2012年 12月 25日

中ザワヒデキ展 脳で視るアート

昨日武蔵野市立吉祥寺美術館で開催中の「中ザワヒデキ展 脳で視るアート」を見てきた。ここはなんと、入場料が100円で、以前も草間彌生展をやったりして、意欲的なのであります。

今回フィーチャーしている中ザワヒデキさんは、私はてっきりウマヘタというよりヘタヘタのイラストレーターだとばかり思っていたんだけど、もともとは医学部出身で眼科医局勤務経験ありという経歴の持ち主。20歳のときからアクリル絵画で本格的な制作をスタートし、1988年に医学部を卒業して医局時代に、医者になるかアートをやるかと教授に問い詰められて制作したのが、ポスターにもなっている《シリョクヒョウ》。
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その後、90年にはイラストレーターとして「バカCG」制作をスタート。1997年から肩書きを美術家と改め、方法絵画を展開。コンセプチュアルアートの世界で新しい入り口の作品を展開する一方、カラフルでポップな油彩画やアクリル画などもいろいろ制作しているひと。

今回はその多彩な作品の中から、脳の知覚作用や視覚生理を切り口としたアートをピックアップ。

たとえば、碁盤で黒か白いずれか自分が置いた方が負けになるため動きがとれなくなる「セキ」の状態を碁盤目いっぱいに展開し、点と線の間を行き来するような「三五目三五路の盤上布石絵画」。シアン、マゼンタ、イエローを1:1:1の割合で混ぜると灰色になるけれども、印刷物をものすごく大きなルーペで見るとそれぞれの点の集まりとなって見えるように、ひとつのキャンパスに同じ割合でそれぞれの色を配置してみた「灰色絵画」シリーズ。目ではただの三食の色の集まりにしか見えないけれども、脳の中で灰色に見せようとするもの。あるいは、重ねていく色の順番を変えて描いた「セル」シリーズ、赤と青の線画をずらして描き、壁にあけた穴から立体視する「アナグリフの穴」、そして極め付けは脳波の山というか波を自分でコントロールして描いた「脳波ドローイング」。(いったいどれくらいコントロールできるものなんだろう?)

こんな絵画もありなんだという軽い衝撃が心地よい。2月17日まで。

同時開催中の浜口陽三記念室「パリに暮らして」(銅版画家・浜口陽三と生活を共にした南桂子(のパリ時代の作品。南はメルヘンチックな作風。私は浜口の暗いエッチングの色が好き)、萩原英雄記念室では作家が病気療養中に木版画を手がけるきっかけとなった年賀状のシリーズを中心に、萩原流の富嶽三十六景を紹介する「はじまり」をやってて、100円で全部見ることができる。

吉祥寺までは公園を抜けて歩いていく。長玉をかまえたひとがいて、見るとカワセミがいた。撮影してるひとがいなければ、わからなかったなー。
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by sustena | 2012-12-25 23:21 | Art/Museum | Comments(4)
Commented by Lucian at 2012-12-28 22:42 x
カワセミは色鮮やかなイメージでもけっこう保護色になっているんですね。
これも脳で見るアートみたいです。
Commented by Cakeater at 2012-12-30 18:16 x
あの盤面セキは、全部のセキを確かめて、双方の地を数えようとして、うわあ、なんだこれは???35路盤?
一応日本ルール上では、持碁。中国ルールだと・・・・うわあ、目がクラクラシして頭痛がしてきた・・・・lolololol
Commented by sustena at 2013-01-01 14:45
Lucianさん、あの背の構造色(かな)の翡翠色が見えないと、ヤブの中では動いてくれない限り、ゼンゼンわかりません。
Commented by sustena at 2013-01-01 14:46
Cakeaterさん、私もセキの状態を一つ一つ眺めていたら頭がクラクラしました。さすが理系出身のアーティストだーって思いました。


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