2013年 01月 03日

お正月は写美へ

1月2日は、東京都写真美術館が入場無料だったので、以前から見ようと思っていた北井一夫と、「ハーブ&ドロシー」の映画も無料というのでいそいそと出かける。

開館15分前に着くと、同じような人はいっぱいいて、ズラリと並んでる。
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最初に映画の整理券をゲットして3階へ。まずお目当ての「北井一夫 いつか見た風景」展を観る。

北井さんは1944年、中国・鞍山生まれ。日本大学芸術学部写真学科中退後、65年に横須賀の原子力潜水艦寄港反対闘争をテーマにした写真集『抵抗』を自費出版。69年より、成田闘争を記録した「三里塚」を『アサヒグラフ』に連載。76年に「村へ」で第1回木村伊兵衛写真賞を受賞。その後も、船橋市に生活する人々を綴った「フナバシストーリー」など、常に時代を呼吸するような写真を撮ってきた人で、今回の展覧会は学生時代から現在までの代表作を一覧するもの。

「抵抗」「神戸港湾労働者」「過激派・バリケード」「三里塚」「いつか見た風景」「村へ」「境川の人々」「新世界物語」「フナバシストーリー」「おてんき」「1990年代北京」「ライカで散歩」「道」と、205点の作品がほぼ年代順に並んでいた。

私が好きなのは、やはり「いつか見た風景」と「村へ」。キッチリ水平ではなくて、やや左が下がった広角で切り取られた風景や子どもたちの表情が、その白黒のやわらかで豊かな色調とともに心にしみた。峠にたたずむ子どもたちの写真(1973年 峠)など、ブータンの子どもたちみたい。

「おてんき」は、カニやカタツムリ、ナマコやスズメ、ヒヨドリなど、200ミリやマクロで撮ったものだが、「最初はおもしろかったけど、すぐに飽きて、遠くのものを拡大するより、小さくてもその周囲の木や草をくわしく写したほうがいい、遠くの鳥は遠くにいるように撮ろうと思いなおした」という意味のメッセージが記してあって、やはり基本はドキュメンタリーの人なのね、と思ったことだった。

2階の会場は「この世界とわたしのどこか~日本の新進作家vol.11」。1970年代生まれの5人の女性写真家の作品が並ぶ。

蔵 真墨の「お伊勢参り」(東海道を旅する途中の通りすがりの人たちのスナップ。ブッキラボウな視線であります)、菊地 智子は、中国木トランスジェンダーやドラッグクィーンを写したもの。田口 和奈は、青や黒が広がる印画紙に、ぼーっと顔や像がいくつも浮かんでいるような作品。笹岡 啓子は日本各地で、海と空と崖の広がる風景のなか、遠景で釣り人を撮ったもの。

一番おもしろかったのが、大塚 千野の作品。過去の自分の子ども時代のアルバム写真に、現在の自分を重ね合わせたもの。タイムマシーンに乗って、過去の自分と2ショットを撮ってる。デジタル加工してるんだけど、極めて自然に処理されていて、不思議感覚。

映画の話はまたあした。
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by sustena | 2013-01-03 23:34 | Art/Museum | Comments(2)
Commented by Lucian at 2013-01-04 22:03 x
北井一夫さんの「村へ」は、アサカメに連載されたので全部目を通したことになっていますが、断片しか思い出せないです。
日本の原型を思わせるようなドキュメントだったような印象があります。
Commented by sustena at 2013-01-05 15:36
いまも北井さんは「日本カメラ」に連載していらっしゃるんですね。この日の観客は私も含めて中高年が圧倒的に多かったのですが、「村へ」を見ながら、涙ぐんでいる人も。まさに日本の原風景という写真でした。


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