太郎冠者・・・・・・勘九郎 曽根松兵衛・・・・・・彌十郎 公園のコブシの実が赤くなってきた。
by sustena
| 2013-08-18 21:07
| Theatre/Cinema
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