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2013年 07月 04日

村上春樹『サラダ好きのライオン』

c0155474_21212524.jpg村上春樹/文 大橋歩/画の『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』(2012年7月刊 マガジンハウス)を読む。

これは『anan』の1751号(2011年3月30日号)から1801号(2012年4月4日号)に連載していた「村上ラヂオ」と『GINZA』178号(2012年4月号)掲載のエッセイをまとめたもの。収録されているのは52篇。

前にも書いたけど、私は村上春樹の小説よりエッセイや工場見学などの軽いタッチの小品が好きで、この本も通勤の行き帰りであっと言う間に読んでしまった。
猫の話や食べ物の話、読んだ本から連想が飛んだもの、旅先での発見、家にごろごろしていてふとひらめいたことなど、話題は自在。しっかり閉じていてもつい口の端っこが緩んじゃうようなユーモアがそこここにあって、うん、その気持ちわかるよー、ウッソーなんて、心のなかでふんふん思いながらページをめくる。

弦楽四重奏団と麻雀の共通点、Soup or Saladと聞かれてスーパーサラダと思い込んじゃうミカ・カウリスマキの「GO! GO! LA」の映画の一場面の話・・・。

なかでもけっこう気に入ったのは、「秋をけりけり」と題した1篇。
木山捷平の「秋」という短い詩をひいて、・・おっと、その前にこの詩を書き写しておかなくちゃ。

新しい下駄を買つたからと
ひよつこり友達が訪ねて来た。
私は丁度ひげを剃り終へたところであつた。
二人は郊外へ
秋をけりけり歩いて行つた。

この詩を読んで,村上さんは、若い人のつくった詩だと感じたのだという。新しい下駄を買ったからといって友達がフラッとやってくるような状況、そしてそれを普通のこととして捉える感覚は20代の人のものだから。そして暇を持てあまして、海岸に行ってたき火をして何時間もあきずに炎を眺めていた高校時代を思い出す。
でも人生においてはそんな時間はそれほど長く続かないし、暇つぶしに付き合ってくれる人の数も次第に少なくなっていく。(・・うむむ、そうなんだよなぁ・・・・。)

ムンクの「叫び」についてのエッセイもあったなぁ。あれは叫んでるのでなくて「自然を貫く果てしない叫び」を聴いて耳をふさぎ恐れおののいてるんだけど、と説明したあとで、百年あまり経た今も人々はこの絵に強く心を惹きつけられてる。ネット検索をすると、「叫び」がらみの画像だけで13万7000件がアップされていたと続ける。

・・・ざっくり見ただけでも、実にいろいろと興味深いものがあった。たとえば「叫び」風にカットされたお弁当のソーセージだとか、、「叫び」そのままの顔をする犬とか、そっくりの図柄を描く板壁の節目とか、同じ表情で演技する浅田真央とか、よく似た衛星写真の地形とか、乳首がふたつとおへそで「叫び」を模写する男とか、ロンドン上空に浮かんだ「叫び」顔の雲とか・・・。いや、見ていて飽きないです。世界は「ムンクの叫び」で(あるいはその暗喩で)充ち満ちているみたいだ。

このまま引用すると残り1頁を丸写ししなきゃならなくなるのでやめるけど、ほほうなるほど、これはチェックしてみなきゃ・・と思うでしょ(私だけか??)

大橋歩さんのドライポイントの挿絵もすてきです。

ところで本日も2点をぱちり。
もういい加減にしなくちゃと思うんだけど、クライアントのところに出かける途中で目が合ってしまった。なんだってこんなところが都合よくヘコんでるんだー。
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by sustena | 2013-07-04 22:20 | 読んだ本のこと | Comments(2)
Commented by ken_kisaragi at 2013-07-05 23:15
そうそう、読み易く浸透性が高いから自分も一気に読む事多いです。
水木のヌリカベは見た目以上に軽いのでしょうか(発泡?)
無表情な面構えですが、ガムテが痛々しく、、、。
Commented by sustena at 2013-07-06 15:48
はい、こいつのガムテが気に入りました。
ところでこのエッセイ、毎回「今週の村上」という欄があるんだけど、高田馬場というと「墓場の婆」と聞こえるとか、しょーもないことが書いてあるんですけど、これも笑っちゃうものがけっこうありました。


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