2012年 11月 12日
知人に勧められて『怪物はささやく』(原題 A Monster Calls パトリック・ネス/著 シヴォーン・ダウド/原案 ジム・ケイ/イラスト 池田真紀子/訳 2011年11月刊 あすなろ書房)を読んだ。 母の死と向かい合う少年の揺れ動く心を描いたイギリスの児童書で、2012年カーネギー賞とケイト・グリーナウェイ賞をダブル受賞した作品。早世した作家シヴォーン・ダウドの原案を、パトリック・ネスが物語とした。 主人公コナー・オマリーは13歳の少年。両親は離婚しており、母親と2人で小さな家に暮らしている。その母親が去年の春、深刻なガンにかかっていることがわかった。近所の少女が学校で少年の母の病気のことを告げると、周囲のみんなが腫れ物に触るようにコナーに接するようになる。じぶんだけが悲劇の主人公のつもりになって、といじめにもあう。そのことが彼の孤独感を一層深める。 ある夜、庭のイチイの木の姿をした怪物がコナーのもとにやってくる。怪物はコナーに、3つの話をするから、それを聞き終わったら今度はコナーが怪物に真実の話をするよう語りかける。怪物がやってきた理由とは? そしてコナーはどんな話を怪物にすることになるのか。 感受性がニブイのか、知人が絶賛するほどとは思わなかったけど(死を扱った絵本や児童書としてはふつーかなー)、少年よりお母さんとかおばあちゃんのほうに感情移入しちゃったのは、私がトシをとってしまったからであろうか。 少年は怪物のことは怖くない。なぜってもっとこわい悪夢を見るから。それを物語として語ることで、初めて少年は自分に向き合い、死を受容できるようになる。 人の心は矛盾に満ちたもの。そして物語はこの世の何よりも凶暴な生き物。怪物がコナーに言い聞かせるこの2つの言葉が印象的だった。 エンディングはちょびっと切ない。
by sustena
| 2012-11-12 23:51
| 読んだ本のこと
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Comments(4)
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at 2012-11-13 05:38
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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sustena at 2012-11-13 12:48
はい。なんだかワタシに似てる気がして。
0
おお、よく撮れて増すねえ。ノイズもきれいだし。
典型的な東京郊外の夜の路。先日府中で迷って、こんな感じのところを誰にも合わずに彷徨一時間。そういう時は猫以外は撮る余裕がないんですねえ。lolololol
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by
sustena at 2012-11-17 22:25
Cakeaterさん、この日はちょっと霧が出ていて、いつもの路なのに、ちょっと幻想的~と思って撮ったのですけど、もし知らない町だったらきっとこわーいと思います。
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