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2013年 02月 12日

ジュリアン・バーンズ『終わりの感覚』

c0155474_1652196.jpgジュリアン・バーンズの『終わりの感覚』(土屋政雄/訳 新潮クレスト・ブックス2012年12月21日刊)は、読んでから何日か経っても、じわじわひたひたと胸に迫ってくる小説だった。188ページと比較的短い小説なのに余韻が強烈。

隠退生活を送るトニーのもとに、弁護士から手紙が届く。初恋の女性ベロニカの母親が、学生時代の親友アレックスの日記と500ポンドをトニーに残したというのだ。アレックスは「歴史とは、不完全な記憶と文書の不備から生まれる確信である――」なんてフレーズを歴史の教師に向かって投げかける聡明な転校生。トニーがベロニカが別れたあと、アレックスはベロニカとつきあっていたが、ケンブリッジ大学在学中に自殺してしまったのだ。アレックスはなぜ自殺したのか・・・?

トニーは青春時代の記憶をたどりながら(記憶の地層に埋もれた改竄された記憶だ)、別れた妻と語り、かつての恋人を訪ね、親友の内面を思い描く。

トニーはベロニカからいまも「あなたはまだわかってない。わかったためしがない」と言われつづける。(けっこううっとおしい奴かもしれない・・と読みながら何度も思った)。

トニーの記憶の断片のアレックスのなんと魅力的なこと!
2011年度ブッカー賞受賞作。ジュリアン・バーンズは、『フロベールの鸚鵡』『10 1/2章で書かれた世界の歴史』などたくらみに満ちた小説の名手。
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by sustena | 2013-02-12 23:05 | 読んだ本のこと | Comments(0)


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